- まえがき
- 1章 ライフスキルトレーニングとは
- 1 ライフスキルとは
- 2 早期からライフスキルを指導するために
- 2章 ライフスキルトレーニングの指導事例
- 1 生活(食事・みだしなみなど)
- @ホッと,楽しみ,いただきます!
- A一人で着替えよう
- 2 健康管理(睡眠・衛生・通院)
- @自ら「気付いて」取り組む健康管理
- 〜“かっこいい ぼく”になりたい!〜
- A行動上の問題をメンタル面の健康の問題として捉える
- 3 余暇
- @サークル活動でライフスキルを磨こう!
- 〜「ミュージカル部」の取り組みから〜
- Aコスプレの大きな可能性〜演劇による余暇支援〜
- 4 異性とのつきあい
- @異性と上手に人間関係をつくるために
- A子どもの体と心の成長を大切に
- 5 お金の使い方・金銭トラブル防止
- @使う・稼ぐ・貯める,お金の三機能を学ぶ生活単元学習!!
- A小学生における買い物スキルトレーニング
- 6 ケータイ・ネット情報へのアクセス・トラブル防止
- @携帯電話やスマートホンを活用する
- A広汎性発達障害の小学生への取り組み
- 7 障害理解と福祉サービス
- @学校と福祉施設の連携によってライフスキルを高める
- A高機能自閉症への就労支援における取り組みの実際
- 8 公共マナー
- @場面を理解し,その場に応じて行動する力を高める
- 〜日常の通級指導,在籍学級や家庭との連携,地域社会への汎化〜
- A因果関係を図示することで理解し,性器いじりをやめられた実君
まえがき
私たちが滞りなく日常生活を送る上で必要な「食事を作る」「趣味を持つ」「余暇を楽しむ」「異性とつきあう」「適切な買い物をする」などに,発達障害のある人の中にはうまく対処できない人が多くいることが報告されています。その結果,成人期になってから「訪問販売や勧誘を断れずに高価な買い物をしてしまう」「異性との接触の仕方が分からずストーカーのような行為をしてしまう」「衛生管理ができていないためにお風呂に入らずに汚いといわれてしまう」など,さまざまな生活上のトラブルが生じており,極端な場合には非行に走ったり,犯罪に巻き込まれたりしてしまうこともあります。
そこで,ライフスキルという考えが必要になってきます。学校によってはライフスキルをソーシャル・スキルに含めた形で指導されているところもあると思われますが,わが国でのソーシャル・スキルは極端な場合「目を見て話しなさい」「場の空気を読みなさい」「友達と仲よくしなさい」など,対人関係にその重点が置かれていることが多いようです。しかしながら,自閉症スペクトラム障害の人たちは対人関係スキルに限界があります。対人関係は確かに大切ですが,成人期に必要なスキルを再度検証してみる必要があります。
それは,地域で普通に生活するために必要なライフスキルと呼ばれるものです。
本書では,買い物,料理,洗濯,旅行,趣味,異性関係,非行や犯罪防止など,生活していく上で本当に必要なライフスキルについて指導されているよい事例を紹介させていただきました。
先生方の明日からのご指導に役立てていただければ幸いです。
宇都宮大学 /梅永 雄二
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- 明治図書