- はじめに
- 1 中1ギャップを撃退する算数と数学の接続
- 1 算数と数学のなだらかな接続の大切さ
- 2 算数の学習内容の学び直しで中1ギャップを撃退する
- 3 表現する力と説明する力は,途中の式を書くことから始まる
- 4 算数的活動から数学的活動へのスパイラル
- 2 中1ギャップを撃退する算数チェック&トレーニング問題
- 1 かけ算の九九
- 2 九九表の規則
- 3 乗除の筆算
- 4 小数
- 5 分数と数直線
- 6 分数の加減
- 7 分数の乗除
- 8 文字を使った式
- 9 がい数
- 10 計算の順
- 11 倍数と約数
- 12 いろいろな図形の面積
- 13 円周の長さと円の面積
- 14 円に関係する図形の面積
- 15 体積・容積
- 16 角柱と円柱の体積
- 17 長方形の二等分
- 18 高さと面積
- 19 合同な図形
- 20 縮図と拡大図
- 21 対称な図形
- 22 多角形の内角
- 23 正多角形
- 24 展開図
- 25 割合と百分率
- 26 単位量あたりの大きさ
- 27 速さ
- 28 平均
- 29 柱状グラフ
- 30 変わり方を調べる
- 31 比と比の値
- 32 比例
- 33 比例のグラフ
- 34 比例の利用
- 35 反比例
- 36 順序よく整理して考える
- 資料
- 資料1 小学校算数科の内容の構成
- 資料2 小学校各学年における算数的活動の例
はじめに
小学校から中学校に入った段階で,数学の授業になじめなかったり苦手意識をもったりする数学科における「中1ギャップ」の克服が課題になっています。
学習指導要領改訂においても重要な課題の1つととらえられ,小・中学校間の一部で学習内容を重複させた教育課程が編成されるなど,他教科ではみられない,学校種間をまたいだ対応措置がとられました。また,小中連携事業の一環として,数学教師による算数の乗り入れ授業なども行われるようになってきています。
前著『中学校数学科 中1ギャップを撃退する指導のアイデア36』では,中学1年の内容について,つまずきやすい箇所とその原因を算数の学習と関連させながら考察し,どのように克服していくかについて述べました。一方本書では,算数の学習内容にポイントを絞り,中学1年で学び直しを行うことで,中1ギャップを撃退することを目的としています。
本書は,以下のようなスタイルをとっています。
チェック問題
特につまずきやすい算数の学習内容について,基礎・基本が身についているかどうかを確認するための問題
トレーニング問題
つまずきやすい学習内容を学び直し,より確かな力をつけるための問題
そのままワークシートや小テストとして生徒に与えることもできますし,中学校の学習内容の導入として板書等で示してもよいでしょう。
生徒に示す目的以外にも,中学校数学科の先生に読んでいただければ,小学校での学びの履歴を把握し,中学校での学びとどのように結び付いているかが把握できるようになっています。何人かの中学校数学科の先生に原稿を読んでいただいたところ,「こんな課題に小学校で取り組んでいるのか」とか,「同じ課題を中学校で初めて学ぶように提示していた」等の感想をいただきました。スパイラルな指導を行っていくとともに,中学1年の段階で算数でのつまずきを早期発見・早期解決することによって,算数と数学とを円滑に接続することができます。
一方で,小学校において中学校での学習を意識した指導が行われることも望まれます。著者の勤務する岡山県矢掛町立矢掛中学校は,6つの小さな小学校で学区が編成されています。小学校でクラス替えを経験することはほとんどなく,中学校に入ってなじみの少ない大きな集団で生活をすることになります。そのギャップの大きさは大変なものです。そこで,町をあげて小学4年で算数・体育・英語活動の合同授業を6日間実施したり,6年ですべての小学校の合同修学旅行や年2回の中学校生活体験(10月・2月)を実施したりしています。このように学校経営の中に,中1ギャップの克服を位置付けることも必要です。
最後に,小中連携事業について,貴重なご意見とご援助をいただきました前矢掛町教育委員会教育長武泰稔様に感謝いたします。また,本書の刊行に当たって,企画の段階から粘り強くご援助をいただきました明治図書出版教育書編集部の矢口郁雄氏に心から感謝いたします。
平成25年2月 /川上 公一
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- 明治図書
- 小学校との接続を考えるときに使っています。2015/7/1640代・中学校教員