家庭教育ツーウェイ 2004年6月号
子どものやる気を引き出す「珠玉の言葉」

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家庭教育ツーウェイ 2004年6月号子どものやる気を引き出す「珠玉の言葉」

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ジャンル:
その他教育
刊行:
2004年5月14日
対象:
幼・小
仕様:
B5判 80頁
状態:
絶版
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目次

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特集 子どものやる気を引き出す「珠玉の言葉」
子どものやる気を引き出す6つの方法
向山 洋一
話題のベストセラー
「教室がシーンとなるとっておきの話」「子どもがじっと耳を傾ける魔法のおはなし」
やる気のでない子、荒んだ心に沁みこむ読み聞かせの本の紹介
師尾 喜代子
教室がシーンとなるとっておきの話
身近な材料で子どもはうんと考える
石川 裕美
全校中がシーンとなった“とっておきの話”
山本 純
「脳は知っている」
板倉 美江
「自分ひとりくらいずるしたって大丈夫」ではない
津下 哲也
子どもがじっと耳を傾ける魔法のおはなし
読み聞かせるだけで子どもが変わる、お説教よりも効く魔法のおはなし
前田 あかね
これで高学年の子供達が変わった「阪神淡路大震災」の話
中濱 麻美
読み聞かせは「お説教の極意」だ!
福嶋 隆史
格言かるたに熱中する子どもたち
暗唱かるたは、遊びながら名文を覚えてしまう、すぐれた教材である
甲本 卓司
みるみる覚えられる不思議なかるた新発売
赤木 雅美
朝日作文コンクール つまずいた子を救った親の言葉
向山 洋一
〈読書のすすめ〉書店店長がすすめる
斎藤一人のこの一冊と本人の実像
清水 克衛
幼児期の子どもに私が話す言葉
失敗したっていいんだよ
勇 和代
親の気持ち、親の願いを意識して伝える
遠藤 真理子
今までの記録を見せて「じょうずになったね」と言う
野崎 史雄
私と子どもを変えた言葉
渡邊 泰世
余計な言葉が子どもを潰す 正しいほめ言葉をしっかりかけて子どもを伸ばす
白石 周二
小学校の子どもに私が話す言葉
子どもの思考をプラスに変える「努力直線、実力曲線」の話
星野 裕二
笑顔のすばらしさを離す
神谷 祐子
1つのことを取り上げ、続けることの大切さを語り、子どもたちに進歩の道筋を示す
戸井 和彦
子どもが共感を覚えるように
千葉 幹雄
「記憶の原理原則」から漢字練習の趣意を説明する
谷 和樹
中学校の教室で生徒が夢中になったこの本この言葉
「珠玉の言葉」でいじめと闘う
川神 正輝
3年連続、学級文庫人気No.1は『夢 追いかけて』
染谷 幸二
クラスで誰かがいつも読んでいた1冊
向井 ひとみ
ミニ特集 害のある反復練習させていませんか? 検証・百マス計算
五百人の教師論文の証言―百マス計算は害が極めて大きい学習法である―
向山 洋一
『陰山メソッド 徹底反復 百ます計算』を分析する!
岡田 健治
百マス計算は算数の苦手な子を算数嫌いにさせる
松藤 司
プロが答えるQ&A 百マス計算ここが問題だ!
木村 重夫
陰山ソッドビデオでわかった問題点
細羽 正巳
できる子もできない、障害のある子はもっとできない百マス計算
長塚 啓
子どもは飽き、親は苛つく
落合 志保
イラストで見る家庭教育のポイント
おてつだいをしよう
岩野 節男岩野 紀子
家庭教育のポイント
知能指数が同じなのに「オール5になる子」と「オール1になる子」の違いは2つあった
向山 洋一
編集前記
向山 洋一師尾 喜代子
つぶやきに見る子どもの成長
父と子・一緒にいたいが
水野 茂一
園長が語る子育ての極意
聞く力は心の教育、学力の基礎絵本で育つ子どもの心
濱田 恭子
耐える心を
渡辺 操
校長が語る子育ての極意
父親が育む子供のアイデンティティ
市川 良二
医師 私の子育て日記
信念のある夢を持てる子に(その一)
香川 宜子
医師 普通の家庭教育の大切さ
豊かな環境は脳を重くし知能を高める
澤口 俊之
ボランティアの心を育てる
ボランティアは人としての生き方を育てる
吉田 真弓
年少のドラマ、年中のドラマ、年長のドラマ
年少/「言って聞かせますから」
山田 秀子
年中/「ともだちだから、いっしょにいたい」
山田 秀子
年長/「先生がいるから大丈夫」
山田 秀子
子どもがピンチの時のとっておきの親の話
ピョンタの冒険・梅雨
池田 千早
衝撃のドラマ 算数が大の苦手の子が満点をとった
「やった!満点だぁ!」向山型算数は、すべての子どもを笑顔にする
有村 紅穂子
本筋の心の教育
「自分のための勉強だけ」から「人の役に立つ勉強も」へ
槇田 健
小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
小1/給食、残す?残さない?
藤崎 久美子
小2/子どもが私を思い遣る
酒井 武男
小3/役割を与えることで輝く子ども
奥田 純子
佐藤昌彦の紙工作教室
創作紙とんぼ―折り紙で羽根の形をつくる―
佐藤 昌彦
工作折り込み
佐藤 昌彦
子ども調査が示す家庭教育のポイント
外遊びだけでは「人見知り」を育てる
明石 要一
SOS 子ども・親が電話相談をする時
万引きに誘われている
波多野 ミキ
親子で覚える名文・詩文
五十音
岡 惠子
親子で挑戦ペーパーチャレラン
くものすチャレラン
伊藤 亮介
インターネット・TOSSランドの活用
しりとり大好き「しりとりチャレンジャー」に夢中
楢原 八恵美
習い始めの漢字・輪郭漢字
入門期の漢字指導には原則がある―具体的なものを示す漢字から教えよ。楽しさの中で教えよ―
五十嵐 勝義
1年担任の証言・幼児期に何を教えることが大切か
していいこといけないこと
瀬戸山 久美
たっぷり睡眠は、心と体の栄養
大畑 典恵
受け入れられ、励まされること
土橋 美香
コンクール入賞続出の酒井式描画法 (第3回)
親と子で造るたのしい絵本
酒井 臣吾
お稽古、習わせる時の心得
良い先生と出会うためには、時には先生を替えてみる
森川 敦子
すぐれた教材教具の選び方
くわしく、ていねいな配慮がある教材を選ぶ
板倉 弘幸
家庭教育の基本
靴は手で並べさせる
椿原 正和
これからの小学校教育
義務づけられた実行責任・結果責任・説明責任
吉永 順一
シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
学習スタイルを変化させる
水野 美保
読者のページ
編集部ニュース
親子で学ぶインターネット
インターネットで簡単調べ学習
三澤 雅子

子どものやる気を引き出す「珠玉の言葉」

子どものやる気を引き出す6つの方法

本誌編集長、日本教育技術学会会長、千葉大学非常勤講師、無料の世界最大の教育情報サイトインターネットランド主宰TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表

向山 洋一


 子ども達をやる気にさせるのは、プロの教師の大切な仕事だ。

「夢を描き、計画を立て、実行に移す」のは成功のための大切な法則だが、夢の実現までの時間があまりにも長い。

 子ども達が「やる気になる」には、もっと短い時間に結果が出ることに限る。

 上手にやる気にさせれば、子ども達はグングン伸びていくのだが、教師も親も反対のことをやりがちである。

 つまり、子どものやる気をなくすことを、大人はせっせとしているのだ。

 やる気をなくすことは簡単だ。

 例えば、子どもの欠点を次々と見つけて、欠点を直すように毎日アドバイスすることである。こうすると子どもは、確実にやる気をなくしていく。

 叱りつけたり、他の子と比較したりしてマイナス面を並べたてることも、やる気を確実になくしていく。

 実力ある教師は、やる気にさせる方法を知っているから、そんなことをしない。

 では、どのような時、子どもはやる気になるのだろう。

 子どもが、やる気になるのは、粗く言うと、次の六つの場合である。


 第一に、ほめられるとやる気になる。

 第二に、面白いとやる気になる。

 第三に、やり方が分かるとやる気になる。

 第四に、問題を選択できるとやる気になる。

 第五に、挑戦したい問題の時やる気になる。

 第六に、はっきり評価、評定されるとやる気になる。


 第一のほめられる時といっても、気のないほめ方では駄目だ。

 心の底から、ほめなくてはならない。

 上手にできた時、うまくできた時は、ほめやすい。思い切りほめるべきだ。

 ところが、失敗したり、うまくできない時も多い。

 そんな時でもほめるのだ。

「一生懸命やっていてすごいね。努力は必ずむくわれるよ」というほめ方もある。

「昨日の貴方より進歩しているよ」と、その子自身の過去と比べることもできる。

 私は教室で「残念だが間違いだ。しかし実にユニークな考えだ。天才的な鋭さをもった間違いだ」というような言い方をした。

 間違った子は、力を得て、次々と挑戦したものである。

 第二の面白いとやる気になるは説明の必要もないだろう。

 昔、NHKテレビの超人気番組に「クイズ面白ゼミナール」があった。

 私は、その番組の教科書問題を出題していた。七年間ずっとである。

 番組を始める時、「日本で一番長い名前の草は何か」というような知識の問題を考えた。ところが、クイズ番組のプロは、そんなのは、すぐ答えてしまうのである。

 私は、ミカンを包丁で切った「切り口の図」を問題にした。

 ミカンを横に輪切りにするのは、日頃見なれているから、誰でも分かる。

 では、タテに切った切り口はどうだろう。かなり悩むに違いない。

 しかも、中心からずらして、下図のように切ったら、どうなるだろう。

 この問題は、たくさんの人を悩ました。

「分かりそうで、分からない」のである。

 私が勤めていた学校でやってみたら、女の先生方が十人ほど集まって、議論になってしまった。

 ヴェテランの女教師が叫んだ。

「給食室へ行って、今日のミカンと包丁をもってきて!」

 日本中で、これと同じ状態が生まれた。

 それほど、やる気にさせたのだ。

「分かりそうで、分からない」……これが「ゲーム」や「パズル」の基本である。

 かるたのように「勝ち負け」を入れると、更にやる気はもりあがる。

 第三の、やり方が分かるとやる気になるものもある。

 TOSSインターネットランドには「かけ算ファイター」という「かけ算練習サイト」がある。

 どの学校でも超人気で、子ども達は熱中している。

 子どもは「やり方」をすぐ覚える。「やり方」が分かればのめり込んでいくのである。

 TOSSインターネットランドには、「名文名詩の暗唱サイト」やら「小学校英会話サイト」などが、どっさり入っていて、人気の的である。

 パソコン教材に限らず、すぐれた教材は「やり方」が分かりやすくなっている。

 つまり、第一に自分でできる、第二に結果がすぐ出せる、第三にステップ(レベル)が分かるようになっているのである。

 第四の、問題を選択できると動くは少し違う。

『向山型算数難問シリーズ』という本がある。「向山の難問システム」という。

 一ページに難問が五問のっている。

 やる人は、五問のうちから一問だけを選んで解く。

 大切だから、もう一度強調する。


 五問のうちから一問だけしかやってはならない。一問で百点である。


 この方法は、ほとんどすべての子を算数に熱中させる力をもつ。

 選択できることが、ミソなのだ。

 一問できた子は、次の問題を解きたがる。技量の低い教師は、簡単に応じてしまう。

「いいわよ。次もやりなさい。二問できたら二百点ね」と言うのである。

 これは、とんでもない間違ったやり方だ。

 ダイヤモンドをどぶに捨てるようなものだ。せっかくのやる気が、そがれていくからである。

 もっとやりたいという子には、次のように言わなくてはならない。


 いいわよ。もう一問やって。でも二問できても百点で、変わりなしよ。

 もしも、二問目が間違えていたら〇点になってしまうわよ。

 それでもいいならやって!


 このように言われた子ども達は、前にもまして、やる気になって挑戦するのである。

 第五に、挑戦したい問題の時に、やる気になる。

 小学校の教室で使われている教材に、「あかねこ漢字スキル」と「あかねこ計算スキル」がある。

 日本の教室で最も多く使われているナンバーワンのスキルである。これまでに四千万冊が発刊された。私が作った。

 さまざまな工夫がされている。

 例えば「あかねこ計算スキル」の練習テストは「二問コース」「五問コース」「十問コース」と別れていて、どれも百点満点である。自分の力にあわせて選べばよい。

 クラスほぼ全員が百点をとるようになる。

 市販テストでも、クラス平均九十点はザラである。

「すぐれた教材」「正しい教え方」でやればこうなるのである。

 本誌副編集長の師尾先生のクラスでは、年度末の算数テストの平均点が九十八点であったという。ほとんどの子が百点だったということなのである。

 ところで、宿題では学力はつかない。ドリル、スキル等の練習問題を熱心に宿題に出しているクラスがあるが、学力は低い。

 学力は、授業の中でつけるのである。

「スキル練習時間」は五分から七分程度である。その中で、力がつくのである。

「あかねこスキルをやります」と教師が言うと、ほとんどのクラスは「ヤッタアー」と歓声があがる。

「正しい使い方」をすれば、どのクラスもこうなるのである。

 第六に、子どもは評価、評定されるとやる気になる。特に、数字で示す「評定」がいい。

 跳び箱などでも「二点」「三点」「五点」などと瞬時に評定をすると、見違えるように変化する。やる気になる。

 注意がいる。評定は、短く断定的であること。

 直前のことを、一言でアドバイスすること。

 何度でも、挑戦させること。

「やってよかった」と思える状態で終わること。

 以上、やる気を引き出すポイントについて述べてきた。

 本誌の特集では「格言・名言」をかるたというゲームにした時のやる気。

 つまずいた子をやる気にさせた親や教師の語りかけ。

 中学生でも、やる気になる本や言葉などを特集した。

 本誌発刊の反響は大変大きかった。手にした方の多くの方が、友人、知人に紹介してくださった。おかげで、出版二日目で再版(増刷)するということになった。

 広げてくださった方々に、心から感謝!!

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      明治図書

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