- 特集 通常の学級が変わる!*変革へ向けてのヒントを探る
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特集について
通常の学級が変わる!―変革へ向けてのヒントを探る
東京学芸大学教授/松村茂治
特殊教育が大きく変わろうとしている。
「21世紀の特殊教育」「今後の特別支援教育」「教育支援体制の整備のためのガイドライン」と矢継ぎ早に,文部科学省から新しい考え方が提出され,教育現場は好むと好まざるとに関わらず,大きなうねりの中にその身を投げ込まれようとしている。
子どもの自立と社会参加を求める動きは,特殊教育を特別支援教育に名称変更するだけでなく,支援の対象を今までの特殊教育の対象になりにくかった子ども達にまで広げ,彼らの通う通常の学級の一人一人のニーズに合った支援を求めるようになってきた。
特別支援教育は,通常の学級での教育を大きく変えようとしている。
最近の全国調査によれば,知的発達に著しい遅れはないものの,学習面や行動面で著しい困難を示す子どもの割合が,通常の学級に通っている子どもの6.3%であったという。この数値は学級担任の教師の報告によるものであり,そのすべてがLDやADHDということではないが,どこのクラスにも特別な教育的な支援を求めている子どもがいるということであり,特殊教育の変革は通常の学級での教育の変革でもあるのだ。
通常の学級の変革は,学校全体の改革を求めている。
2000年に出された文部省(当時)の委嘱研究「学級経営の充実に関する調査研究」では,「学級がうまく機能しない状況」(俗に言う『学級崩壊』)について分析を行い,学級経営が困難になる要因の一つとして,学級に「特別な教育的配慮や支援を必要とする子どもがいる」場合を指摘している。また「今後の不登校への対応の在り方について」(文科省2004年)では,不登校対策を考えるにあたって,LDやADHDの問題を視野に入れるべき,との見解を表明している。教育現場では早くから,学級の荒れのきっかけとなった子ども達,そして不登校の子ども達のなかに軽度発達障害のある子どもがいることには気がついていた。そこに今,確実に光が当たり始めたのである。
通常の学級には何が求められているのか,担任には何ができるのか,校内での,そして校外からのどのような支援体制が考えられるのか,すでに始まっている取り組みの中に,これからの通常の学級の変革に向けたヒントをさがしてみよう。
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