家庭教育ツーウェイ 2006年10月号
子どもがやる気を起こす“8つの場面”

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家庭教育ツーウェイ 2006年10月号子どもがやる気を起こす“8つの場面”

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ジャンル:
その他教育
刊行:
2006年9月7日
対象:
幼・小
仕様:
B5判 80頁
状態:
絶版
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目次

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特集 子どもがやる気を起こす“8つの場面”
やる気をなくすひどい教室は保護者が救おう。やる気が起こる8つの場面は家庭でも可能!
向山 洋一
やる気を起こす“8つの場面”
@見通しをもてるとやる気になる
努力と成長の関係をグラフで視覚的に示す。
鳥居 徹也
「努力のつぼ」を信じて頑張り続ける子に
神谷 祐子
Aやり方がわかるとやる気になる
覚え方がわかると漢字の練習もやる気が出る。
谷 和樹
やり方を教え、ほめ、できるまで待つ
浅川 清
B問題が選択できるとやる気になる
子供が熱中する「難問プリント」
伴 一孝
自分にあったコースを選べるから安心してできる。
岡 惠子
C評定されるとやる気になる
評定で激変する「一分間スピーチ」
椿原 正和
個別評定は、支援を要する子どもにも効果的な指導法です。
瀬戸内 凛
D挑戦する時やる気になる
逆上がりができるヒミツ特訓に挑戦
木村 重夫
なわとびの二重とびに挑戦!
森川 敦子
E面白いとやる気になる
シンプル、勝敗がはっきりする、復活できる
松藤 司
面白さに夢中!周りの人を巻き込むエネルギー
手塚 美和
Fみんなとやるとやる気になる
子ども達は、「友達と一緒にがんばりたい」のです。
河田 孝文
無気力なA男が熱中した!暗唱指導
桑原 陽子
Gほめられるとやる気になる
ほめられサイクルを作ろう
甲本 卓司
子どもがやる気を出すほめ方の原則
太田 聡美
日本の昔からの教え
努力の継続こそ子どもの成長を進める基である
板倉 弘幸
状況に合わせ、教えの意味を話す
新川 莊六
子どもがやる気を出した時
まちがったものだけをやりなおす向山型漢字指導
奥 清二郎
苦手だと思っていたことができた時、やる気がぐっと伸びる
末廣 真弓
お手伝いをさせてほめる。何かに熱中させる。
大堀 真
子どもがやる気をなくす―絶対やってはならないこと
「人格否定」「他人との比較」でやる気をなくす
松本 俊樹
子どもがやる気をなくす七原則―向山式「やる気を起こさせる七原則」の裏返し―
木村 孝康
やる気を出した子はどう成長したか
たかが○×。されど○×。
山 佳己
できる自分を知った時、子どもはぐんと伸びる
内村 博幸
小学校から中学・高校へ
八和田 清秀
ミニ特集 親子のコミュニケーションスキル
朝、起きた時→朝食の時
「おはよう」と挨拶みんなで朝ごはん
細羽 正巳
一人息子の甘えを受け入れる
遠藤 真理子
躾を行い、スキンシップをとる貴重な時間
藤原 能成
夕、帰宅した時→夕食前まで
子どもの心を受け止める
松垣 和年
子どもと一緒に遊ぶ中で、日常では経験できない運動をさせる。
東田 昌樹
お手伝いこそ一家のコミュニケーションの源泉
大堀 真
夜、夕食→寝る前まで
お風呂が一緒。寝入りも一緒。〜「安心」し、「安定」する〜
鈴木 恭子
最高環境は最適環境ではない
水野 正司
夕食、お風呂、ねる時三つの場面で、コミュニケーションを図る
津下 哲也
今月の名言・格言・ことわざ (第7回)
石の上にも三年
岩野 節男岩野 紀子
向山編集長が語る「今月の名言・格言・ことわざ」 (第7回)
石の上にも三年
向山 洋一
〜ロハスのポイントは「継続力」である〜
編集前記
師尾 喜代子
子どもTOSSデーのドラマ
千葉/苦手な読書感想文を書き上げた!
両部 桂一
宮崎/子どもから保護者から活力をいただいた
徳丸 幸平
全国各地にTOSS式子ども地域教室を!
「TOSS子ども地域教室」を全国津々浦々へ
寺田 真紀子
幼児のドラマ、小1のドラマ、小2のドラマ
幼児/息子をいとおしく感じるとき
遠藤 真理子
小1/五色百人一首で凛とした表情に変わる
田口 忠博
小2/成長を信じて見守る
松垣 和年
小3のドラマ、小4のドラマ、小5のドラマ、小6のドラマ
小3/苦手な子もすてきな絵を描くことができた
野崎 史雄
小4/子どもの成長を信じ、励まし続けて待つことの大切さ
田上 大輔
小5/算数苦手なA君が、『計算スキル』で算数好きに
高本 和美
小6/二枚から五十枚へ!分析批評で大激変が起こった!
木村 孝康
礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
心で感じてほしい。心が生み出した日本の動作の美しさ
黒田 千里
マナーは心を育み・心を耕す
谷 美千緒
つぶやきに見る子どもの成長
つぶやきに学ぶ
水野 茂一
〜負うた子に教えられる・大人の影響〜
シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
感謝と要求
水野 美保
TOSS学生奮戦記
軽度発達障害児の保護者の心境を学ぶ
小嶋 悠紀
SOS 子ども・親が電話相談をする時
お母さん同士のつきあいがつらい
波多野 ミキ
保健室から1ページ
おやつは自分で選びます!「脂質」は十グラム以下
松島 裕美
こんなときどうする?平山先生!
担任が変わった際の伝達事項は?/すぐキレる子の対応は?
平山 諭赤木 雅美
子育て日本の教育「貝原益軒・細井平洲・森信三」
現在でも通用する子育てのバイブル―貝原益軒『和俗童子訓』
松藤 司
藍川メソッド・音楽教育“常識”の間違い
唱歌と富国強兵
藍川 由美
食育・親子で楽しく・ここがポイント
「弧食」から様々な「こしょく」の姿が見えてくる。
並木 孝樹
キャリア教育のポイント
幼児期のキャリア教育
太田 輝昭
数字で見る子どもの姿
青少年団体活動の効用とは
明石 要一
中学から見た基礎基本
相手と目を合わせること
大北 修一
教師・読者座談会 (第19回)
子どもTOSSデーは楽しかった。是非、またやって欲しい。
佐藤 琢朗
親子で挑戦ペーパーチャレラン
計算チャレラン(その1・2)
伊藤 亮介
親子でたいそう
さかさって楽しい!!
村田 斎
親子で漢字文化ワーク (第19回)
神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
神谷 祐子辻野 裕美
ライフスキル教育
入学前に準備する7つのライフスキル教育
細羽 正巳
最前線・英語教育
楽しいだけの英語活動から、聞いて話せる英語教育へ
間宮 多恵
最前線・インターネット教育
新しくなったインターネットランドで楽しい授業をする
佐藤 琢朗
母親ネットワーク
TOSSの先生を応援してください!
西岡 美香
校長が語るこれからの学校教育
「感謝する・我慢する。やり遂げる」を実践する学校をめざして
槇田 健
読者のページ
編集部ニュース
現代っ子アンケート・子どもインタビュー
お祭りで何にお金を使いますか?
平田 淳
TOSSインターネットランドで勉強しよう!
かけ算ファイター「さが」
寒河江 恒太鈴木 恭子

子どもがやる気を起こす“8つの場面”

やる気をなくすひどい教室は保護者が救おう。やる気が起こる8つの場面は家庭でも可能!

向山洋一

本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師

無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰

TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表


 「勉強をしなさい」は、世の母親の口グセだが、いくら「勉強しなさい」と言っても、勉強することはない。

 あまり口うるさく言われると「やっているふり」をすることがあるが、心は別のことを考えている。

 だから、「子育て」で大切なのは「やる気」なのである。

 「好きなこと」なら「やる気」になると思いがちだが、「すぐに、いやになる」ことも多いのである。

 「やる気」を「育てる」ことこそ、教育の基本なのだ。

 すぐれた教師の教室は「やる気」に満ちている。

 未熟な教師の教室は「ダラー」とした空気に包まれ、「投げやり」「やらない」状態が慢性化している。

 一般的には、小さい子ほど、やる気に満ちている。

 「一年生」は何をやっても意欲的だ。

 授業が知性的で、子どもがよくほめられている教室なら、やる気は、どんどん伸びていく。

 しかし、低学年、中学年で「力ない教師」に教わると「投げやり」な態度が、身についてしまう。

 まずは、「やる気」をなくしてしまう教室、反抗的になってしまう教室のことを理解しておくことが大切だ。

 力ない教師の教室では「シャープペン」が使われている(教室では、濃い目の鉛筆を使わせるのが、プロ教師の常識だ)。

 力ない教師の教室では、「授業中やるべき教科書の問題」が、宿題に出される。「宿題では学力はつかない」というのが、アメリカの研究の結論だ。

 力ない教師の教室では、「ノートの書き方」が指導されてない。従って、算数のノートがグチャグチャになっている。

 力ない教師の教室では「授業時間が休み時間に延長」される。しかも「授業の開始が遅れがち」である。

 力ない教師の教室の「絵」は、ちぢこまってチマチマしている。ダイナミックな感動の絵がない。

 力ない教師の教室では「教師は叱ってばかり」いる。

 力ない教師の教室では「教師の説明」がダラダラと長い。プロの話し方は、シンプルで「やること」「要点」がよく分かる。

 力ない教師の教室では「黒板にゴタゴタもの」が貼ってあり「教室の前面に、やたら目標など」が貼ってある。どれも、目がチラチラして、学習のじゃまだ。小児神経科の医師は、こういう教室では、軽度発達障害の子は、落ちつきを失うと警告している。

 力ない教師の教室では、子どもがほめられない。力ある教師なら、たくさんのほめる言葉を、子どもに与えている。


 こうした力ない教師の教室で、低学年から育つと「反抗挑戦性障害」という傾向を示す子が出てくる。

 何をしても、反抗するのだ。

 相当力量のある教師でも、こうした子を五年生で担当すると、困難だ。

 学級を維持しているだけでも、立派だと思うほどである。

 反抗挑戦性障害の子ども達は、学校が作ったものだ。一人や二人の少ない教師ではこうはならない。

 学校の中の、かなりの教師が力がないからこそこうなる。校長、教頭も、指導できなかったのである。

 さて、こういう学校では、荒れた事件が生れる。四年生になると手がつけられなくなる。

 五年生を誰が担任するか大問題だ。

 駄目な学校では、「誰一人として五年生担任を希望しない」のである。

 校長が、持ちかけても、断固として拒絶する。組合として団交する学校もある。

 みんな、荒れた学年を逃げまわるのだ。

 その結果、荒れた学年は、新任教師、新卒教師にまわされる。

 学校ぐるみで「育てあげた」荒れた学年を新任、新卒に押しつけるのだ。

 こんな学校が、ゴロゴロある。

 新任の教師は、わけが分からないまま、荒れた学年を担任する。

 当然、学級崩壊になる。いや、すでに、どうしようもないほど、学級崩壊しているのである。

 こんな学年は、どんな力のある教師が担任しても、荒れるのだ。

 ひどい校長は、それを新しい担任の責任にして、せめるのである。

 かくして、新任の教師は、病気になっていく。

 新卒教師は、もっと大変だ。

 あっという間に地獄になる。

 三日で、どうしようもなくなる。

 心を病む。入院する。

 それのみか、自殺することもある。

 毎年のように、新卒教師が自殺しているのだ。

 一人一人の教師の力量が上がらなければ駄目なのである。

 なによりも「授業の力」をつけなければならない。

 私たちは、TOSS授業技量検定を実施している。何千人もの教師が受検して、みるみるうちに力量を上げている。

 全国各地で、テレビ放映もされた。

 TOSS授業技量検定を仮に十段階だとする。

 最上位が十点で、最下位が一点である。

 私の実感でいうと、TOSS授業技量検定の最下位の一点に入るのが、日本の教師の九割である。

 更に、残りの一割のほとんどが、二点の中に入る。

 本誌読者で、「ふざけんな!」と思う方はぜひ「TOSS授業技量検定」を受検していただきたい。毎回、何百人もの教師の前で、公開されて実施されている。

 審査には、必ず代案を示し、実演して示してくれる。口先だけの審査員はいない。

 教室が荒れてしまったら、クラスの保護者で協力して、解決するために、力をそそぐことだ。

 荒れる原因は「授業が下手」ということにつきる。これが、九割だ。

 もう一つは、軽度発達障害の子(子どもの一割近くいる)に対して、戦後のデタラメ指導をしているからである。

 荒れたクラスで育った子は、「学習する力」を身につけることなく、もちろん「学力」も低いままで、中学に入ることになる。

 回復には、相当の困難がつきまとう。

 早くから、親も手をうつべきなのだ。


 良い授業とは、親が聞いていても楽しいものだ。

 頭を使い、ホウーと思うものなのである。

 子どもたちも熱中しており、笑い声があがる。

 一時間の中で何十回も先生は、ほめ言葉を発するのである。

 先生は、いつも笑顔だ、ことばも、短くシンプルだ。だから分かりやすい。

 こうした授業の力は、修業をしなければ身につかない。

 寿司職人は、何年の修業が必要だろうか。 サッカー、野球のコーチをするには、自分自身も何年もの修業が必要だったはずだ。

 毎週一回の研究会に出て、真剣な三年間の修業が一応の目やすだろう。

 (中学の時、週に一回のテニスクラブの練習をして三年間で、どのくらいの力がつくだろうか。地区大会入賞も無理だろう)

 TOSSの一万人の教師は、みんなそうした修業をしている。毎月何万円もの車代、交通費をつかって勉強している。

 プロなら、どの道でも同じことである。

 教師が、あまりにも勉強不足だったのだ。


 さて、子どもの「やる気」である。

 普通の教室で、習っていることを前提にする。おだやかなクラスは、それだけで幸せなことなのだ。

 私の経験でいえば、子どもがやる気を起こす場面は八つある。

 すべて、私の三十二年間の教師の経験から導き出したことである。

 八つの場面、それぞれにいくつものドラマがある。

 八つの場面は、他の教室でも生まれることだ。

 このような場面に出会うと、子どもはやる気をおこすということが分かっていれば、教師は、それをしくんでいける。

 計画的に意図的に作り出すことができる。

 やる気を出した子どもの成長は著しい。

 グーンと成長していくのだ。

 これは、家庭でも同じである。

 「叱ってばかりいる」「説教ばかりしている」ことは、実は「やる気をなくしている」のだ。

 ここに示した八つの場面を家庭でとり入れることによって、我が子の成長は加速されていくことになる。

◆特報

@ 読売新聞とTOSSがタイアップの「食育コンクール」がすすめられている。

 「和食の授業」、「料理部門 日本人の食生活の知恵」の二部門である。くわしくは読売新聞で発表される。

A TOSSの教育を我が子にもという保護者の熱い要望にこたえ「TOSS学生家庭教師システム」が進行中である。まずは「信州大、熊本大、岡山大のTOSS学生で始まり、近く全国二十大学に広がる予定。

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