- はじめに
- 1章 アクティブ・ラーナーを育てる自主学習システム
- 1 主体的に学ぶ子どもたち(アクティブ・ラーナー)
- 2 自主学習に対する意識
- 3 自主学習システムの三つの原則
- 4 原則1 全員の原則
- 5 原則2 リフレインの原則
- 6 原則3 プラス1の原則
- 2章 自主学習ノートの始め方(1学期)
- 1 自主学習を始めるパターン@
- 2 自主学習を始めるパターンA
- 3 自主学習を始めるパターンB
- 4 全員経験の原則@
- 5 全員経験の原則A
- 6 目標とする自主学習ノートイメージ
- 7 自主学習をリズムにする場
- 8 自主学習のメニューを紹介する
- 9 自主学習のメニューを創り出す
- 10 知的学級掲示自学が自学力をアップする
- 11 宿題君・面白ワークが自学力をアップする
- 12 自主学習にさらに楽しく取り組む@集め自学で追究力アップ!
- 13 自主学習にさらに楽しく取り組むA観察自学で追究力アップ!
- 14 自主学習をさらに楽しく取り組むB心・体の自学に力を入れる
- 15 自主学習のやる気を継続させる評価@
- 16 自主学習のやる気を継続させる評価A
- 17 自主学習のやる気を継続させる自学紹介術@
- 18 自主学習のやる気を継続させる自学紹介術A
- 19 自主学習のやる気を継続させる教師自学紹介術
- 20 自主学習をレベルアップさせる競争・共創と共育
- 3章 自主学習ノートの発展(2学期)
- 1 夏休みの自主学習
- 2 2学期の自主学習は「深化」
- 3 深化する自主学習への取り組み@分析自学
- 4 深化する自主学習への取り組みA分析自学ワーク
- 5 深化する自主学習への取り組みB深化する宿題君
- 6 深化する自主学習への取り組みCはてな・発見通信誕生
- 7 深化する自主学習への取り組みDモノ作り・コレクター自学
- 8 深化する自主学習への取り組みE何でも徹底視写自学
- 9 自主学習を深化させる親子自学@面白ワーク・宿題君編
- 10 自主学習を深化させる親子自学A面白カルタ・カード編
- 11 自主学習を深化させる親子自学B親子自学ノート編
- 12 自主学習を深化させる親子自学C旅学び・耳学び・読書学び編
- 4章 自主学習ノートの完成(3学期)
- 1 冬休みの自主学習
- 2 3学期の自主学習は「趣味化」
- 3 趣味化する自主学習への取り組み@専門家自学
- 4 趣味化する自主学習への取り組みAブック自学・大判用紙自学
- 5 趣味化する自主学習への取り組みB問題集自学
- 6 趣味化する自主学習への取り組みC手紙自学
- 7 趣味化する自主学習への取り組みD「子どもたちで授業」自学
- 8 趣味化する自主学習への取り組みEテレビ学び・キーワード学び
- 9 趣味化する自主学習への取り組みF原稿依頼システム
- 10 目標達成みんな自学に挑戦 目標値は月までの距離
- 11 自主学習の締めくくり@1年間の成長
- 12 自主学習の締めくくりA次年度へ繋げる
- 5章 実物でみる自主学習ノート&宿題君・面白ワーク
- 1 低学年の自主学習ノート@
- 2 低学年の自主学習ノートA
- 3 低学年の自主学習ノートB
- 4 低学年の宿題君&面白ワーク
- 5 中学年の自主学習ノート@
- 6 中学年の自主学習ノートA
- 7 中学年の自主学習ノートB
- 8 中学年の宿題君&面白ワーク
- 9 高学年の自主学習ノート@
- 10 高学年の自主学習ノートA
- 11 高学年の自主学習ノートB
- 12 高学年の宿題君&面白ワーク
- 6章 自主学習ノートQ&A
- 1 なかなか自主学習に取り組めない子がいたら,どうしたらいいですか
- 2 評価の時間を確保するのが大変な時は,どうしたらいいですか
- 3 自学を子どもたちに定着させるために,日頃から心がけていることはなんですか
- 4 自学をするのに時間がかかり過ぎると言われた時,どうしたらいいですか
- 5 保護者に,どんな協力をお願いしていますか
- 6 自学をがんばった子に,何か賞をあげていますか
- 7 自学ノートが1冊終わったら,どのようにされていますか
- 8 学級通信で,自学をどのような形で紹介されていますか
- 9 他の学級や他学年との関わりで自学を取り組む上で配慮していることはありますか
- 10 特別支援学級で,自学に取り組まれたことはありますか
- 11 自学を30年近く続けてきて心に残るエピソードはありますか
- おわりに
はじめに
自主学習に取り組み始めて,32年が経ちます。
32年を振り返ると,自主学習は正に「守破離」の世界だなあと思うことがよくあります。
まずは,子どもたちに「学び方の型」を伝え,「学ぶことの面白さ」を培っていく段階があります。「守破離の守」です。
この「守破離の守」を自主学習システムでは,次のような漢字に置き換えて表現しています。
「自額」……「学び方の型」をいろいろな場で,一人ひとりに涵養を図ります。時間をかけて,少しずつ沁み込ませていきます。一人ひとりの「額=ワク」をつくる段階だと思っています。
すると,ある日突然,一人ひとりが学ぶことをとことん楽しみ始めます。ブレイクスルーの瞬間と呼んでいます。それが「守破離の破⇒自学」の段階に入った瞬間です。
「学びの型」を生かして,自分なりの工夫を少しずつ入れていく段階と言ってもいいです。本書では,追究・分析型自学がどんどん出てくる時期として紹介しています。
この頃の子どもたちの姿は,正に「アクティブ・ラーナー」です。自学をするのが,生活リズムの一つになっているのです。
やるのが当たり前,やらないとなんか変という姿に変わり始めています。
ちなみに,これを福山学級では「あたり前力」と呼んでいます。「前に向かって突き進む力」を多くの子どもたちがもつようになります。
3学期頃になると,自額そして自学の段階を経た子どもたちは,守破離の離,自楽の段階へと進んでいきます。
学ぶことをとことん楽しむ。子どもたちの自学に取り組む姿は,学んでいるというよりも楽しんでいると言った方がぴったりします。
本書では,趣味自学として紹介しているものです。一つのことを,とことん追究することを楽しむ。教師の想像を越える学びをする子が,続々と出てくる段階です。
わずか1年間で,子どもたちの学びに取り組む姿が,自額⇒自学⇒自楽と顕著に変わっていくのを32年見続けてきました。もちろん,年によって,学年によって,その変わりようには差があります。
でも,差はあっても,本書に紹介したような自主学習システムが浸透すると確実に一人ひとりを「アクティブ・ラーナー」に変えていくと確信しています。
ところで,本書に詳しく書いていますが,自主学習システムは,それだけが独立したシステムではないことを強く意識して,実践を積み上げていく必要があると思っています。
『自学力を育てる授業と家庭学習のシステム化 小学5年』(明治図書刊)という本を,1993年に出版しているのですが,当然,「日々の授業」や「家庭学習」などと自主学習システムが,リンクしていることは言うまでもないです。
本書では,このリンクの様子をことあるごとに紹介しています。自主学習だけで,子どもたちが「アクティブ・ラーナー」になるのではないです。
これを「学びの連動」と呼んでいます。
「学びの連動」の意識なく,自主学習システムをつくり上げることは,簡単ではないと思っています。
1章にも書いていますが,掲示物一つでも自主学習システムに影響を与えます。教師の何気ない「朝の話」一つでも,大きな影響を与えることがあります。
時には,保護者と子どもたちの関わりが,自学力を飛躍的に伸ばすこともあります。
教育活動すべてが,自主学習システムとつながっていると思って,32年間実践し続けてきました。
教師が「学びの連動」を意識し始めると,子どもたちは,身の回りのいたるところに「学びのタネ」があることに気がつき始めます。
今まで,見れど見えずだったことやモノに目が行き,見たら見える子どもたちへと心構えが変わります。これを「心が変わる⇒変心」と呼んでいます。
教師そして子どもたちの心構えが変わったとき,変身いえ変心すると言ってもいいと思うのです。
ところで,「学びのタネ」を「学びの多音」と書いて,子どもたちに次のような説明をすることがあります。
身の回りのどんなモノ・こと・人からも,学ぶことがあると思うようになると,「タネが多音」になります。学ぶ心に,もっと多く学ぼうという音を響かせる。こういう人は,とっても素敵な学び手です。そんな姿を見ると,有難いなあ,すごいなあといつも思います。
自主学習は,子どもたちの心田を耕します。心田が耕されるから,学び田も耕されると思っています。
心田・学び田が耕されるから「アクティブ・ラーナー」となって,素敵な学びを楽しむ姿に変わっていくのだと思うのです。
本書には,子どもたちの心田・学び田が耕されていく様子を,子どもたちの実際のノートなどと共に語っています。少しでも,お役に立てることを願っています。
2018年2月
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