- 特集 こんなに違う男の子、女の子の対応術
- 男の子も女の子も、それぞれにすばらしい
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- 男の子、女の子の育て方
- 男子の「女性化」を阻止しよう
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- 問題児は親が作る~父母が理解しあっている家庭で育つ子は幸せ~
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- 実感 男の子と女の子はこんなに違った
- 違いにびっくり!それぞれに合った言葉かけがある。
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- 男の子には手をかけて、女の子には目をかけて
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- TOSS式子ども調査が教える男の子、女の子の違い
- ①何をしている時が楽しいか
- 父親は、ここ一番で逃げない
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- 男の子と女の子のよさ(特性)
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- ②友だちは何人いるか
- 友だちの数は遊びと深い関係がある
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- 「たくさん」の男の子、「少人数」の女の子
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- ③プレゼントに何がほしいか
- 男女ともゲーム機がトップ
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- 思い出に残るプレゼントを
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- ④昨日テレビゲームをどれだけしたか
- 使用時間を守らせ、遊びや趣味を広げてやる
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- 家からテレビがなくなった!
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- ⑤家の人とどんな時話すか
- じっくり型の女の子と、~ながら型の男の子
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- 「食事」の時間を大切に「話題」を選んで
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- ⑥年賀状を何枚出すか
- 年賀状を出すのを面倒がる男の子。「書く文化」の復活が、必要である
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- 女子は相談をして年賀状を出す子が多い
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- 小学校3年生から変わり始める
- 頭ごなしに修正しようとおもわずに、変化は成長と見る
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- 紳士・淑女として接することも大切です
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- 女の子の文化、男の子の文化
- 五色百人一首は男女を仲良くする。「限度がある」ことの大切さを教える。
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- 男女ともに楽しめる紙の文化「おりがみ」
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- 男の子の事件簿
- 初期の「万引き」は、教育のチャンス!
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- 事件は起きる―愛情をもって本気でしかれ―
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- 女の子の事件簿
- 自分の思いを伝える機会をもうける
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- 女の子は褒めて褒めて育てる 不公平感をのこす叱り方はしない
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- ミニ特集 学校が楽しいと言える子の育ち方―八時就寝、「おはよう」のあいさつ、家族そろって朝ごはん
- 親に温かく大切に育てられた子が「学校が楽しい」という。
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- 十分な睡眠と家族との会話
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- 八時就寝でプラスの方向に循環させる。そこには、親の努力が必要である。
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- 「早く起きなさい」のイライラ声よりスキンシップ
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- 自分が安心できる居場所のある家庭
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- 自分の生活を自慢したくてたまらない子どもであってほしい
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- 今月の名言・格言・ことわざ (第8回)
- 喧嘩両成敗
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- 向山編集長が語る「今月の名言・格言・ことわざ」 (第8回)
- 喧嘩両成敗
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- ~けんか両成敗は日本人の知恵です。~
- 編集前記
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- 福島/理科の人気がダントツ二番手は五色百人一首
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- 幼児のドラマ、小1のドラマ、小2のドラマ
- 幼児/銭湯と百玉そろばん
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- 小1/ことわざで、朝のスタートが気持ちよく、クラスが知的に!
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- 小2/五色百人一首がドラマを作る!
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- シングルエイジ時代(0~9歳)教育のポイント
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こんなに違う男の子、女の子の対応術
男の子も女の子も、それぞれにすばらしい
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
小学校に入学した頃は、男の子と女の子の違いはありません。
しかし、小学校二年の三学期から、三年生にかけて、大きな変化が生まれます。
教師の世界では、「国語の教科書を声をあわせて何回も読むのは、小学校三年生一学期まで」と言われてきました。
小学校の低学年の時には、声をあわせて教科書を何回も読みます。
何回も読むうちに、上手になってきますし、読み方のリズムも身についてきます。
しかし、この指導法は低学年のうちなのです。
もちろん、高学年でも声をあわせて読む時はありますが、それは最初の一回くらいなのです。
三年生になると、個性が強く出てきます。また、気のあった仲間をもとめます。
「ギャングエイジ」といわれるほど、「自分達の群れ」を作るのです。
個人差(個性)が芽生えてくるだけではありません。男の子、女の子の違いも生まれてきます。
はっきり分かるのは、お年玉などの小遣いの使い道です。
昔、田園調布地区十一の小学校で調査をしたことがありますが、はっきりと違いが出ました。
低学年の頃は、男の子も女の子も「おもちゃ」が主流です。おもちゃ屋へ行きます。
しかし、二年生から三年生にかけて、女の子の行く場所は「文房具屋」に変化します。
文房具を買うのではありません。
ファンシー商品を買うようになるのです。
男の子はチャンバラ、女の子はおしゃれという感じでしょうか。
このような変化を考えると、小学校一年生の頃から「生き方のキーワード」を、一つか二つ、折にふれて話すことが大切だと思います。
男の子なら「何にでも挑戦する」ということでしょうか。あるいは「約束を守る」ということでしょうか。
女の子なら「人に優しい」ということでしょうか。
これは、ご両親の我が子への想いから出てくることばだと思います。
何かのエピソードをまじえながら話してあげるといいと思います。子どもの一生の宝となります。
私が小学校二年生の担任をしていたときの学校通信から「男の子」と「女の子」のすばらしさを紹介します。
遠足に行って、ドッジボールしていたところ、ボールが川に落ちてしまった事件です。
***
サッカーボールは流れていった
全校遠足の二年生の目的地は田園調布の先、多摩川河原の少年野球場と隣接の公園だった。荷物を置いた子供たちは広々とした場所で、それぞれに遊び始めた。ダンボールを使っての土手の草スキー、なわとびなどに人気があった。わがクラスの男の子で三人ほどサッカーボールを持ってきた子がいた。だから男の子の多くはサッカーで遊んでいた。
かくして一時間、担任もそれぞれの遊びの中に入った。小方先生は草スキー、西川先生はなわとび、私はサッカーボールを使ってのドッジボール。
少年野球場の片隅に、雨つぶ形のラインがひいてあった。まん中にひろってきた棒を置いて、ドッジボールのコートとした。
太っているコートが女の子のコート、やせているコートが男の子のコートであった。
クラスの半分くらいの子供たちで始めたドッジボールも、三十分もやっているうちに人間が集まってきて、クラスの三分の二くらいの子供たちにふえた。私も、女の子のチームに入って遊んでいた。
ところが、ある時、ボールが男の子の守っていた外野をぬけてコロコロころがっていった。男の子たちは夢中で追いかけたが、川辺りの斜面をころがって川に飛び込んでしまった。勢いがついていたため、川辺りから七、八mも遠くへ行ってしまった。
とても、届かない。石をボールの向こう側に投げて、もどそうとしたがうまくいかなかった。ボールは、ゆっくりゆっくりと岸を離れていった。
子供たちは、川岸でがっかりしていた。外野の男の子たちは、ボールの持ち主である今村君に「ゴメンネ」と連発していた。
私も、「学校にあるサッカーボールをあげるから、あきらめよう」となぐさめていた。みんなの気落ちした様子に、枝折君が、「ボクのサッカーボールで続けよう」とよびかけていた。
また、ドッジボールは続けられた。
泣きじゃくっていた今村君は、私の所へきて「少しドッジボールを休んでいます」と言った。
また、ボールがころがるといけないので、私はゲームから離れて斜面になるところに腰をおろした。外野から十メートルほどである。今村君も少し離れた花壇に腰かけて泣いていた。
遊びは続いた。ドッジボールをやっていない子供たちもそばにやってきた。かくれんぼをしていた清水君、大竹君、小畑君も通りすぎていった。雪葉さんは私とボールの守りについた。舞ちゃん追川さん大田さんもやって来て、今村君に声をかけていた。突然追川朋子ちゃんはかけ去っていった。もどってきた彼女は小さい黄色いボールを今村君にわたしていた。やがて昼食となった。
突然、梁(やな)田(た)君が走り込んできて、「アクアラングの人たちにボールをとってもらっていいか?」と聞いてきた。昼食が終わるころである。子供たちは、遊んでいても、昼食していても、今村君のボールのことを考えていたのである。昼すぎにやってきたアクアラングの人を見て思いついたのだ。
神崎君が考えついた。そして坂田君にけしかけた。実行する人である。坂田君は心細いので梁田君をさそった。梁田君は私の了解を求めにきて、いさんで頼みにいった。やがて四、五分、「とりました」という大歓声がひびいてきた。
私はいそいで川辺に向かった。エンジンのひびきもいさましいボートがもどってきたところだった。私は何度も御礼を言った。相手の方々は照れていた。
みんな集まってきて、今村君に「よかったね」と連発していた。
彼の弁当には、いなり寿司がまだそのまま残っていた。
今村君がポケットから、小さな黄色いボールを出して朋子ちゃんに渡した。朋子ちゃんも黙ってそれを受けとった。
「どうしたの?」と私が聞くと、朋子ちゃんは、「あげたの」と短く言った。今村君は「返したの」と短く言った。サッカーボールをなくして泣いていた今村君に、朋子ちゃんは、せめてもの心尽しに小さなボールをそっとあげたのだ。今、それはいらなくなった。だから、黙って返して、黙って受けとったのだ。
小さな小さな小さな世界の物語である。
***
〈向山〉
女の子は、あくまで優しい。
泣いている今村君のそばにやってきて、声をかけてなぐさめていた。
朋子ちゃんは、ボールをなくした今村君に、小さな黄色いボールをあげていた。
男の子は、状況を突破させる。
ボールが川に流れてシュンとしていたとき「ボクのサッカーボール」でドッジボールを続けようとよびかけた。
遊びながらも、男の子は「川に流れたボールを何とかしたい」と考えていた。
神崎君は、「川にいるアクアラングの人」に頼むことを考えついた。
先生の許可は、梁田君がとりにきた。
そして、大成功したのだ。
ボールが、もどってきたのだ。
今村君は、遠足のお弁当を食べていなかった。
ボールが返ってきたことを知って、今村君は朋子ちゃんに小さな黄色ボールを返した。
朋子ちゃんは、黙ってうけとった。
男の子も、女の子も、何とすばらしいのだろうと私は思った。
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- 明治図書