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- 編集後記
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特集について
いま通常の学級で,何ができるのか * わかって!わたしたちのこと
東京学芸大学教授/松村茂治
学校には,さまざまな特徴を持った子どもたちが通ってきています。
理解の早い子・遅い子,算数の得意な子,図工の好きな子,活発な子・気持ちの優しい子,落ち着きのない子……まさに十人十色です。受け持ちが決まれば,先生方は,できるだけ早い時期に子どもたち一人一人の特徴を把握し,それぞれにフィットした対応を試みようとします。
一人一人に合った目標,それぞれに合った教材や教え方,すべての子どもが理解できるような学習の進度……多くの先生がそうした理想を掲げます。しかし,それが公教育の中の,さまざまな現実的な制約の前に,本当に理想でしかなかったことを思い知らされます。
確かに,学級は集団生活の場ですから,そして教師には,子どもたち全体のレベルアップを図るということが求められている訳ですから,一人一人を大切にする,「個」を優先するということは,額面どおりにいかなくても仕方がないのかもしれません。
ところで,通常の学級では,一人の教師が,子どもたちの集団に対して,同じ教材を用い,同じようなテンポで理解させていく「一斉形式の授業」が,一般的なやり方とされてきました。長い間にわたって,それは当たり前の方法とされてきたので,それ以外のやり方は有り得ないかのような気さえします。
しかし,この数年,学校を取り巻く状況はずいぶんと変わってきました。落ちこぼれ・落ちこぼしの問題は言うに及ばず,不登校やいじめ,ひいては学級崩壊などの原因の一端が子どもたちの側にではなく,効率性や画一性を求めてきた教育の側にもあるのではないかと考えられるようになってきたのです。
今まで学級では,一斉形式の指導が主流をなしてきましたが,これからは,児童・生徒数の縮小化を含め,指導の形態は大きく変わっていかざるをえないと思われます。一人の教師が何十人もの子どもたちに対して,同じ目標を与え,教科書と黒板を使って,同じような進度で進めていくという伝統的なやり方は,変わっていかざるを得ないのです。なぜなら,世の中全体が,大衆化・均一化の時代から個性化・個別化の時代に変わってきているからです。子どもや保護者はそうした動きを望んでいます。
そうした動きのなかで,今までともすれば排除されたり放っておかれたLD・ADHDの子どもたちにも,今ようやく日が当たり始めた,そんな印象を持ちます。
いま通常の学級で,何ができるのか,一緒に考えていきたいと思います。
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- 明治図書