- はじめに
- ・小1学びの地図
- Chapter1 小1担任が押さえておきたい授業づくりの基礎・基本
- ―Play型授業のススメ
- 1 楽しさこそが授業づくりの「要」である
- 1年生の学びの行動原理は「ワクワク!ドキドキ!」
- 1年生にとっての楽しい授業=○○ように学ぶ授業
- 2 1年生が夢中になる授業づくり―Play型授業のススメ
- Play型授業とは
- Play型授業とそうでない授業の違い
- 3 幼児教育における学びと1年生での学び
- 1年生のこれまでは「Play(遊び)」である
- 小学校で求められる「Play」とは
- 4 小1担任が目指したい授業づくり―Play型授業をつくる
- 「Play」を学びに変える教師の技
- Play型授業の実現に向けた3ステップ
- 5 Play型授業で輝く子供の姿
- Play型授業で目指す子供の姿
- Play型授業で求められる学習規律とは
- 6 小1担任が身につけたい授業スキル
- 小1担任は五者では足りない!?
- 小1担任の必携7つ道具
- コラム そもそも「遊び」とは?
- Chapter2 小1担任が知っておきたいスタートカリキュラム
- ―Play型授業をかなえるためのイロハ
- 1 スタートカリキュラムとは
- 小1授業の極意が詰まったスタートカリキュラム
- スタカリは「Play」をPlay型授業へとつなぐ場である
- スタートカリキュラムの基礎・基本
- 2 スタカリ成功のポイント
- 単元配列表をロードマップの核にする
- 合科的・関連的とは「総合的な学び」のことである
- 3 スタカリ実施のポイント
- スタカリ週案の立案ポイント
- スタカリ教室環境のポイント
- スタカリ教師の1DAYスケジュール
- 4 スタートカリキュラムの実際
- のんびりタイムーのんびりの奥に隠された深い意味
- なかよしタイムーただ遊ぶだけではだめなんです
- わくわくタイムー核になるのは学校探検
- ぐんぐんタイムー子供たちの手応え感覚を大事にする
- スタカリの終わりは教科カリキュラムの始まり
- コラム なぜ,「今」スタカリなのか?
- Chapter3 小1担任が身につけたい授業術
- ―これまでの授業をPlay型授業に変える
- 1 生活科編
- 生活科の基本活動は「Play」である
- 単元 学校探検 ワクワク・ドキドキ学校探検
- 「!?探検」の授業ポイント
- 「ねらい」に応じて学びの種を仕込む
- 単元 植物栽培 朝顔さんでニコニコ大作戦!
- 「お世話時間」の授業ポイント
- 朝顔授業の当たり前を疑う
- 単元 秋遊び(季節遊び) 秋ともっと仲良し 大作戦!!
- 「素材遊び」の授業ポイント
- 表現活動で体験を経験化する!
- 単元 生き物飼育 小さいけれど,君とも友達大作戦!
- 「虫とのなかよしタイム」の授業ポイント
- 虫飼育の誤解と2大事件!
- 2 国語科編
- 「Play」がない授業と「Play」だけの授業が混在する国語科
- 単元 やくそく(光村1年)
- 教師の指導性を活動に埋め込む
- 活動ベイスの物語文授業づくり
- 単元 じどう車くらべ(光村1年)
- 必然性のある活動を仕組む
- 「図鑑づくり」のポイント
- 合科的・関連的な指導で効果が高まる書くことの実践
- 習得のための文字指導&語彙拡充のための語彙指導
- 3 算数科編
- 算数は小さな「Play」の連続である
- 単元 かたちあそび
- 単元 10より大きい数(10〜20)
- 単元 たしざん
- Chapter4 小1担任がつまずくお悩みQ&A
- Q1 「○○(平仮名)ってどう書くの?」と,質問攻めにあって困っています
- Q2 文字のやり直しを極端に嫌がります
- Q3 外での学習で,話が聞けず,何度も笛を吹いて注意をしてしまいます
- Q4 教科書やノートの違いが分からず,次の授業の準備が一人ではできません
- Q5 自己紹介カードも習字もない1年生では,教室の掲示がスカスカ……どうしたらいいですか?
- Q6 宿題は何をどのように出したらいいのですか?
- Q7 指示がうまく伝わりません
- Q8 何をするにしても「次,何をやるの?」と聞いてきます
- Q9 学習規律って必要ですか?
- Q10 黒板の字をノートや連絡帳に写せません
- Q11 個々の差が大きく,全員を待っていると授業がなかなか進みません
- Q12 ペアでの話し合い活動が上手くいきません
- Q13 ノートはどの程度使うべきですか?
- Q14 文章問題が苦手で,つまずいてしまいます
- Q15 文字が読めない・書けない子の指導法に困っています
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
1年生の担任になったとたん,それまで他の学年を受け持ったときには困らなかったことに悩む日々。
文字も書けないのに,授業はどうすればいいの?
学習規律や生活規律は何をどこまで指導すればいいの?
そんなふうに「1年生ならでは」の問題に悩んだことはありませんか。
小学校の授業はどの学年であってもある程度「型」のようなものがあります。しかし,1年生はその「当たり前の型」が通じません。なぜなら1年生は小学校生活のスタートであり,何もかもが初めてのことだらけだからです。
しかし,「型」は違っても,実は授業の「本質」は変わりません。子供たちの「それまでの学び」を把握し,経験や既習知識を生かして「学びが積み重なっていく」ようにすればよいのです。1年生が特別だと感じるのは,「それまでの学び」を教師が把握しにくいからです。裏を返せば幼稚園や保育所,認定こども園(以降,園)で子供たちがどのように学びを積み重ねてきたかを知れば,1年生ならではの「授業の型」が見えてくるとも言えます。
ご挨拶が遅れました。私は現在東京都で小学校教員をしている安藤浩太と申します。子供たちからはAndy先生と呼ばれています。楽しいことを求めて,子供たちとワイワイガヤガヤ学ぶ毎日です。今年で教職10年目を迎えますが,そのうちの半分が低学年の担任でした。だからこそ人一倍,低学年ならではの課題に悩み,同時に低学年の楽しさも味わってきました。
そうしているうちに,低学年教育の中核となる生活科や国語の授業についてお話させていただいたり,原稿執筆,教科書編集に関わらせていただいたりする機会も増えてきました。その中で,ありがたいことに「1年生の授業ってこんなにもワクワクするのですね!」,「楽しい取り組みで,明日からやってみたくなりました」というお声をたくさんいただくようになりました。
そうなのです! 1年生の授業は何と言っても楽しいのです!
それは,子供たちも,我々教員にとっても同様です。しかし,まだまだ冒頭のような悩みを抱えていらっしゃる先生方はたくさんいらっしゃいます。そこで,「もっと低学年教育の楽しさを知ってもらいたい!」,「全国の先生方と一緒にワクワクしたい!」と思い,本書の執筆に至りました。
他学年の当たり前が通じない1年担任の授業。でも,そこに「1年生担任ならではの授業の型」という見方や考え方が加わるだけで,子供の見取りが変わり,子供たちとの関わり方が変わってきます。そうすると,それまで気付けなかった学びの本質に迫る子供の姿が見え,1年生の子供たちと一緒に,授業するのが楽しくて仕方なくなります。
本書では,そんな1年生ならではの授業の型を“Play型授業”と呼んでいます。Play型授業では,「遊びながら学び,学びながら遊ぶ」ことを目指します。それは,遊ぶ中で様々なことを学んできた幼児期の学びともつながります。遊びは,それ自体が楽しいものです。授業が,楽しいだけでなく,学びになる。子供たちにとって夢のような話ですし,そうであるならば,毎日学校に来るのが楽しくて仕方なくなるはずです。
さっそく次のページに「小1学びの地図」を載せました。幼児期から始まり,幼児期と小学校期をつなぐスタートカリキュラム,そして1年生へと続く学びの様子を川に見立てて紹介しています。ひと目見ただけで,冒険に出るような気分にさせてくれること間違いなしです。
さあ,皆さんもワクワク・ドキドキしながら,旅に出発するような気持ちでページをめくってみてください。
/安藤 浩太
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