- 第1章 担任の先生がかかえる不安を笑顔に変える極意
- 1 特別支援教育に目を向けよう
- 心構え 個と集団と関係の視点をもとう
- 特別支援教育の基本は「個」を育てる
- 共に学ぶ「集団」をつくる
- 「個」と「集団」を「関係」でつなぐ
- 2 発達障害のある子とともに
- 心構え ザックリつかんで,ていねいに見よう
- 障害名はザックリとつかむ
- 子どもの様子はていねいに見る
- 3 大変さに向き合おう
- 心構え 子どもに合わせてかかわろう
- 少し子どもに寄り添ってみる
- 自分を見つめ,自分を見分ける
- 指導と支援を使い分ける
- 個別の指導計画でブレを防ぐ
- それでも必死に向き合う
- 4 「この子,困ってるかな?」と思ったら
- 心構え 人とのかかわりが,支援のカギ
- 最初は同学年の先生に相談する
- 身近な専門家・スクールカウンセラーに頼る
- 特別支援教育コーディネーターに入ってもらう
- 巡回相談員を呼ぶ
- ケース会議で考える
- 専門家チームにアドバイスをもらう
- 5 「もっとこの子のために」と思ったら
- 心構え 学校外の機関から学ぼう
- 検査を指導・支援に生かす
- 特別支援学級,通級指導教室で学ばせる
- 医療機関で新たに気づく
- 専門機関でさらに学ばせる
- 6 「この子のために」でイッパイになったら
- 心構え 一人で抱えず,力を合わせよう
- 学年でチームをつくる
- 校内体制をつくる
- 支援員と協力する
- 7 「自分にも支えがほしい」と思ったら
- 心構え 支え合える仲間をもとう
- 校内の先生に頼る
- 友達・仲間に相談する
- サークル活動に参加する
- 8 さらに成長する教師となるために
- 心構え 明日に向かって学び続けよう
- 直に学べる研究会に参加する
- 体系的に学べる本・雑誌を読む
- 何より自分の時間を確保する
- 第2章 その子が学校生活でかかえる不安を笑顔に変える極意
- 1 きまりやしくみがわからない子
- 心構え 見えないきまりも見せよう
- 掲示物で見えるようにする
- 共通のきまりを決める
- 2 急な変化に対応できない子
- 心構え 予定を細やかに伝えよう
- 週の予定を伝える
- その日の予定を伝える
- 3 状況を見て自主的に動きにくい子
- 心構え じっくりくりかえす機会をつくろう
- 仕事を一人一役で行う
- 掃除を一人一役で行う
- 4 友達とのかかわりが苦手な子
- 心構え 教師が子ども同士をつなげよう
- プラス言葉を育てる
- 対話力をつける
- 第3章 その子が授業でかかえる不安を笑顔に変える極意
- 1 集中力がない子
- 心構え 集中できる環境を整えよう
- 教室環境をスッキリする
- 大きく見せる
- 近くで見せる
- かくして見せる
- 時間を調整する
- 課題を小さくする
- 授業のバリエーションを増やす
- 2 次のことが気になってしまう子
- 心構え ドキドキ感より安心感を大切にしよう
- 授業スケジュールを伝える
- 授業のパターンをつくる
- 3 やる気が起きない子
- 心構え 楽しさでひきつけよう
- ゲームやクイズで授業を楽しくする
- ミニネタで授業を愉快にする
- 4 文字が上手に書けない子
- 心構え 自信とやる気をアシストしよう
- お手本を見せる
- 少し手伝う
- 書く内容を限定する
- ノートを統一する
- ノートを選ぶ
- 5 課題が終わらない子
- 心構え 「できた」を感じるしかけをつくろう
- コース別にする
- 時間で区切る
- 6 学習道具が用意できない子
- 心構え 道具をそろえて学習を助けよう
- 貸し出し用の学習道具を用意する
- 一覧表を用意する
- 7 うまく学べない子
- 心構え 多様な学び方を取り入れよう
- 活動や体験を取り入れる
- 協同的な学び合いを取り入れる
- 教室のレイアウトを工夫する
- 第4章 みんながかかえる不安を笑顔に変える極意
- 1 その子に疑問を持ち始めたら
- 心構え 必要なことは理解させよう
- その子のことを伝える
- 多様性を理解させる
- 2 自分たちとの違いに気づき始めたら
- 心構え 子どもたちと共に考えよう
- なぜできないのか考える
- みんなで受けとめる
- 3 「気にしてほしい」思いが出てきたら
- 心構え 子どもたち一人一人とつながろう
- ノートで子どもたちとかかわる
- 対話で子どもたちとかかわる
- 遊びで子どもたちとかかわる
- 役割で子どもたちとかかわる
- 4 「いっしょにやりたい」思いが出てきたら
- 心構え 子ども×教師でクラスを築こう
- チーム力を育てる
- 学級のゴールを描く
- 第5章 保護者がかかえる不安を笑顔に変える極意
- 1 周囲の目が気になる親
- 心構え 一人一人の思いを汲んで配慮しよう
- わざわざみんなをそろえない
- その子のよさを引き出す
- 恥ずかしい思いはさせない
- 2 学校生活が心配でたまらない親
- 心構え 保護者の思いに寄り添おう
- 保護者の話を聞く
- その子の様子を伝える
- その子の困難さを理解する
- その子のよさを理解する
- 保護者の努力を理解する
- 3 子どもの将来に不安を感じる親
- 心構え 子どもの将来をみつめよう
- 中学卒業後を考える
- 関係機関とつなげる
- 4 子どもの友達関係を心配する親
- 心構え みんなの姿をつなげよう
- 学級通信でつなぐ
- 保護者会でつなぐ
- ありのままの姿をつなぐ
- ザックリ用語解説
- ・発達障害等について
- ・個別の指導計画とは
- ・個別の教育支援計画とは
- ・スクールカウンセラーとは
- ・特別支援教育コーディネーターとは
- ・巡回相談とは
- ・ケース会議とは
- ・専門家チームとは
- ・WISC(ウィスク)とは
- ・特別支援教育支援員とは
- ・インクルーシブ教育とは
- ・合理的配慮とは
- ・基礎的環境整備とは
- コラム 教室から考える
- ・自分のタイプ
- ・校内体制づくり
- ・支援員とのかかわり方
- ・教室のユニバーサルデザイン
- ・学校スタンダード
- ・協同的な学び合い
- ・子どもとつながるツール
- ・学級づくり・授業づくり
- ・学級通信のタイトルと学級のゴール
- ・保護者の思い
- ・学級通信
はじめに
学校には,「笑顔」が似合います。
子どもたちも,先生たちも,保護者の方々も。
みんなの笑顔でいっぱいの学校,それが,誰もが思い描く理想の学校でしょう。
けれど,特別支援教育というフィルターで学校をのぞいてみると
残念ながらそこから見えてくるのは
不安な顔,辛い顔,苦しい顔,そんな顔ばかりです。
特別支援教育は,一人一人に寄り添った教育です。
本当は,一番笑顔が似合う教育であってほしいです。
だから,先生たちや,子どもたち,保護者のみなさんの不安な思いを
どうすれば笑顔に変えていけるのかを考えてきました。
不安を笑顔に変える実践を,たくさんの教室から探してきました。
そしてみつけた,不安を笑顔に変える心構えや方法を,この本で紹介します。
極意と呼ぶには,ちょっとおおげさですが,私を含めたたくさんの先生,子どもたち,保護者のみなさんの努力や工夫の中から見出してきたものです。
第1章では「担任の先生」の不安,第2章と第3章では,「その子」の不安,第4章では,「まわりみんな」の不安,第5章では,「保護者」の不安を取りあげています。
そして,それぞれ不安を笑顔に変える心構えを言葉にし,具体的な方法を「笑顔チャージ」と名づけて載せました。
笑顔エネルギーをたくさんためると,いろいろなことにやる気になれるし,まわりの人にもやさしくなれる。だから笑顔エネルギーをみんなでチャージしていこう。
教室で子どもたちにいつも伝えている言葉です。
みなさんの心にも,エネルギーがたくさんたまって,笑顔になれるように。だから笑顔チャージです。
この本を読んでくれたみなさんの学校や教室に,少しでも笑顔が増えてくれるとうれしいです。
著者 /田中 博司
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- 明治図書
- 達成感が得られるようこちらが事前に手だてをこうじるなど、なるほどと思いました。2020/9/2130代・中学校教員
- 通常学級で行う特別支援について具体的でわかりやすい。特別支援学級にも活用できると思う。2016/10/3040代・中学校教員
- 具体的に書かれてよみやすかった。2016/7/1740代・小学校教員