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- 編集後記
特集について
身に付けさせたい! 生活トラブルからの回避と対応法―高等特別支援学校から学ぶ「生きる力」の育成―
兵庫教育大学大学院教授/柘植 雅義
新学習指導要領においても,改訂の基本的な考えとして,引き続き「生きる力」を育む教育の大切さが示されました。
高校生が社会に出て必要な「生きていく力」を,在学中にどこまで上手に身に付けさせることができるかは,進学や就労に向けた指導・支援とはまた違った,もう1つの重要で切実な問題です。
例えば,薬物乱用,飲酒・喫煙,バイク・車の免許取得や扱いの問題,異性との交友,妊娠・出産,ネット上の有害情報,出会い系サイトから,クレジットカードの使用,クーリングオフの仕方,金銭の貸し借りに至る金融関係の問題まで,実に様々なことにさらされ始めるのが高校生段階だと思われます。
特に,発達障害のある高校生にとっては,将来,豊かな日常生活や社会生活を送るために,種々の生活トラブルについて回避する必要性の理解や,回避の仕方の習得など,他の生徒とは違ったカリキュラムや指導方法の工夫が必要だと思います。それは,予防的な視点を持つと共に,問題に直面した際の解決法の習得でもあります。
一方,近年,高等部だけの知的障害特別支援学校が,全国各地で相次いで設立されてきています。ここでは,知的障害の状態が比較的軽度で,一般就労を目指す生徒など,同じようなニーズを持った生徒に焦点を当てた教育課程の編成と指導・支援が行われています。
そして,一般就労などに向けた指導の充実と並行して,先に述べた薬物乱用,飲酒・喫煙,異性との交友,金融関係の問題等が具体的に既に指導されています。
さらには,それらの内容に加えて,自尊感情を育む指導や,自らの障害理解(療育手帳を持つということ)を深める指導なども行われています。
そこで,近年,全国各地の高等特別支援学校で行われている,生活トラブルに巻き込まれないための特色ある取り組みを紹介し,それが,高等学校に通う発達障害のある生徒にとって必要な「生きる力」を育てていくためのヒントになればと思い,本特集を組みました。
ここで紹介する各実践は,教育課程の工夫,指導法の工夫,教材教具の工夫,家庭や地域と連携した取り組みの工夫などの視点から構成していただきました。
なお,高校生に焦点を当てましたが,中学生や小学生の段階の子どもにとっても,関連事項の指導を行う際のヒントになると思われます。
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