- まえがき〜教師のメンタル部分の大切さ
- T章 教師の信念を育てる
- 1 孤独を恐れたら教師の仕事はできない
- 2 前向きに考えると、不思議と子どもが良くなっていく
- 3 どの子も一人残らず大切な宝である
- 4 手のかかる子に出会うことで立派な教師になれる
- 5 見返りを期待せず、教育に専念する
- 6 一つひとつの出来事が、教師としての幅を広げていく
- 7 教師としての勲章は、弱い立場の子からの信頼である
- 8 教師もまた夢を追い続け挑戦する人でありたい
- 9 教師としての筋を通していればそれでいい
- 10 教師にとって必要なのは「相手意識」だ
- U章 教師の器を鍛える
- 1 広い視野で考え直すと、問題は解決に向かう
- 2 先駆者は逆風の中で飛翔してきた
- 3 「少々のことでは動じない」と心に決めておく
- 4 「恩師ならどうするだろうか」を考える
- 5 批判に感謝し、謙虚に自己反省する
- 6 子どもの「背景」を考えて指導する
- 7 向上している人は常に壁にぶつかりそれを乗り越えようとしている
- 8 周りからの評価に一喜一憂する必要はない
- 9 人間関係の悩みを解決するのは結局のところ「真心」しかない
- 10 「我を消す努力」が器を大きくする
- V章 逆境に負けない心をつくる
- 1 今の悩みをなくすには、今より向上するしか道はない
- 2 逆境には必ずチャンスの種が埋まっている
- 3 批判に応えるのも教師の仕事もっと精神的に図太くなっていい
- 4 トラブルがあったのなら、ドラマに変えてしまえばよい
- 5 失敗などない 挽回すればよい
- 6 心にストレスがたまってきたら初心に帰れ
- 7 反対者に負けずに信念を貫き通す
- 8 悩む価値があることで悩んでいる人は幸せである
- 9 良いサイクルをつくることに全力を尽くす
- 10 挫折や失敗を生かせれば、過去の全てが成功に変わる
- W章 プロの志を育てる
- 1 プロ意識はちょっとした行動に現れる
- 2 いかなるプロも一朝一夕には生まれない
- 3 教師の仕事は人間性と切っても切れない関係にある
- 4 プロは置かれた環境で全力を尽くす
- 5 時間を奪うことはその人の命を奪っていることに等しい
- 6 地味な基礎作業の連続こそがプロの土台を築いていく
- 7 自己責任観念をもち、高い理想を維持して進む決意をする
- 8 教育行為の意味が分かって初めて一人前
- 9 謙虚に誰からも学び続ける
- 10 自分の力量を測る「ものさし」をもって教師道を歩む
- X章 教師としての一〇の羅針盤
- 1 子どもの成長の事実を創り、それを共に心から喜び合え
- 2 自分が子どもとして、「ここにいたい」と思う教室を創れ
- 3 失敗・トラブルは成長の糧となるチャンスだと思え
- 4 子どもの理想のイメージを語り続けよ
- 5 子どもに完璧を求めるな。教師としての仕事の上では完璧主義を貫け
- 6 教室で起きたことは、一〇〇%教師の責任であると心得よ
- 7 謙虚に先人の知識を学び、遠慮を捨てて新しい実践を創造せよ
- 8 「子どもの成長の事実」を羅針盤とせよ。正しい指導法は子どもが教えてくれる
- 9 常に子どもの視点から教師自身を鳥瞰し、自分を磨き続けよ
- 10 後世に胸を張れる仕事をせよ
- あとがき
まえがき〜教師のメンタル部分の大切さ〜
教師の仕事は過酷と言われる。
身体的に過酷というだけではない。精神的にまいるような出来事も多い。
事実、心を病んで教壇を去る人は後を絶たない。
しかし、過酷な現場の中でも、生き生きと仕事をしている教師がいる。
その人に言わせれば、教師の仕事こそ、やりがいがあり、すばらしいものはないと答えるだろう。
「教師の仕事は過酷だ」
「教師の仕事ほどすばらしいものはない」
実は、このどちらも正しい。同じ現場を見たときに、どう思えるかは、教師の心次第だからである。
ある一つの言葉で、「教師の心のもちよう」が劇的に変わることがある。
その昔、愛着障がいを疑われる子を担任したときのことである。
こちらが親身に接しても、反抗ばかり。もてる精一杯の誠意で接しているにも関わらず、反抗だけが返ってくる。そんな日が続いていた。
そんなとき、幾人かの先輩からアドバイスをもらった。
アドバイスの中に、「いつか愛情のつぼが満たされたときに、素直な子に戻るだろう」という言葉があった。
つまり、愛着障がいの子は愛着が不足している。そのため、誰かに甘えたいと思っている。今、教師に反抗している行為そのものが甘えの行動なのだ。愛がほしいのに、反抗するのは矛盾だが、仕方がないのである。それしか甘えの表現がないのだ。しかし、その甘えが満たされたとき、いつか、愛着のつぼは満たされ、素直な子どもに戻るというのである。
この話を聞いて、どれだけ勇気づけられたことか。次の日から、「この子は愛情を求めているのだ。それを満たすのは教師の仕事の一つなのだ」と考え方が変わった。急に大らかな気持ちになったのだ。
同じ現象に出くわしても、考え方が変わると、気持ちがずいぶん違ってくる。
教師という仕事に迷いそうになったとき。
そんなとき、心ある先輩が、声をかけて、道を示してくれた。
本書で紹介した言葉は、様々な先輩、恩師、先達からいただいたものである。教師としての考え方を鍛える言葉の数々である。
私の心にずっと刻まれている言葉である。
きっと、教師としての心を育てる上で役立つと思う。
多くの人は、教師のメンタル的な部分を、誰からも教えられないまま教師になっている。
教師としての生き様、姿勢。そういったものを知っておかないと、もはやこの過酷な現場ではやっていけない現状がある。
「教師の仕事は過酷だ。だから、この仕事ほどやりがいがあり、すばらしいものはない」
本書を読み、そのように感じることができたなら、幸甚である。
二〇一四年一月 /大前 暁政
内容はもちろんですが,目次を読むだけでもためになると思います。
向上心があるからこそ悩むのだと,元気もいただきました。
ありがたい本でした。
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一日ひとつ使うようにしています