LD&ADHD 2002年7月号
第2号 いま通常の学級で,何ができるのか*わかって!わたしたちのこと

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LD&ADHD 2002年7月号第2号 いま通常の学級で,何ができるのか*わかって!わたしたちのこと

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2002年6月
対象:
小・中
仕様:
B5判 64頁
状態:
絶版
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目次

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特集 いま通常の学級で,何ができるのか*わかって!わたしたちのこと
特集について
松村 茂治
提言
LD等の教育による学校教育の改革
山口 薫
事例
通常の学級は社会のミニチュア
漆澤 恭子
〜通常の学級は社会のミニチュア〜
コメント
上野 一彦
教師の気づきから始まる中学校での指導
上野 眞理子
〜教師の気づきから始まる中学校での指導〜
コメント
松村 茂治
中学入学を契機に再登校を始めたA君
増田 博信
安定した家庭の支えをバネに!
安藤 壽子
通常学級の中での個別指導に向けて
外礒 やよひ
一斉授業を楽しみましょう
日野 久美子
通級での得意教科の予習で自信をつけたT君
黒須 真希
LDに学校をあげてみんなで取り組もう
溝口 純
家庭,在籍校,医療機関,情緒障害通級指導教室→四者の連携による指導
K君在籍校の通常の学級担任からの報告
K君が通う情緒障害通級指導教室担任からの報告
連携:キーワードはスケジュール化
人羅 善次郎
友達とのトラブルが多いAちゃんの指導―情緒障害児学級担任の支援を受けて
中村 紀夫
Essay
障害児教育とわたし
和田 尚子
子どものページ
読書感想画「妖怪」
徳島県日和佐町立日和佐小学校
【特別寄稿・Opinion】特別支援教育の実現に向けて
山岡 修
親の会ニュース (第2回)
「全国LD親の会」のあゆみ
山岡 修
医療との連携 (第2回)
医者から伝える薬の話(ADHD)
市川 宏伸
〜ADHDの症状と薬物〜
実践の小箱/臨床学校現場から (第2回)
「教師の専門性」とは
藤井 茂樹
情報最前線/行政や海外の動向は (第2回)
アメリカ教育省による学習障害サミットの開催
柘植 雅義
指導の技法とその理論 (第2回)
行動分析の理論とその応用(2)
松村 茂治
コミュニケーション (第2回)
「話がまとめられない」ために生じるコミュニケーションの問題
野呂 文行
アカデミックスキル (第2回)
読みに困難を示すLD児の指導
前川 久男
LD,ADHDとソーシャルスキル (第2回)
LD,ADHD児の社会的適応とソーシャルスキル
佐藤 容子
使えるテスト・チェックリスト (第2回)
子どもの内側から光をあてる
海津 亜希子
〜心理アセスメントU〜
一度は手にしたい本
『きみなら どうする』LDのためのソーシャルスキル/『ありがとう,フォルカーせんせい』
松尾 直博
編集後記
松村 茂治

特集について

いま通常の学級で,何ができるのか * わかって!わたしたちのこと

東京学芸大学教授/松村茂治


学校には,さまざまな特徴を持った子どもたちが通ってきています。

理解の早い子・遅い子,算数の得意な子,図工の好きな子,活発な子・気持ちの優しい子,落ち着きのない子……まさに十人十色です。受け持ちが決まれば,先生方は,できるだけ早い時期に子どもたち一人一人の特徴を把握し,それぞれにフィットした対応を試みようとします。

一人一人に合った目標,それぞれに合った教材や教え方,すべての子どもが理解できるような学習の進度……多くの先生がそうした理想を掲げます。しかし,それが公教育の中の,さまざまな現実的な制約の前に,本当に理想でしかなかったことを思い知らされます。

確かに,学級は集団生活の場ですから,そして教師には,子どもたち全体のレベルアップを図るということが求められている訳ですから,一人一人を大切にする,「個」を優先するということは,額面どおりにいかなくても仕方がないのかもしれません。

ところで,通常の学級では,一人の教師が,子どもたちの集団に対して,同じ教材を用い,同じようなテンポで理解させていく「一斉形式の授業」が,一般的なやり方とされてきました。長い間にわたって,それは当たり前の方法とされてきたので,それ以外のやり方は有り得ないかのような気さえします。

しかし,この数年,学校を取り巻く状況はずいぶんと変わってきました。落ちこぼれ・落ちこぼしの問題は言うに及ばず,不登校やいじめ,ひいては学級崩壊などの原因の一端が子どもたちの側にではなく,効率性や画一性を求めてきた教育の側にもあるのではないかと考えられるようになってきたのです。

今まで学級では,一斉形式の指導が主流をなしてきましたが,これからは,児童・生徒数の縮小化を含め,指導の形態は大きく変わっていかざるをえないと思われます。一人の教師が何十人もの子どもたちに対して,同じ目標を与え,教科書と黒板を使って,同じような進度で進めていくという伝統的なやり方は,変わっていかざるを得ないのです。なぜなら,世の中全体が,大衆化・均一化の時代から個性化・個別化の時代に変わってきているからです。子どもや保護者はそうした動きを望んでいます。

そうした動きのなかで,今までともすれば排除されたり放っておかれたLD・ADHDの子どもたちにも,今ようやく日が当たり始めた,そんな印象を持ちます。

いま通常の学級で,何ができるのか,一緒に考えていきたいと思います。

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