- まえがき
- 子どもとの信頼関係を築くアプローチ
- 1 新しい学級への不安感を取り除くアプローチ
- 2 安心できる学級にするためのアプローチ
- 3 先生への親近感を生み出すアプローチ
- 4 「自分を見てくれている」と感じてもらうアプローチ
- 5 子どもがいつでも相談できるようにするアプローチ
- 6 信頼を損なわないようにするアプローチ
- 7 先生との距離感が遠い子どもへのアプローチ
- 8 指導が行き過ぎたと感じた後のアプローチ
- 9 急なアクシデントがあった時のアプローチ
- 10 「成長させてくれる先生」になるためのアプローチ
- 11 「受け止めてくれる先生」になるためのアプローチ
- 12 “本当に”好きな先生になるためのアプローチ
- 温かな雰囲気をつくるアプローチ
- 13 学級の一体感を高めるアプローチ
- 14 意見がなかなか出ない時のアプローチ
- 15 ネガティブな発言が多い時のアプローチ
- 16 分け隔てない雰囲気をつくるアプローチ
- 17 仲間の声に耳を傾けられるようにするアプローチ
- 18 雰囲気を良くできる力を育てるアプローチ
- 19 ルール違反を報告に来た子どもへのアプローチ
- 20 仲間に高圧的な態度を取ってしまう子どもへのアプローチ
- 21 不満や愚痴が聞こえてきた時のアプローチ
- 22 冷やかしや嘲笑が聞こえてきた時のアプローチ
- 23 陰口が増えてきた時のアプローチ
- 24 教室にゆとりを生むアプローチ
- 子どものやる気・主体性を引き出すアプローチ
- 25 子ども達がクラスのために動き出すアプローチ
- 26 指示待ちになってしまう子どもへのアプローチ
- 27 自主的な行動を後押しするアプローチ
- 28 先生が見ていなくても助け合えるようにするアプローチ
- 29 学習になかなか向かえない子どもへのアプローチ
- 30 子どもを統制するよう求められた時のアプローチ
- 31 子どもの声を吸い上げられるようにするアプローチ
- 32 主体的な係活動を後押しするアプローチ
- 33 自分の良さを周りのために生かせるようにするアプローチ
- 34 高学年特有のやる気の無さを打開するアプローチ
- 35 問題に立ち向かえるようにするアプローチ
- 荒れ・不適切な行動へのアプローチ
- 36 不適切な行動が続く子どもへのアプローチ
- 37 教室が落ち着かない時のアプローチ
- 38 不適切な行動への「叱る」以外のアプローチ
- 39 すぐに“キレて”しまう子どもへのアプローチ
- 40 言っても言っても直らない問題へのアプローチ
- 41 自分の非を認められない子どもへのアプローチ
- 42 「女子トラブル」を乗り越えられるようにするアプローチ
- 43 周囲の力を借りながら変容していけるようにするアプローチ
- 44 子どもの心と体が傷付かないようにするアプローチ
- 45 いじめを防ぐ「擁護者」を増やすアプローチ
- 46 SNSでのトラブルを深刻化させない予防的アプローチ
- 子ども同士をつなげるアプローチ
- 47 子ども同士の交流を増やすアプローチ
- 48 子どもの関わりを広げるアプローチ
- 49 子ども同士をつなぐ存在を生むアプローチ
- 50 みんなで学ぶ良さを伝えるアプローチ
- 51 教師としか関わろうとしない子どもへのアプローチ
- 52 子ども同士でうまく遊べない時のアプローチ
- 53 男女の壁を壊すためのアプローチ
- 54 関わりを閉ざそうとしてしまう子どもへのアプローチ
- 55 子ども同士の関係性をより良いものに変えていくアプローチ
- 56 「他人」を「仲間」に変えていくアプローチ@
- 57 「他人」を「仲間」に変えていくアプローチA
- 58 「関わり」を「つながり」に変えるアプローチ
- 一人一人を輝かせるアプローチ
- 59 一人一人の自己実現に向けたアプローチ@
- 60 一人一人の自己実現に向けたアプローチA
- 61 一人一人の声を大切にするアプローチ
- 62 自分も学級に必要な存在だと感じさせるアプローチ
- 63 自己開示を促すアプローチ
- 64 「問題児」と呼ばれてしまう子どもへのアプローチ
- 65 完璧を求めてしまう子どもへのアプローチ
- 66 グループに縛られてしまう子どもへのアプローチ
- 67 失敗を恐れないクラスにするアプローチ
- 68 他者からの受容感を高めるアプローチ
- 69 一人一人の貢献感を高めるアプローチ
- 学級のグレードアップを目指すアプローチ
- 70 子どもの気付きを共有するアプローチ
- 71 子どもの気付きから「理論」をつくるアプローチ
- 72 教室の事実から「物語」をつくるアプローチ
- 73 違いを尊重できるクラスにする対話的アプローチ@
- 74 違いを尊重できるクラスにする対話的アプローチA
- 75 違いを尊重できるクラスにする対話的アプローチB
- 76 ゆるやかなつながりをつくるアプローチ
- 77 本音を語り合える学級にするアプローチ
- 78 仲間と助け合える学級にするアプローチ
- 79 翌年に向けた学級じまいのアプローチ
- 80 自分と他者に希望をもてるようにするアプローチ
- あとがき
- 引用・参考文献
まえがき
「佐橋,死ぬんじゃないか」
初任者研修に現れた私の姿を見て,同期の友人たちは真剣に心配をしてくれていたようです。3か月で体重は8キロ落ち,新調したスーツはもうぶかぶかになっていました。今でこそ笑い話になっていますが,当時は本当に辛い思いを抱えていました。
教室に入ると,毎日のように文句や悪口を言われました。私の配ったプリントを触りたくないと言う子どももいたほどです。私は,担任した6年生の子ども達とまったく良い関係を築くことができませんでした。
もちろん,悪いのは子ども達ではありません。確かに色々な課題を抱えた子ども達がいましたが,もとより教室はそういう場所です。しかし,当時の私にはそうした課題に対して何をすれば良いのか,どう向き合っていけば良いのかが全く分かりませんでした。なんとかしなくてはと,厳しく叱りつけたり,機嫌をとるように甘やかしたりしているうちに,子ども達との関係はどんどんと悪化していきました。
追い込まれてくると,だんだん人に聞く心の余裕が無くなります。助けて下さいと言う勇気もありません。仲間に聞いても,状況が違うから分かってもらえないだろうという卑屈な気持ちもありました。
そんな私を救ってくれたのが,教育書です。本を買うのに,余裕や勇気はいりません。対処の仕方が分からなくなったり,目的ができたりする度に,教育書を買いに行きました。子どもの見取り方,問題の背景にある知見,対処の具体的な方法…。学んだことはたくさんあります。
本書で取り扱う「アプローチ」とは,まさにそうした
〈問題の解決,目的の達成に近付くための道すじ〉
のことを指します。問題や現状をどう見取り,どんな考えをもとにして,どんな方法をとるのか。私なりに,文献に当たったり,模索したりしながら効果的だった80種類のアプローチを@子ども達との信頼関係,A温かな学級の雰囲気,Bやる気や主体性,C学級の荒れや不適切な行動への対応,D子ども同士のつながり,E一人一人の自己実現,F長期的な視野で見た学級のグレードアップの7つの章に分類し,まとめました。
学級で問題が起こった時,課題を抱えた子ども達への関わり方が分からなくなった時,こんなふうにしたいという目的ができた時に,お役に立てる一冊になればと願っております。
2022年11月 /佐橋 慶彦
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