- はじめに
- T 社会科授業の決め手となる学習問題と教材
- 1 問題解決的な学習の充実
- 2 学習問題づくり
- 3 教材化
- 4 単元の指導計画づくり
- U 学習問題づくりトレーニング
- 1 単元目標を定める
- 2 学習問題を事前に考える
- (1)調べる事項を意図して学習問題を考える
- (2)「考えるようにすること」を意図して学習問題を考える
- (3)学習問題を構造化して考える
- 3 授業における学習問題の設定
- (1)1つの情報から膨らませる方法−疑問つなぎ型−
- (2)複数の情報を比べる方法−対比型−
- (3)時間経過に着目させる方法−トンネル型−
- (4)調べる対象を明示する方法−ヒント提示型−
- (5)焦点化して考えさせる方法−ズームイン・ズームアップ型−
- (6)既習の知識を活用させる方法−クイズ・パズル型−
- (7)対立軸をつくり,立場を明確にする方法−対立・討論型−
- 4 7つの型の持ち味と学習問題づくり〜日々の授業を見る立場から〜
- (1)対比型・トンネル型は,子供にも教師にもわかりやすい
- (2)ズームイン・ズームアップ型は,対象を絞るので子供にはとらえやすい
- (3)対立・討論型は,学び合いができる学級では効果的である
- 5 学習問題づくりの具体例
- @第3学年:単元名「昔の道具とくらし」(全9時間)
- A第3学年:単元名「わたしたちのくらしと工場の仕事」(全12時間)
- B第4学年:単元名「安全なくらしを守る」(全10時間)
- C第4学年:単元名「地域の発展に尽くした青山士と荒川放水路」(全9時間)
- D第5学年:単元名「わたしたちの国土の地形の特色と人々のくらし」(全8時間)
- E第5学年:単元名「自動車工業の盛んな地域」(全11時間)
- F第5学年:単元名「環境を守るわたしたち」(全7時間)
- G第6学年:単元名「新しい時代の幕開け」(全7時間)
- H第6学年:単元名「国際連合が果たす役割」(全5時間)
- I第6学年:単元名「歴史から学ぶメッセージ」(全4時間)
- V 教材化トレーニング
- 1 学習内容を明確にする
- (1)学習指導要領を読む
- (2)教科書を読む
- 2 教材化の視点をもつ
- (1)自分で社会的事象の意味を考える
- (2)事実(情報)を集める
- 3 資料化する
- 4 とらえさせたい社会的事象の明確化から出発しよう〜日々の授業を見る立場から〜
- (1)学習内容の一部が抜け落ちる場合がある
- (2)教材化の視点を明確にとらえる
- (3)資料化には子供の実態を踏まえることが大切
- 5 教材化の具体例
- @第3学年:単元名「わたしたちのくらしとスーパーマーケットの仕事」(全12時間)
- A第3学年:単元名「工場のしごと」(全12時間)
- B第4学年:単元名「自然を生かした人々のくらし〜高尾〜」(全10時間)
- C第4学年:単元名「染め物のまち新宿区」(全8時間)
- D第5学年:単元名「水産業のさかんな地域〜ホタテ漁日本一への道〜」(全9時間)
- E第5学年:単元名「世界の中の日本の国土」(全7時間)
- F第5学年:単元名「命をつなぐ情報ネットワーク」(全7時間)
- G第6学年:単元名「わたしたちの願いを実現する政治」(全9時間)
- H第6学年:単元名「わたしたちのくらしと日本国憲法」(全7時間)
- I第6学年:単元名「長く続いた戦争と国民生活」(全8時間)
- W 単元の指導計画づくりトレーニング
- 1 学習問題の適切な設定場面を考える〜「つかむ」段階の指導〜
- (1)社会的事象と出合う場面
- (2)学習問題を見いだす場面
- (3)予想し,学習計画を考える場面
- 2 学習問題と毎時の学習課題の関係を考える〜「調べる」段階の指導〜
- (1)必要な情報を集めて読み取る場面
- (2)情報から特色や意味を考える場面
- 3 目標と学習問題と評価の関係を考える〜「まとめる」段階の指導〜
- (1)全体像をつかみ,わかったことをまとめる場面
- (2)自分の学習を振り返り,考えたことをまとめる場面
- 4 学習内容と教材との関係を考える〜全体像の把握〜
- 5 評価と連動させ可変的に作ろう〜日々の授業を見る立場から〜
- (1)指導計画の基本的フォーマットを頭に入れる
- (2)指導計画は可変的に作る
- (3)評価計画と連動して作る
- 6 指導計画づくりの具体例
- @第3学年:単元名「学校の周りの様子」(全11時間)
- A第3学年:単元名「まちの伝統を受け継ぐ深川八幡祭り」(全8時間)
- B第4学年:単元名「ごみの処理と活用」(全12時間)
- C第4学年:単元名「伝統・文化を生かした地域のくらし」(全9時間)
- D第5学年:単元名「農業の盛んな地域をたずねて」(全8時間)
- E第5学年:単元名「我が国の工業生産と工業地域」(全5時間)
- F第5学年:単元名「水産業のさかんな地域」(全8時間)
- G第6学年:単元名「世界に歩みだした日本」(全6時間)
- H第6学年:単元名「憲法とわたしたちのくらし」(全6時間)
- I第6学年:単元名「世界の未来と日本の役割」(全7時間)
- 7 指導計画づくりの具体例の読み取り方・生かし方
- (1)目標の書き方
- (2)評価規準の書き方
- (3)単元の構造図の書き方
- (4)指導と評価の計画の書き方
- あとがき
はじめに
ここ数年,各都道府県において新規採用教員の急増がみられている。若手の先生方が増えると学校全体の活気が増す反面,指導技術が追いつかずに困っている学校も多い。新規採用教員が増えれば,当然その分だけベテラン教諭が退職する。
これからの学校では,各教科等の指導技術の伝承が十分に行われないことが懸念されるのである。社会科に限らず,各教科等の指導技術をボトムアップしていくべき時代に入ったと言っても過言ではないだろう。
本書は,こうした背景を踏まえて,タイトルを「社会科授業づくりトレーニングBOOK」とし,若手教員が指導技術を高めていくことができるように編集された。また,掲載されている実践は,「事例」ではなく「具体例」としている。実践したものをそのまま掲載する形はとらずに,経験を積んだ中堅教員が,本書の意図や考え方に沿って,実践したものをベースに修正したり,実践していないものを構想したりして書いたものだからである。そのため,吟味された意図的な具体例が並んでいる。
また,社会科授業において見直すべきポイントを整理しているので,若手教員に限らず,社会科の研究実践を積んできた先生方にも自分の授業の見直し,あるいは授業改善のための参考資料ともなるはずである。
本書が,各学校での社会科の授業において活用され,子どもたちに社会科で目指す問題解決能力,調べる力,考える力,表現する力が育つこと,また本書を活用することで教師が社会科の指導力を高めて,社会科の授業がより一層充実することを願っている。
本書の出版に当たっては,樋口雅子編集長を始めとする明治図書の皆様のご助言,ご支援を賜った。こうした機会をいただいたことも併せて,この場をお借りしてあらためて御礼申しあげたい。
/澤井 陽介
った。