家庭教育ツーウェイ 2005年5月号
学力を伸ばす底力「本当の学習習慣」の育て方

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家庭教育ツーウェイ 2005年5月号学力を伸ばす底力「本当の学習習慣」の育て方

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ジャンル:
その他教育
刊行:
2005年4月7日
対象:
幼・小
仕様:
B5判 80頁
状態:
絶版
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目次

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特集 学力を伸ばす底力「本当の学習習慣」の育て方
学力を伸ばすには本当の学習習慣(基本の力)を入学前に6項目、入学後に6項目つけることです。その力は「人生の成功法則」でもあります。
向山 洋一
ドラマ この学習習慣で学力がついた
ノートの使い方は、学力のバロメーター
石川 裕美
低学年のうちに身に付けておきたい基本的な学習習慣とは?
赤木 雅美
ミニ定規を使う習慣でテストの点数がアップ
細羽 朋恵
ていねいに、くり返し練習する
松垣 和年
国語辞典で自ら調べる習慣と語彙力をつける
森 玲子
東大に現役で入学した友人の勉強法
杉本 任士
プロなら誰でも知っている本当の学習習慣
できる子の筆箱はシンプルである
舘野 健三
優秀な子は、濃い鉛筆を使う
吉永 順一
ミニ定規を使うと算数の点が上がる
伴 一孝
うっとりするノートが書けると学力が上がる
有村 紅穂子
音読は目と耳と口を使う最高の学習法
小林 幸雄
視写は、昔から伝わる効果的な学習方法
毛利 康子
復習(くり返し)には法則がある
椿原 正和
教科書こそ最も大切な教材
根本 直樹
テストの見直しは、学力向上のカギ
河田 孝文
スキル(ドリル)は、やたらにやらせると効果がなくなる
松崎 力
学習習慣をつけるには親子の長い長い闘いがある
小学生のうちは机を買わずにテーブルで一緒に勉強した
岡 惠子
机の前に毎日すわる習慣は2年以上かかる
正木 恵子
毎日繰り返されるのは環境である
水野 正司
学習習慣をこわす!子どもの「生活習慣病」―テレビ、ゲーム、インターネットなど―
昔ながらのお年寄りの教えが予防の決め手。「外で遊べ」「早起きしろ」「よく噛んで食べろ」
谷 和樹
テレビをコントロールして家庭内にルールを
樋口 正和
辞めにくいわけを知ると自ずから解決策が見える
柏木 英樹
学習習慣育成の始まりは親の読み聞かせ
生まれたその日から、よい本を繰り返し読み聞かせること
飯田 清美
繰り返しを求める本に出会うと読書好きになる
槇田 健
この読み聞かせ方が、よい学習習慣をつける
浜井 俊洋
『ツイてる!』を愛読書にする小三の娘に読み聞かせた本
川神 正輝
ミニ特集 五色百人一首が広がる理由
千年の伝統のある百人一首で知的なこと、ルールを守ること、作法礼法を子どもは身につけます
向山 洋一
五色百人一首大会は、教師の思いが保護者へのメッセージとして届けられる場である
小宮 孝之
友達や家族とコミュニケーションできる!
西野 俊太
子ども達は五色百人一首大会を心待ちにしている
熊谷 博樹
負けると悔しいからこそ、覚えたくなる
行實 克彦
日本の伝統文化「百人一首」を五色に分けた。「五色」に分けたことに意味がある。
東田 昌樹
大会に参加することで子どもの心も家族の絆も強くなる
西尾 豊
どの子も口々に「負けても楽しい!」
近江 利江
イラストで見る家庭教育のポイント (第14回)
宿題
岩野 節男岩野 紀子
家庭教育のポイント (第14回)
重大な親の責任!!「先生宿題を出して下さい」では子どもを救えません。「先生教科書をきちんと教えて下さい」とお願いするのです。
向山 洋一
編集前記
師尾 喜代子
PTA会長奮戦記
いろいろ課題は感じますが、余裕が無くて…
下川 幸次
つぶやきに見る子どもの成長
名前が分かるようになるのは、いつ頃か
水野 茂一
園長が語る子育ての極意
子育てはレッテル貼ったらそれまで、やれば出来るの精神が肝心
菅原 雅子
校長が語る子育ての極意
家庭は家族全員で作るもの
廣中 洋子
〜望ましいスキンシップで笑顔いっぱいの家庭教育〜
塾から見た基礎学力
学びのエネルギーこそ究極の基礎学力
御厨 栄治
礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
伝統文化こども教室で子どもたちから教えられた
田辺 正子
医師 普通の家庭教育の大切さ
社会的隔離症候群
澤口 俊之
医師 私の子育て日記
人生最初の十年間
香川 宜子
教師・読者座談会 (第2回)
伴学級10年ぶりの保護者懇談会で本音トークが飛び交った
伴 一孝
最新最大の子ども調査
夜更かしが定着した子どもたち
明石 要一
小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
小1/一年生は何でも勉強!
小倉 郁美
小2/遠足の楽しさを図るバロメーターはバスの中である
桑原 和彦
小3/家庭と学校との連携の大切さ
板倉 美江
古今東西人類の知恵「子育て語録」
「寝る子は育つ」
藤原 能成
心に残る名作・名詩―父を思う・母を思う―
お釈迦様は、天からいつでも見ているよ
瀧尾 恵美子
とっておきの話・親子でお話ぬりえ
ブルちゃんのよかったさがし
島 まゆみ
SOS 子ども・親が電話相談をする時
発達障害って何ですか
波多野 ミキ
保健室から1ページ
健康の躾の三原則は「食う・寝る・遊ぶ」!
松島 裕美
こんなときどうする?平山先生!
特性やサインが見え、不安除去のかかわりができる担任教師だったなら
平山 諭赤木 雅美
親子で挑戦ペーパーチャレラン
漢字あみだチャレラン
伊藤 亮介
衝撃のドラマ・算数が大の苦手の子が満点をとった
九九表を見る、なぞるの積み重ねで力をつけていきます
上木 信弘
本筋の心の教育
大人の真剣な姿は子供に伝わる
桑原 泰樹
親子で漢字文化ワーク (第2回)
神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
神谷 祐子辻野 裕美
親子でイラスト作文 (第2回)
ライオンとねずみ
師尾 喜代子
酒井式描画法・感想画
花咲か爺さん
酒井 臣吾
1000年続く教材・いろは歌
いろは歌以前の初等教材
森川 敦子
1000年続くかけ算九九
九九のルーツは中国に在り
板倉 弘幸
家庭教育の基本
あなたのご家庭の「家風」は何ですか?
椿原 正和
特別支援教育のはなし
具体的に困ったことが相談できれば適切な対応への道が開けてくる
大場 寿子
シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
子どもを誉めるときには3点セットで
水野 美保
これからの小学校教育
幼(保)小連携が一層重要になっている
大森 修
読者のページ
編集部ニュース
現代っ子アンケート・子どもインタビュー
子どもたちは昔の遊びを失っていない
平田 淳
酒井式描画法・感想画
酒井式描画法による絵
酒井 臣吾

学力を伸ばす底力「本当の学習習慣」の育て方

学力を伸ばすには本当の学習習慣(基本の力)を入学前に6項目、入学後に6項目つけることです。その力は「人生の成功法則」でもあります。

向山洋一

本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師

無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰

TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表


 家庭教育で学力を伸ばすには、原則があります。遠い昔から、私たちの祖先が伝えてきた原則です。

 小学校入学前と小学校入学後の二つに分けて述べてみます。


 まずは、小学校入学前です。

 第一は、毎日一度は、子どもをぎゅっと抱きしめてやることです。

 抱きしめながら「大好きだよ」「私の宝だよ」「挨拶が上手になって、うれしいよ」と、親の愛を伝えます。

 親の愛を毎日感じている子は、精神的に安定します。

 親に包まれている安心感によってこそ、「知的好奇心」は芽ばえ「行動」につながっていくのです。

 アメリカでの実感があるのですが、親の愛を感じられない子は「一人とじこもったり」「新しいものに敵対的になったり」しがちなのです。

 第二は、早く寝かせることです。幼児の時は「八時までに寝かせる」のが目安でしょう。勉強のできる、人柄のいい子どものお母さんと話をしていると「早く寝かせていました」という人が、多いのです。

 京都大学の先生から聞いた話ですが、軽度の知的障害がある子でも「八時前に寝かせていた子」と「夜ふかしをしていた子」では、結果が大きく違うそうです。

 「八時前に寝かせていた子」は、軽度知的障害を見事に克服した子が多いのに対して「夜ふかしをしていた子」は、障害が重くなった場合が多いというのです。

 最近の脳科学では「学力を伸ばすためには、よく寝なくては駄目だ」と言われます。寝ている間に記憶が定着するしくみがあるとのことです。

 「寝る子は育つ」「寝る子はかしこくなる」は、昔から言われていることですが、とっても大切なことです。

 第三に、テレビを見る時間の制限が必要です。私の家の場合、娘には、ほとんど見せませんでした。中学、高校、大学と、テレビには、ほとんど関心を示しませんでした。

 一日に、大好きな番組を二つくらいが目安ではないかと思います。

 第四に「片づける」ことを教えることです。「最後までやる」くせをつけるのです。

 もちろん、最初の頃は親子で一緒にやって、少しずつ自分でやらせます。

 そのたびにほめてやるのです。

 「最後までやる」というくせは、長い間にわたってその子の力を伸ばします。

 第五に「本の読み聞かせ」です。

 私の場合は、小学校の二年生くらいまで「一日一冊、子どもが選んだ本」を寝る前に読み聞かせました。

 もっとも私は、週に一回が担当で、後は家内がやっていました。

 最初の頃は「毎日同じ本」を持ってきました。「ノンタン」のシリーズです。

 毎日、同じでいいのです。

 毎日の「読み聞かせ」は、親が子どもに贈れる最大のプレゼントだと思います。

 FM東京の放送の中で、私は「一年間で一千万円をプレゼントしたと同じぐらいの価値がある」と言い続けました。

 「親子の情が深まり」「ストーリーを頭の中で想像する」ようになり「文章を覚え」「ことばに関心を示し」「読むリズムを体得する」ようになり「記憶する力もついてくる」し「知的好奇心も育ち」いいことづくめなのです。

 かしこく、心豊かで、親思いの子に育てたかったら「小さい時の本の読み聞かせ」が何よりもいい方法です。

 最後に、もう一つ加えるとすれば「甘いもの」を制限することでしょうか。

 カルシウムは骨をつくりますが、脳の働きをコントロールします。カルシウム不足ですと「切れやすい子」になるのです。

 「甘いもの」は、体内のカルシウムを破壊します。角砂糖一個で、牛乳ビン七本分のカルシウムがこわれるといいます。

 一本の甘い飲料には、角砂糖七個分くらいが入っています。一本飲むと、牛乳ビン五十本分のカルシウムがこわれます。

 学校で「乱暴な子」「よく切れる子」を調査すると「甘い飲料」「菓子」をたくさん食べている場合が多いのです。

 ある教育長さんは「うちの管内の最大のワルの中学生は、一日にジュース類を八本くらい飲む」と言っていました。

 私の娘は、今も「甘いもの」は好きではありません。チョコレートも食べません。

(私は好きな方ですが……)

 「甘いもの」の制限は、親のつとめです。

 以上六つのことが、大体できて「小学校に入学」してくるなら「勉強のできる、心豊かな子」になると断言できます。

 逆に、六つのことのほとんどができてない場合「勉強のできる、心豊かな子」になるためには、親も教師も、かなりの努力を必要とします。

 もちろん「小さい時の努力」の何倍も力を入れる必要があります。


 さて、小学校に入学した後の目的は何でしょうか。

 これも、大切な六つを紹介します。

 第一は、躾の基本を身につけさせることです。いろいろな躾がありますが、基本は三つです。

 第一は「返事」、第二は「挨拶」、第三は「ぬいだ靴をそろえる」「席を立つ時椅子を入れる」という後始末です。

 この三つは、人生で成功するための条件です。

 プロ野球でも、タレントの道でも、企業でも、商売でも、技術者でも「この三つができている人」は、高く評価されます。

 そういえば、納税日本一の斎藤一人さんも、この三つの大切さを、お弟子に教えると書いていました。

 教える時は、百回ぐらい言わないと身につかないとも言ってます。

 なるほど、日本一の商人です。

 「前に教えたでしょ」と言うのは、駄目なのです。教師が、子どもを教える時も、何回も何十回も(叱らないで)教えてやるのです。

 二のテレビ(ゲーム)の制限は同じです。

 一日に「一時間半」くらいが基本でしょうか。

 かつて、田園調布地区の九つの小学校で調査した時、平均が「一時間半」でした。

 ということは、多くの家庭は一時間以内で、二時間、三時間、四時間の子が、ポツポツいるということです。

 「宿題忘れ」「忘れもの」をする子は、見事なくらいテレビをよく見ている子でした。

 「子どもと約束したのに、子どもがスイッチをつけてしまう」と、相談にくるお母さんがいます。

 何をするか決まっています。親がスイッチを切るのです。守らなければ、テレビを物置に入れてしまうのです。捨てた親もいました。

 そのくらいの覚悟でやらないと「これまでルールがなかった子」に教えることはできません。

 第三の寝る時間ですが、十歳までは「九時前」が良いようです。

 先日、クラス会で、中学校の友人達に会いました。

 職人の友人は「うちは、親が朝早いから九時には寝かせていた」と言います。

 友人は中卒ですが、子どもは一流大学に入りました。「うちも九時前に寝かせていた」と声をあげる友人が何人かいました。

 第四に、さまざまな体験をさせるということです。

 まずは「はだし」になる体験。虫をとる体験、旅に出る体験。体験は、脳の器を大きくしてくれます。

 第五に、毎日一定時間「机の前にすわる」という習慣をつけることです。

 学年×十分が最低ラインです。

 最初は「好きな本」を読むのでいいのです。大切なのは、毎日、机の前にすわることです。

 第六は「算数の教科書のすべての問題」と「漢字」は、親が責任を持って、習得させることです。

 TOSSの教師なら、学校で当然教えていますが、教科書をろくに教えず、プリントをやる教師も多いのです。

 教師に「教科書をきちんと教えて下さい」と要望すると共に親も責任を持つのです。

 算数の教科書の問題を全部、ノートにていねいに書くことが目的です。(ノート、七、八冊が必要です)

 以上の六つのことが、できていたら、「基礎力」もあり「伸びていく力」もあり「人格も豊かな」人に育っていると断言できます。

 中学校に行っても、自分で成長していくでしょうし、高校、大学も、自分が志望する所に入っていくでしょう。

 なお「中学で受験する」という人は、以上の他に「問題集を一冊」と「その学校の過去の入試問題五年分」を、十二月までにマスターする(どれを出してもできる状態にする)ことが、目安です。

 かつて向山学級から、この指導で「麻布」「慶応」「女子学院」「聖心」など、クラスの三分の一(受験十一名全員)が合格しました。


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