- まえがき
- 第1章 厳しい就職までの状況
- 1 入学式から始まっている
- 2 特別支援の子どもの進路
- 3 「就学」のスタートライン
- 4 「就労」へのスタートライン
- COLUMN 国と社会が求めていること1
- 第2章 就労の仕組み
- 1 企業の就労を希望する場合
- 2 福祉の就労を希望する場合
- 3 ちょっと待って
- COLUMN モデル崩壊
- 第3章 マッチングの仕方
- 1 意識を持つこと
- 2 思い込みは怖い
- 3 マッチング
- COLUMN 国と社会が求めていること2
- 第4章 生活が変わる
- 1 今までの生活
- 2 その時のために,出来ること
- 3 グループホームから親なきあとまで
- COLUMN 強力な支え
- 第5章 学校卒業後の幸せ
- 1 幸せな就職
- 2 生活介護施設での幸せ
- 3 障害がとても重い子どもの幸せ
- COLUMN 幸せ
- あとがき
まえがき
本書は特別な支援を必要とするお子さんの保護者とその子を指導する義務教育段階の教師に向けた本です。
まず,私(西川)は一般的な意味での特別支援教育の専門家でないことを最初に申し上げなければならないでしょう。私は高校の物理教師として教師人生を始めました。教材や発問を磨いて良い授業をしたいと思う,ごく普通の教師でした。しかし,どうやっても全ての子どもを分からせることは出来ません。そして,数多くの子どもが学校教育からドロップアウトするのを見続けなければならなかったのです。
高校教師に挫折し,縁あって大学の教師になりました。大学に異動してから,私が救えなかった子どもをどうやったら救えたかを追究しました。今も追究しています。
本書は特別支援学級の子どもが幸せになるために何が必要なのか,就職に関してスポットを当てて書いています。
平成27年度に共著者の深山さんが長崎県から上越教育大学教職大学院に現職派遣されました。そして西川研究室に所属しました。
4月の最初に研究テーマを何にするかを話し合いました。「特別支援の子どもの一生涯の幸せを保障するために学校は何が出来るか」ということを研究することを決めました。方法は,障害者が就職したあとに関わる様々な人からの聞き取り調査です。
そこで語られた実態は当初の予想を超えたものでした。特別支援教育の経験の長い深山さんさえも驚き,涙したほどです。
そして,本書を出来るだけ多くの保護者や先生方に読んでいただき,実情を理解してもらうことが本当に必要だと確信しました。
本書で紹介する事例は,その中で出た典型的な会話を基にしています。ただし,会話そのものは長い会話の前後が分からないと理解出来ないものが殆どです。そのため,分かりやすく整形しています。以下で紹介する1つの会話は,実は5〜10分ぐらいの会話を圧縮したもの,また,3人以上の人の会話を複合したものもあります。しかし,その趣旨は変えておりません。
本書では,障害を持つ子の保護者の吉田さん,前川さんと,特別支援学級担任経験の長い深川先生の会話を中心に書きました。
是非,疑似体験を持ってもらいたいと思います。そして,今,我々が持っている危機感を共有していただきたいと思います。その上で,本書で書いていることを,周りの保護者と教師に伝えて下さい。それも急いで。この気持ちは本書を読み終わる頃には分かっていただけると思います。
本当に危機的なのは知的には問題がない子どもです。
さあ,始めましょう。
/西川 純
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- 明治図書
- 特別支援学校に勤務される方も、進路指導を知る、考える分かりやすい1冊です。2018/1/2740代・高校教員
- 特別な支援が必要な生徒が増えている。全ての教員が卒業後に必要な力について考えて日々の教育をしていくことが必要。経験則だけでなく、客観的な事実を本書は教えてくれる。2018/1/2730代・中学校教員