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子どものやる気を引き出す「珠玉の言葉」
子どものやる気を引き出す6つの方法
本誌編集長、日本教育技術学会会長、千葉大学非常勤講師、無料の世界最大の教育情報サイトインターネットランド主宰TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
向山 洋一
子ども達をやる気にさせるのは、プロの教師の大切な仕事だ。
「夢を描き、計画を立て、実行に移す」のは成功のための大切な法則だが、夢の実現までの時間があまりにも長い。
子ども達が「やる気になる」には、もっと短い時間に結果が出ることに限る。
上手にやる気にさせれば、子ども達はグングン伸びていくのだが、教師も親も反対のことをやりがちである。
つまり、子どものやる気をなくすことを、大人はせっせとしているのだ。
やる気をなくすことは簡単だ。
例えば、子どもの欠点を次々と見つけて、欠点を直すように毎日アドバイスすることである。こうすると子どもは、確実にやる気をなくしていく。
叱りつけたり、他の子と比較したりしてマイナス面を並べたてることも、やる気を確実になくしていく。
実力ある教師は、やる気にさせる方法を知っているから、そんなことをしない。
では、どのような時、子どもはやる気になるのだろう。
子どもが、やる気になるのは、粗く言うと、次の六つの場合である。
第一に、ほめられるとやる気になる。
第二に、面白いとやる気になる。
第三に、やり方が分かるとやる気になる。
第四に、問題を選択できるとやる気になる。
第五に、挑戦したい問題の時やる気になる。
第六に、はっきり評価、評定されるとやる気になる。
第一のほめられる時といっても、気のないほめ方では駄目だ。
心の底から、ほめなくてはならない。
上手にできた時、うまくできた時は、ほめやすい。思い切りほめるべきだ。
ところが、失敗したり、うまくできない時も多い。
そんな時でもほめるのだ。
「一生懸命やっていてすごいね。努力は必ずむくわれるよ」というほめ方もある。
「昨日の貴方より進歩しているよ」と、その子自身の過去と比べることもできる。
私は教室で「残念だが間違いだ。しかし実にユニークな考えだ。天才的な鋭さをもった間違いだ」というような言い方をした。
間違った子は、力を得て、次々と挑戦したものである。
第二の面白いとやる気になるは説明の必要もないだろう。
昔、NHKテレビの超人気番組に「クイズ面白ゼミナール」があった。
私は、その番組の教科書問題を出題していた。七年間ずっとである。
番組を始める時、「日本で一番長い名前の草は何か」というような知識の問題を考えた。ところが、クイズ番組のプロは、そんなのは、すぐ答えてしまうのである。
私は、ミカンを包丁で切った「切り口の図」を問題にした。
ミカンを横に輪切りにするのは、日頃見なれているから、誰でも分かる。
では、タテに切った切り口はどうだろう。かなり悩むに違いない。
しかも、中心からずらして、下図のように切ったら、どうなるだろう。
この問題は、たくさんの人を悩ました。
「分かりそうで、分からない」のである。
私が勤めていた学校でやってみたら、女の先生方が十人ほど集まって、議論になってしまった。
ヴェテランの女教師が叫んだ。
「給食室へ行って、今日のミカンと包丁をもってきて!」
日本中で、これと同じ状態が生まれた。
それほど、やる気にさせたのだ。
「分かりそうで、分からない」……これが「ゲーム」や「パズル」の基本である。
かるたのように「勝ち負け」を入れると、更にやる気はもりあがる。
第三の、やり方が分かるとやる気になるものもある。
TOSSインターネットランドには「かけ算ファイター」という「かけ算練習サイト」がある。
どの学校でも超人気で、子ども達は熱中している。
子どもは「やり方」をすぐ覚える。「やり方」が分かればのめり込んでいくのである。
TOSSインターネットランドには、「名文名詩の暗唱サイト」やら「小学校英会話サイト」などが、どっさり入っていて、人気の的である。
パソコン教材に限らず、すぐれた教材は「やり方」が分かりやすくなっている。
つまり、第一に自分でできる、第二に結果がすぐ出せる、第三にステップ(レベル)が分かるようになっているのである。
第四の、問題を選択できると動くは少し違う。
『向山型算数難問シリーズ』という本がある。「向山の難問システム」という。
一ページに難問が五問のっている。
やる人は、五問のうちから一問だけを選んで解く。
大切だから、もう一度強調する。
五問のうちから一問だけしかやってはならない。一問で百点である。
この方法は、ほとんどすべての子を算数に熱中させる力をもつ。
選択できることが、ミソなのだ。
一問できた子は、次の問題を解きたがる。技量の低い教師は、簡単に応じてしまう。
「いいわよ。次もやりなさい。二問できたら二百点ね」と言うのである。
これは、とんでもない間違ったやり方だ。
ダイヤモンドをどぶに捨てるようなものだ。せっかくのやる気が、そがれていくからである。
もっとやりたいという子には、次のように言わなくてはならない。
いいわよ。もう一問やって。でも二問できても百点で、変わりなしよ。
もしも、二問目が間違えていたら〇点になってしまうわよ。
それでもいいならやって!
このように言われた子ども達は、前にもまして、やる気になって挑戦するのである。
第五に、挑戦したい問題の時に、やる気になる。
小学校の教室で使われている教材に、「あかねこ漢字スキル」と「あかねこ計算スキル」がある。
日本の教室で最も多く使われているナンバーワンのスキルである。これまでに四千万冊が発刊された。私が作った。
さまざまな工夫がされている。
例えば「あかねこ計算スキル」の練習テストは「二問コース」「五問コース」「十問コース」と別れていて、どれも百点満点である。自分の力にあわせて選べばよい。
クラスほぼ全員が百点をとるようになる。
市販テストでも、クラス平均九十点はザラである。
「すぐれた教材」「正しい教え方」でやればこうなるのである。
本誌副編集長の師尾先生のクラスでは、年度末の算数テストの平均点が九十八点であったという。ほとんどの子が百点だったということなのである。
ところで、宿題では学力はつかない。ドリル、スキル等の練習問題を熱心に宿題に出しているクラスがあるが、学力は低い。
学力は、授業の中でつけるのである。
「スキル練習時間」は五分から七分程度である。その中で、力がつくのである。
「あかねこスキルをやります」と教師が言うと、ほとんどのクラスは「ヤッタアー」と歓声があがる。
「正しい使い方」をすれば、どのクラスもこうなるのである。
第六に、子どもは評価、評定されるとやる気になる。特に、数字で示す「評定」がいい。
跳び箱などでも「二点」「三点」「五点」などと瞬時に評定をすると、見違えるように変化する。やる気になる。
注意がいる。評定は、短く断定的であること。
直前のことを、一言でアドバイスすること。
何度でも、挑戦させること。
「やってよかった」と思える状態で終わること。
以上、やる気を引き出すポイントについて述べてきた。
本誌の特集では「格言・名言」をかるたというゲームにした時のやる気。
つまずいた子をやる気にさせた親や教師の語りかけ。
中学生でも、やる気になる本や言葉などを特集した。
本誌発刊の反響は大変大きかった。手にした方の多くの方が、友人、知人に紹介してくださった。おかげで、出版二日目で再版(増刷)するということになった。
広げてくださった方々に、心から感謝!!
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