- 特集 体験が語る今どきの子ども部屋の条件
- 「個室」が「子失」にならないための親の配慮
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- 教育社会学から見た子ども部屋の条件
- 子どもを“子ども部屋”に閉じ込めてはいけない
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- 家づくりのプロが考える子ども部屋の条件
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- 家庭訪問…印象に残った子ども部屋
- 子どもを伸ばすと感じられる場、そうでない場
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- コミュニケーションがとれる部屋
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- 子どもの作品が、飾ってある家庭は「お子さんを大切にしているのだな」という思いが伝わってくる
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- 玄関でわかる家庭の中の子どものしつけ
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- 子ども部屋がなかった私はどう育ってきたか
- ちゃぶ台で勉強してきた
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- 不便を感じなかったこたつや飯台の上
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- 外遊びから野外活動中心で育ってきた
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- 子ども部屋にあってはならないモノ、ないほうがいいモノ、備えておきたいモノ
- 自立するために、自分でコントロールできるような部屋
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- 子どもの脳に悪いモノは置かない
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- 「子どもが自分で勉強できる環境」にしてあげたい
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- 子どもが考えた理想の子ども部屋
- テレビ、洋風、広い部屋
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- 家族の干渉を受けず自分の世界を満喫したい
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- 子ども部屋のQA
- 「一人部屋がほしい」という子どもにどう答えますか
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- 発達段階で考える子どもと過ごせる時間は多くない
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- 子ども部屋はどのくらい活用されているの?
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- いろいろな国での子ども部屋
- 北アメリカ カナダでの子ども部屋南太平洋の島 ヤップでの子ども部屋
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- 子ども部屋は格差社会の現れ!?
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- 子ども部屋があってもなくても、子どもを大切にする姿は同じ(ブラジル)
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- 子ども部屋なんかないほうがいい―という意見
- 幼小のうちは不要・中高では戸のない部屋
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- 条件付きであったほうがいい
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- 子ども部屋の思い出
- 子ども部屋=勉強をする場所
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- 押入れを改造した小さな空間が最初の部屋だった
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- 母の階段の音が目覚ましベル
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- 男三兄弟の子ども部屋
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- ミニ特集 世界最先端の学校事情と日本の学校のひらき
- コンピュータ、英会話、補助教師が違った
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- 校長先生が変わって(代わって)、学校が変わります。
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- イギリスの普通の学校が日本では最先端!?
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- Education! Education! Education!
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- ロンドンの学校―日本の学校とずいぶん違っていました
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- 今月の名言・格言・ことわざ (第10回)
- 急がば回れ
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- 向山編集長が語る「今月の名言・格言・ことわざ」 (第10回)
- 急がば回れ
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- 〜私は十年もの回り道で、「事実こそ大切」という立脚点を学んだ〜
- 編集前記
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- 子どもTOSSデーのドラマ
- 福島/成功体験でドラマを作る
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- 福島/子どもたち・保護者「全員」が「楽しかった!」
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- 全国各地にTOSS式子ども地域教室を!
- TOSS子ども地域教室とTOSS家庭教師事業とをリンクする
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- 幼児のドラマ、小1のドラマ、小2のドラマ
- 幼児/参観日に見える子どもの姿
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- 小1/「準備ができたら、呼びに来てあげるよ」自分たちで何でもやりたい子どもたち
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- 小2/やったー!漢字テスト・百点だ!
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- 小3のドラマ、小4のドラマ、小5のドラマ、小6のドラマ
- 小3/七輪で焼いたほっぺが落ちそうなほどおいしいお餅
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- 小4/A君が泳げた。
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- 小5/特殊学級から発信する
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- 小6/授業で学級をつくり、一人一人を伸ばしていく。
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- 礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
- マナーの“あいうえお”で礼法も身につけよう
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- 「和の心」きもの教室からの贈り物
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- つぶやきに見る子どもの成長
- つぶやきに学ぶ
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- 〜負うた子に教えられる・プラス思考〜
- シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
- 行動の源
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- TOSS学生奮戦記
- TOSS家庭教師始まる!
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- SOS 子ども・親が電話相談をする時
- 悪いことばかりする娘
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- 保健室から1ページ
- ご家庭ですぐにできる体を大切にする実験の巻
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- こんなときどうする?平山先生!
- 中学一年生のおねしょの対処法は?/食事に時間がかかる子の対応は?
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- 子育て日本の教育「貝原益軒・細井平洲・森信三」
- 早期教育は、大切です。でも、過保護・甘やかしは、子どもをダメにします。
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- 藍川メソッド・音楽教育“常識”の間違い
- 音楽に国境はない?
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- 食育・親子で楽しく・ここがポイント
- 「塩」にもいろいろあります。成分と値段を比べてみましょう。
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- キャリア教育のポイント
- さまざまな人に出会い、さまざまな思いに触れる。
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- 数字で見る子どもの姿
- 学校はどんな能力を身につけるか
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- 中学から見た基礎基本
- ロッカーをきれいにできる生徒は力を伸ばす
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- 教師・読者座談会 (第23回)
- 母親サークル 不安をひとりで抱えないで、共に考える
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体験が語る 今どきの子ども部屋の条件
「個室」が「子失」にならないための親の配慮
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
長い間、小学校の教師をしてきた。
家庭訪問があり、さまざまな家庭を見てきた。
四十年近く昔、私は羽田空港近くの小学校に赴任した。
昔、浅草海苔の本場だった街である。
海苔をほした広場には、工場、アパートが建っていた。
大家の子どももいて、アパートの子どももいた。借金からのがれるように流れついた人もいた。
人情あふれる庶民の町だった。
六畳一間に、家族六人がくらしている家族がいた。
もちろん、子ども部屋はない。
押入れの上、下にも寝るのである。
たった一つのおぜんは、交代で使う机だった。
「貧乏」は、大変な面があったが、子どもの将来はそれでは決まらない。
両親が、子どもにかけた愛情と教育によって決まるのである。
どれだけ貧乏であっても、両親が明るく、子どもをはげまし、正しくしつけているなら、その子は自分の可能性を伸ばしていく。
この学校では、知能検査をすると、五段階の下半分に集中していた。
五はおろか、四の子もいなかった。
一と二が大半で、上位は三だった。
でも、こうした教え子の中から、東大に現役合格した子も出たし、キャビンアテンダントになった子も出たし、青年実業家になった子も出てきた。
商売をしっかりやっている子も多い。
そして、そんな子の親は、やっぱり立派だったのだ。
東大に現役合格した子の母親は、中学校を卒業して集団就職してきた人だった。
「私は学問がなくて」と言っていた。
夏休み「海辺の生物」の自由研究をする子どものために、一緒に何回も海に出かけていた。
国立附属中の入学試験の前「学校を休む」ということは、なかった。それどころか、
「児童会」「委員会」のみんなの仕事を「ちゃんとやりなさい」と、させていたのである。
時代がたつと共に、日本も豊かになっていった。
三十歳をすぎて、私は田園調布地区の小学校に転任した。
家庭訪問で、二軒の新築の家を訪れた。
一軒は、会社の社長さんだった。
御殿のような家に、立派な子ども部屋があった。
おとなしく、礼儀正しい子だった。
もう一軒も、立派な家だった。
関西から東京に出てきて、商売で成功して、家を建てたのだった。
すてきな、子ども部屋だった。
「でもね、向山先生。
寝るときは、家族四人で一緒の部屋に寝るんです。
みんなで川の字で寝るの。
子どもには、それが大切と思っています」
外からでは分からない、学校の担任の先生だからこそ、教えてくれた親の考えであった。
どちらにも、それぞれの考えがある。
どれがいいとは言えない。
ただ、「子ども部屋を与えればいい」ということではないのは分かった。
私の娘の部屋を作るとき、一つだけ条件があった。
それは、その当時、ミサホーム社長の三澤千代治氏との話が、心に残っていたからだ。
三澤氏は、もちろん「家づくり」のプロ中のプロである。
その三澤社長が、私に言った。
「向山先生。子ども部屋は大切です。
個室のつもりが、孤室になってしまうのです。
それどころか、『子失』にもなりかねないのです」
分かりやすいのは、入口の形だ。
「ドア」か「引き戸」かである。
「ドア」にはカギがあり、子どもがこもりがちになる。
「引き戸」には、あまり、カギをつけない。
子ども部屋に「カギ」があるか、どうかは大問題なのである。
私は、娘の部屋を作るときは、「引き戸」で「カギなし」にした。
また、小学校の間は、家族で川の形になって寝ることにした。
さて、各地の状況はどうなのだろう。
TOSSでは、「全国子ども調査」をインターネットで実施していた。
よく新聞などで「子ども調査」があるが、ほとんどは「いくつかの学校」の調査である。
専門家の明石千葉大学教授によれば
「本格的調査なら全国三百地点以上が必要だ。
それも、江戸時代の大名の領地、三百諸候の地域別がいい。風土が違うからだ。」
という。
TOSSは、日本で初めて、本格的子ども調査を毎月実施した。その中に、「子ども部屋のカギ」があった。
結果は次の通りである。
自分の部屋がある子は、全体の七割くらいである。
かなりの子が、個室を持っている。
「カギ」の結果は、以外だった。
ほとんどの家では、子ども部屋にカギをつけていないのである。
個室を持っている子の中で、部屋にカギがあるのは、わずか一割にすぎない。
調査の時、「人口比別」「各地方別」「学年別」の三つも、クロスして調査した。参考までにご紹介する。
自分の部屋に鍵はかかりますか
Q3 自分の部屋に鍵はかかりますか(男女別) (人)
鍵は
かかる 鍵は
かからない よく分からない
自分の部屋がない 計
男 211 1706 810 2727
女 223 1763 726 2712
計 434 3469 1536 5439
Q3 自分の部屋に鍵はかかりますか(人口比別)
かかる かから
ない 鍵はあるけ
ど使わない
(使えない) 鍵の有無は
分からない 自分だけの
部屋がない
人口1万人未満 7% 44% 6% 9% 34%
1万人以上
3万人未満 7% 53% 2% 9% 29%
3万人以上
5万人未満 11% 57% 3% 3% 26%
5万人以上
10万人未満 6% 55% 3% 3% 32%
10万人以上
30万人未満 7% 48% 6% 5% 34%
30万人以上 5% 57% 4% 2% 32%
▲人口比別、各地方別、学年別
による調査
Q3 自分の部屋に鍵はかかりますか(各地方別)
かかる かから
ない 鍵はあるけ
ど使わない
(使えない) 鍵の有無は
分からない 自分だけの
部屋がない
北海道 4% 59% 5% 5% 27%
東北 6% 47% 7% 5% 35%
関東 8% 50% 3% 3% 36%
甲信越 7% 48% 4% 10% 32%
北陸 5% 61% 2% 12% 20%
東海 6% 63% 2% 2% 27%
近畿 9% 60% 4% 5% 22%
中国 2% 50% 4% 3% 41%
四国 5% 53% 3% 6% 34%
九州 7% 44% 7% 1% 40%
Q3 自分の部屋に鍵はかかりますか(学年別)
かかる かから
ない 鍵はあるけ
ど使わない
(使えない) 鍵の有無は
分からない 自分だけの
部屋がない
1年 10% 48% 4% 13% 25%
2年 6% 43% 3% 9% 39%
3年 6% 57% 2% 3% 31%
4年 5% 50% 5% 5% 35%
5年 8% 49% 5% 5% 33%
6年 8% 55% 2% 2% 33%
中学 6% 75% 4% 1% 15%
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