- はじめに
- 第1章 授業づくりを学級づくりに昇華させるための3要素
- 〜学級づくりの「3D理論」〜
- 1.X軸「教える」
- 2.Y軸「繋げる」
- 3.Z軸「育てる」
- 第2章 授業づくりを学級づくりに昇華させるための指導モデル
- 1.「発言・傾聴」の指導
- 2.「起立・礼・着席」の指導
- 3.道具取り
- 4.「配布物・物の受け渡し」の指導
- 5.相互評価
- 第3章 授業づくりを学級づくりにかえる実践指導
- 1 一斉授業/国語・2〜6年・作文の授業
- 「 」からの書き出しで,読み手・聞き手を意識したストーリー作文を
- 2 一斉授業/算数・5年
- 「こみキング」で勝負!
- 3 一斉授業/理科・5年
- みんなのなぜ?で学習を深める。赤ちゃんの命をもっと身近に
- 4 一斉授業/社会・6年
- 織田信長・豊臣秀吉… もし,現在の日本の首相にするなら?!
- 5 一斉授業/体育・5年
- 走り幅跳びの授業
- 6 掃除時間(3年の事例)
- 目標をもった掃除
- 7 給食時間(1〜6年)
- マナー向上・配膳準備・片づけは,相手への思いやりから
- 8 学校行事/運動会・6年
- クラスみんなで伸びる!団結の運動会!!
- 9 学校行事/遠足・中学年〜高学年
- 遠足の意識を変える!!遠足はただ楽しむためにあるのではない!!
- 10 学校行事/学芸会
- ミニ学芸会と反復学習により,学芸会で鍛える!
- 11 学校行事/修学旅行
- 学びの集大成としての修学旅行
- 12 学校行事/卒業式
- 卒業生と在校生がつながる卒業式練習
はじめに
学級づくりの3D(3次元)理論を提唱する。この理論は授業づくりを学級づくりへと昇華させるためには何をどのようにすればよいのかを明らかにしたものである。
3D(3次元)とは,授業づくりにおける重要な3要素=X軸(教える)・Y軸(繋げる)・Z軸(育てる)が,構造的に1つの立体(学級づくりの基礎平面上に存在する3角錐)を形作るイメージから名付けた。
本書で使用する3要素=X軸(教える)・Y軸(繋げる)・Z軸(育てる)を次のように定義する。
(図省略)
1.X軸→「教える」
X軸「教える」とは,「教師が子どもたちに対して与えるすべての刺激」だ!
子どもたちが登校して下校するまでのすべての時間帯で,教師が子どもに与える刺激がA軸「教える」にあたる。特に授業中にあっては,「面白い」「わかる」「できる」という実感を子どもたちに持たせることが大切だ。なぜなら,そのような魅力的な授業は,「この先生にはついていこう」という思いを子どもに持たせることになる。つまり,教師の知的権威を確立させることができるのだ。この知的権威こそ,子どもとの信頼関係を構築するために必要な要素である。
2.Y軸→「繋げる」
Y軸「繋げる」とは,「子どもたち同士,あるいは教師と子どもとの人間関係をつなぐために教師が意図的に行う働きかけ」だ!
教師の仕事は,日々の授業で子どもに知識を与えることだけではない。授業の中で,人間関係をも構築する必要がある。授業という「活動」を通して築かれる人間関係は,確固たる学級づくりに欠かせない重要な要素である。
3.Z軸→「育てる」
Z軸「育てる」とは,「子どもたちに,今ある力以上の高いレベルで行動できるようにする指導」だ!
「育った」学級は,このZ軸の指導が入念になされた結果である。「育った」学級の「挨拶」,「返事」,「起立」は,一糸乱れぬ驚くべき高い質で行われている。全国どこの教室でも行われている「挨拶」,「返事」,「起立」とは,レベルが違う。そのための指導の基本は,「やり直し」を含む厳しい指導だ。そのため,まずX軸,Y軸で学級づくりの基礎を築いてから,Z軸「育てる」指導は行う必要がある。
本書では第1章において,まず3要素の理論的裏付けを行い,第2章では3D理論を成功させるために必要な基礎技術を紹介する。
第3章では,3D理論に賛同する全国の実践家が,具体的な指導において,いかにしてこ3D理論を駆使するかについて述べる。
3D理論を用いることで,子どもたちが,そして教師が,「授業って楽しいな」「学級っていいな」と思えるような教室が1つでも増えれば,こんなにうれしいことはない。
/土作 彰
ミニネタとあわせて知っておきたい考え方である。ら