- 特集 学力調査から見える“わが子の学力問題”
- いじめの取材・出演依頼がNHKテレビはじめ各局からあった。
- 「いじめは現在の日本の学校の大きな問題である。」
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- そっと教えます公然の秘密―学力調査、テストで行われる教師の不正
- 不正手段は無数にある
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- 学力テストで教師の指導力が問われる
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- テストの意義を履き違えてはいけません
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- 学力調査はこのように行われている
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- 日本教育技術学会 学力調査の驚きの結果と対策
- ごまかしのできない調査方法
- 指導した教師と調査をする教師が全く違うから、ごまかしができない
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- 日本初!本当の学力調査はこうして行われた
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- 計算問題クラス平均が30点の差
- 教師の教え方で計算力にも大きな差がつく
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- 漢字テストクラス平均が40点の差
- 校内の漢字指導研究結果も同様だった
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- 漢字指導は、授業でするのが常識です
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- 算数の授業のどこが問題か 徹底聞き取り調査
- 算数の苦手な子どもが、陥った悪循環が見えました。
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- 伸びる子どもを育てるのは向山型だけである
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- 国語の授業のどこが問題か 徹底聞き取り調査
- やらせっぱなしを「自ら学ぶ」授業としている国語の授業が問題である
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- 家庭学習との連動と、指導法の見直しが必要だ
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- 社会科基礎学力の実状
- 資料から情報を引き出す「力」が問われている
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- 学力の低い学級ほど、授業中に教科書や地図帳を使っていない
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- 理科基礎学力の実状
- 理科的な体験が多いほど理科好きで学力が高い
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- 理由を考える子どもに育てよう
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- 文科省・各県学力調査が明らかにしたこと
- 基本的生活習慣が身についている子は学力も高い
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- プロは授業で子供に実力をつける
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- 国際学力調査〔PISA〕が、日本の教育に投げかける問題
- 日本で指導されている「読解力」は世界では例をみないほど変なのです。
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- 世界から取り残されない人を育てる「TOSSの指導法」を学びましょう
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- 読み書き算は、なぜ基礎学力なのか
- 社会的自立と人としての尊厳
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- 読み書き算は、道具的学習である
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- すべての学力の基である
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- 学力調査がないとき、学校はどうしたか
- テスト結果より、人柄を重視
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- 学力調査は教師力も調査する
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- ミニ特集 親ができる毎日の声かけベスト10
- 親子の対話を確立して
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- 子どもが育つステキな言葉ベスト10
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- 親に言われて嬉しい言葉ベスト5
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- テレビを消して感謝の気持ちを伝えよう
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- 言われてうれしい言葉・言ってから反省する言葉
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- 家族に言われてうれしかった言葉ベスト3
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- 今月の名言・格言・ことわざ (第9回)
- 親の背中を見て子は育つ
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- 向山編集長が語る「今月の名言・格言・ことわざ」 (第9回)
- 親の背中を見て子は育つ
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- 〜親は秩序感、自立心、耐性、思いやりを育てる〜
- 編集前記
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- 子どもTOSSデーのドラマ
- 栃木/那須町で初めての子どもTOSSデー実施
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- 佐賀/感想文コースが八割!全員が書き上げた!
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- 全国各地にTOSS式子ども地域教室を!
- 人と人とのつながりが「TOSS子ども地域教室」を支える
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- 幼児のドラマ、小1のドラマ、小2のドラマ
- 幼児/英語の脳は消えずに残る!
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- 小1/遊びの中で優しさも育っていく
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- 小2/校内五色百人一首大会で流した涙
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- 小3のドラマ、小4のドラマ、小5のドラマ、小6のドラマ
- 小3/五色百人一首で、楽しみながら知的な子に!
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- 小4/九九表一枚がAさんを救った
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- 礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
- 日本人としての礼節を身につけることが、国際社会に生きていく子供にとって大事な財産になる。
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- シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
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- こんなときどうする?平山先生!
- ADHDの兄への関わり方は?/単語の一部が欠ける子の対応は?
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- 子育て日本の教育「貝原益軒・細井平洲・森信三」
- 森信三「しつけの三大原則」と母親の役目
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- 藍川メソッド・音楽教育“常識”の間違い
- 文武両道
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- キャリア教育のポイント
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- 家庭の経済力が成績を左右する
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- 中学から見た基礎基本
- 「おはようございます」は、まずは大人が模範を示す
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- 教師・読者座談会 (第21回)
- 思春期のお子さんと、どのように過ごしていますか
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- 教師・読者座談会 (第22回)
- 子どもTOSSデーで出会った保護者と保護者勉強会をしました
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- 親子で挑戦ペーパーチャレラン
- 計算だんごチャレラン
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- 親子でたいそう
- とんで・とんで・なわとび!!
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- 親子で漢字文化ワーク (第21回)
- 神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
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- ライフスキル教育
- ものは考えようで前向きに生きることができる〜リフレーミング〜
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- 最前線・英語教育
- 子どもが英語を話す授業とは
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- 最前線・インターネット教育
- 絶大な教育効果をもたらす「電子情報ボード」
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- 校長が語るこれからの学校教育
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- はかりモンスター
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学力調査から見える“わが子の学力問題”
いじめの取材・出演依頼がNHKテレビはじめ各局からあった。
「いじめは現在の日本の学校の大きな問題である。」
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
毎日のようにテレビ局から、取材や出演依頼がくる。
「いじめ」による「自殺」の問題についてである。
私は現役の教師でもなく、この問題は事実の確認が大切であるがそれがまだできていないので、テレビ出演はお断りをしている。
先日は、NHKテレビのディレクターと長い話になった。
「いじめ」の問題は、確かにある。
しかし、大切なのは学校の中にいじめを発見するシステムがあったかどうかである。
例えば「一人ぼっちの子」の調査。
「当番を押しつけられた」などの調査。
こうした医師の「問診票」のような調査システムがあれば違っていたはずだ。
「いじめ発見システム」を持っている学校は、おそらく一パーセントもないだろう。
次に「いじめを発見をした後の対応」のシステムがあるかどうかである。
システムとは「学校の教育計画」の中に文章で書かれており、印刷して全教職員が持っているということだ。
かつて、私が作ったシステムは次のようだった。
「いじめがあると親から言われたり、担任
が見つけたり、子どもから訴えられたり、保護者・職員から伝えられたり、調査の結果から推定できた時は次の行動をとる。
(一) 二十四時間以内に、関係者による会議を開き、方針を決め即座に実行する。
(二) 一週間たっても改善されない時は、別途の方針を定める。
(三) この問題が解決するまで責任者を置く。責任者は校長とする。
この方針は、職員会議で決定されたものである。二十年近く昔のことだ。
このようなシステムについて、NHKのディレクターは強い関心を示した。
私の所にテレビ局が来るのは、私に「いじめ問題」のベストセラーがあるからだ。
『いじめの構造を破壊せよ』(向山洋一著、明治図書)
この本の書き出しは、次の通りである。
* * *
「いじめ」は、教師だけがなくすことができる。
「いじめ」を、いちはやく発見し、「いじめ」をなくすのは、教師の大切な仕事である。
「いじめ」によって、多くの子供が傷ついた。
「いじめ」によって、生命を絶つ子さえ出てきた。
「いじめ」の事件が新聞報道された時の学校の発表は、ほぼ決まっていた。
「いじめを知らなかった」である。
こんな答が許されるだろうか。
確かに「いじめ」は、分かりにくい面をもっており、子供の中では発生しつづける。
多くの「いじめ」は、いつの間にか消えていきもする。
しかし、子供が自らの生命を絶たざるを得ないほどの「残酷」で「長期」にわたる「いじめ」を、教師が知らないなどと、言えるのであろうか。
こんな馬鹿げた発言を、教育界は許してはならないのである。
「いじめを知っていて、あれこれ手を尽したがどうにもならなかった」という言い訳なら話は分かる。
「いじめ」は、それを発見してから先も、大きな問題なのだ。
お説教の一回や二回でなくなるものではない。
下手なお説教をすると、「いじめ」は、よけいひどくなる。
私は、いくつかの「いじめ」の相談をうけてきたが、実にすさまじいものだった。
毎日「なぐられ」「こづがれ」しているのである。
それを教師は知らない。知る努力もしてない。
「いじめ」を発見するシステムが学校にはなく、かつ「いじめ」を発見しようとしている教師も少ない。
子供が登校拒否をしてさえ気がつかず、多くの場合、担任が登校拒否の子を訪れるのは数日後である。
特に中学がひどい。
私の知る限り、早い教師で二日目、遅い教師は登校拒否が始まって一週間しても何もしてない(むろん、中には立派な中学教師もいると信じているが……)。
「いじめ」による「登校拒否」が始まったのに、二日以上何もしなかった(知らなかった)という教師には、罰則を与えた方がいいとさえ私は思う。
そのように思うほど、「いじめ」にあった子供はかわいそうだ。
「いじめ」を解決できるのは、教師だけなのに、その自覚もなく、何もしてないのである。
「いじめ」は、それを発見してさえ、なお解決は大変なのである。
すばらしいクラス、知的な授業のあるクラスには「いじめ」はない。
むろん、小さな「いじめ」は、どこでも発生するが、すばらしいクラスは、そんなのは解決していくのである。
授業が面白くないクラス、クラスのまとまりがないクラス(それは、勉強不足の教師のクラスといってもいいが……)、そういうクラスでは「いじめ」が生まれ、「いじめ」がクラスの中を支配する。
教師の力量が低ければ低いほど「いじめ」が生まれ、それにふりまわされるのである。
だから「どんなにひどいクラスのいじめ」でも解決は本当は簡単だ。担任をかえればいい。力のある教師が担任すれば、三日で解決する。
さて、本書は、若くして教育熱心な教師が、自分の力量形成をねがいつつ、同時に「いじめ」に対応していくための方法を書いたものである。
本書が、心ある教師の役にたち、クラスの中から、「いじめ」が少しでもなくなれば幸いである。
「いじめ」をなくすのは、教師の共同の課題である。
「いじめ」をなくすための努力は、教師自身の力量をつけていく過程と全く同じことである。
* * *
さて、「学力テスト」である。
日本教育技術学会では「中学入学時学力テスト」を実施している。こうすると、教師による不正を防げる。
集計は、出身小学校のクラス別にする。
こうすると「差」がはっきりする。
それは「教師の違い」だ。教師の「実力の違い」だ。教師の「授業の違い」である。
だから、小学校の時、どんな授業をしていたか聞きとりをする。その結果のいくつかを紹介しよう。
■関西のA中学校の算数学力テストの分析
1.平均点が九十点以上
七つの小学校が集まって一つの中学校に通ってくる。その中で、A、Bの小学校だけが平均点が九十点を越えていた。続いてC、Dの小学校平均点が八十八点、その他の小学校はさらに五点以上も低い結果だった。どうしてこんな差ができるのだろうか。同じ小学校でもクラスが違うと平均点にも差が出た。
2.ノートの違いに驚く
算数診断テストで同じような点数をとった生徒にノートを見せてもらった。
ノートを見るとどんな授業を受けていたのか、どのようなノート指導されていたのか、一目瞭然である。指導法によって、こんなにもノートが違うとは思わなかった。七校のうち一校だけがTOSSノートを使用し、その他の小学校は一p方眼のノートだった。もちろんTOSSノートを使っていた生徒は向山型算数を学んでいた。
平均点が九十点以上のA、Bのノートは、ゆったりとしたきれいなノートであった。定規をきちんと使っているし、丸も形が整っている。特に分数の計算では、二行を使って書いて、きっちりと計算ができているところがよくわかる。
また、平均点が五点以上も低かった小学校の生徒のノートというと、問題と問題の間がつめつめで、ぐらゃぐちゃなノートが多かった。
もちろん、ノートが汚くても算数のできる生徒はいる。しかし、これでは算数が苦手な生徒やADHD、グレーゾーンにいる生徒は決してできるようにはならない。
ノート指導をしっかりとする。「一時に一事」の指示発問で構成される向山型授業を広めていくことが、算数のできない生徒を少しでも救う手だてになるのだと痛感した。
3.アンケート結果より
テストとアンケート結果を分析すると、次のようなことがいえる。平均点が九十点以上の小学校の傾向は、算数の授業で、教科書を使って文章を声に出して読んだり、教科書の練習問題も授業中にほとんど解き終える。問題演習にもあかねこスキルを使っている。ノート指導もしっかりとしていて、鉛筆や定規を使って、図形や線を引いたりと、基本的な学習習慣が定着している。
反対に平均点が最低点であった小学校の傾向は、教科書を声に出して読んだりする機会が少ない。耳からの情報に頼らない授業を展開しているといえる。また鉛筆や定規を使用することが徹底できていない。よって線は曲がって、字が粗っぽくぐちゃぐちゃなノートになる。
このように小学校の大切な時期に、適切な指導法で学習習慣を身につけることは、学習に対する意欲や能力または姿勢に大きく関わるはずだ。生徒に確かな力をつけることのできる指導法、それは「向山型」である。向山型授業法は、苦手な生徒だけでなく、多くの生徒を救うことなのだ。
例えば学力テストの結果はっきりしたことがある。全国共通だ。
算数教科書を授業中にきちんと使っているクラスの学力は高い。
ノートがていねいで(ゆったりとして)、ミニ定規で線を引いているクラスも平均点が高い。シャープペンを自由に使うクラスの学力は低い。
プリント学習のクラスの大半は、平均点以下である。
教師の説明が長いクラスは、学力が低い。
三十秒以上の説明は長い。(短く区切って一つ一つをパーツとして授業展開すると、みんなが分かり集中する授業となる。)
ご自分の先生はどうだろう。
算数の教科書をきちんと使っているだろうか。ノートはちゃんとしているだろうか。
二学期半ばの今ごろ、小学校四年生で算数ノートが三冊目、四冊目になっていたら合格である。
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- 明治図書