間違った「任せる」が授業を壊す

間違った「任せる」が授業を壊す

BEST300

教えるべきことを教えて自立に導く

「子ども主体の授業」が今求められています。しかしながら、「子どもの主体性」を尊重するという名のもとに、放任の授業が増えていないでしょうか。本書では間違った任せるをただし、教えるべきことは教えて、本当の自立に導くポイントを具体的に解説します。


紙版価格: 2,156円(税込)

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電子版予価: 1,940円(税込)

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ISBN:
978-4-18-214239-0
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
四六判 208頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年11月25日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 任せるばかりの指導への警鐘
1 間違った任せ方
2 無責任な放任がもたらす弊害
@ 無計画に配布されたタブレット端末
A 無責任な個別最適化をする学級
B 漢字を教えない教師の学級
C 任せておいて叱るという矛盾
D 何のためのあいさつなのか
E 注意を子どもに任せてはいけない
第2章 教師が指導すべきこと
1 教えない教師がよい教師なのか
2 公の場を意識させる
@ 学校は公の場
A あいさつの大切さ
B 時間を守ることの大切さ
C 人から見られている
3 当たり前を指導する
@ 人間関係を学ぶ
A 長所接近法
B 教師と子どもの縦糸を紡ぐ
C 子ども同士の横糸を紡ぐ
D 言葉が人を育てる
E 公にふさわしい言葉遣い
F 子どもを成長に導く価値語
G 価値語の指導例
4 授業における指導の基本
@ 教師の指導と子どもの活動
A 書く力
B 話す力
C 「聞く力」から「聴く力」へ
D 読書する力
E 情報にアクセスし取り出す力
F 解釈する力
G 評価する力
H 話し合う力の基本は対話する力
I 議論する力
J 熟議する力
5 自己調整学習力
@ 自己調整学習
A 学びのサイクル
B 自学ノート
C ノートの点検
D ノートで学び合う
E 成長ノート
第3章 本当の自立へと導く指導
1 自立した人間を育てる
@ 自立と自律
A 一斉指導と放任
B 若き日の学び
2 1年間を見通した自立への戦略
@ タフィ・ラファエル理論
A 自立に必要な力をつける
B 自立へと導く語り
おわりに

はじめに

 今の時代、あらゆることが自動化されつつある。わざわざ買い物に出かけなくても、何でもネットで注文できる時代である。電車に乗りたければ、スマホがあればそのまま改札を通過することができる。電車に乗るたびに切符を買っていた時代が懐かしい。

 さらにはAIの登場である。ネットには対話式のAIが搭載され、こちらの質問に的確に答えてくれる。企画書などを作成するときは、一から考えるよりAIに質問した方が速い。

 こうした中で、人間は次第に考える力を失っている。自分の頭で考えなくても、調べたいことをスマホで検索すれば、大抵の情報を手に入れることができるのだからわざわざ苦労して考える必要もない。確かに便利な時代になったが、このような生活を送っていれば、いずれ考えること自体が面倒になってくるに違いない。

 学校現場では今、「考えない」子どもが目立つ。自分の頭で考え行動する子どもは年々減少し、その多くは、教師の指示を待っている。最近、教室でよく聞く言葉は「先生、次は何をするのですか?」なのである。

 それにしても、どうしてこれほど、「考えない」子どもが増えてきたのだろうか。

 一つ言えるのは、社会全体に「自分が考えなくても、誰かがやってくれるだろう」という「他人任せ」な空気感が漂っていることである。このような社会で生活する子どもたちに、いきなり「自分の頭で考えて行動しなさい」と言っても、無理な話なのかもしれない。

 かつての学校では、今よりもう少し、子どもたちは生き生きと活動していた。当番活動や係活動を任せると、休憩時間を返上してまで熱心に活動する様子も見られた。だが、これは、もはや古きよき時代の思い出に過ぎないのかもしれない。多くの学校で掲げられる「自主性」「自立」などの学校教育目標。これらが今、単なるスローガンになっている。 言葉だけが一人歩きし、実際には「自立」した子どもが育っていない実態がある。

 自主性を尊重するあまり「(何も)教えない」ことが「自主性」を育てることととらえた、間違った「任せる」が増えていないだろうか。


 私たち教師は、このような現実を受け入れなくてはならない。そして、総力を挙げて立ち上がらなくてはならない。

 教えるべきことは教えることで土台を築き、その先に、「真に自立した人間を」育てなくてはならないのである。


 教育界は大きく揺れ動いている。

 個別最適化の流れはますます進んでいくだろう。教育のDXは進み、あらゆることが電子化され、より効率的になってくる。

 私たち教師には「時代」を読み「未来」を読む使命がある。

 未来の社会を支える子どもたちをどう育てるか。

 これからも思考停止することなく考えていかなくてはならない。

 そして、私自身、読者の皆様と一緒に考えていきたいと思っている。


 本書が皆様のお役に立てることを祈りつつ。


   /重谷 哲生

著者紹介

重谷 哲生(しげたに てつお)著書を検索»

広島県廿日市市の小学校教諭。広島大学学校教育学部「地学研究室」を卒業後、広島県の小学校教諭として採用される。キャリアを通じて「読解力の向上」や「自立した人間を育てる学級づくり」に取り組み、現在は教育サークル「新世代LAB(ラボ)」「未来志向の教室」を主宰しながら、次世代の教師を育成するために、日々奔走している。趣味はロック・ジャズを中心としたレコード(アナログ盤)を聴くこと。愛聴盤はビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」である。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 最近私の勤めている学校でも「自由進度学習」や「生徒主体の活動」などに取り組んでいますが、本当の今で生徒が主体になって取り組む活動になっておらず、ただ生徒がやりたいことをやらせているだけの活動になっているという現状です。また、話が聞けない生徒が増えていると感じる中、「指導仕切れていない」という現状を見直すきっかけを与えていただきました。
      2024/10/630代 学年主任
    • 非常に分かりやすい、これからに生かせる。新卒からベテランまで使えますね。
      2024/9/2230代 小学校教諭
    • 世間的に、思っている人もいると思うが発言することが躊躇われるような内容にズバット言及しており、大変共感した。こういう本を出版する明治図書にも感心した。
      2024/8/2840代氷河期採用
    • 現代の教育、特に若手の教員が陥りやすい落とし穴について切り込んでいく内容で、身につまされる思いでした。
      2024/8/2120代・高校教員
    • 「子ども主体」の安易な理解,思い込みに釘を刺す,大切な視点。
      2024/8/850代・小学校教員
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