- はじめに
- 1章 支援を要する子も包み込む通常の学級のクラスづくり
- あせらず自分を信じて一年をかけて
- 指導方法の選択は「いつ」「誰」を大切に
- 演出づくりで学級びらき
- みんなで聞くことを大切に
- 彼、彼女のニーズ探しから
- 学び方探しの一年間に
- 丁寧によさを見つけていく
- やればできる感覚をもたせる
- 体の動き、心の動きを読む
- 席の配置に配慮する
- 小さな喜びを大切に
- 仲間がいるから乗り越えられる環境へ
- うまくいった出来事に学ぶ
- 大人の意識を変える工夫を
- 少し遠い先を見て
- ・学びを深めるために
- 2章 特別支援教育とは何か
- 特別支援教育の前は?
- 特別支援教育における基本的な考え方
- 特別支援教育を推進する体制づくり
- 教育的ニーズに応じた多様な学びの場
- 新しい就学先決定のシステム
- 保・幼・小・中・高等学校連携
- 通常の学級の特別支援教育
- 特別支援学級における教育
- 自立活動
- 交流及び共同学習
- 居住地校交流
- 通級による指導
- 「特別支援教育支援員」との協働
- 学校外との連携
- 保護者の気持ちと家庭との協働
- 個別の指導計画、個別の教育支援計画の意味
- 子どもを取り巻く周囲の理解促進
- 高等学校における特別支援教育
- インクルーシブ教育システム
- 合理的配慮
- 障害者差別解消法
- ・学びを深めるために
- 3章 障害種別の子どもへの支援と教師のための学び方
- 「特性支援教育」で、「専手必笑」
- 視覚障害の子どもへの教育
- 聴覚障害の子どもへの教育
- 知的障害の子どもへの教育
- 肢体不自由の子どもへの教育
- 病弱・身体虚弱の子どもへの教育
- 言語障害の子どもへの教育
- 自閉症・情緒障害の子どもへの教育
- 学習障害(LD)の子どもへの教育
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)の子どもへの教育
- 発達性協調運動障害(DCD)の子どもへの教育
- DSM-5による障害名の変更とは
- 同時処理が得意な子どもへの支援
- 継次処理が得意な子どもへの支援
- 視覚優位の学習型
- 聴覚優位の学習型
- 運動優位の学習型
- 特別支援教育の視点を入れるとは
- 子どもを「みる」とは
- 人物画から子どもをみる
- 特別支援教育の知見を学ぶということ
- 特別支援教育という名のつくセミナーに通う
- 特別支援教育士養成セミナーで学ぶ
- 夜間大学に通う・紹介される本で学ぶ
- 現場から学ぶ
- 応用行動分析で言動から原因を探る
- 最新情報を知り、保護者に解説する
- ・学びを深めるために
- 4章 特別支援教育の視点から考える通常の学級の授業づくり
- 特別支援教育の視点を整理する
- 三つの視点で授業を見る
- 参加を促すアイデア
- 授業を分割化して、参加を促す
- 見通しをもたせ、参加を促す
- エンターテインメント化して、参加を促す
- 授業をパターン化して、参加を促す
- 環境を調整して、参加を促す
- ねらいにせまるコツ
- 視覚化して、ねらいにせまる
- 焦点化して、ねらいにせまる
- 共有化して、ねらいにせまる
- 多様な活動を取り入れ、ねらいにせまる
- 力をつけるしかけ
- アクティブ・ラーニングで、力をつける
- 友達支援で、力をつける
- 協同学習で、力をつける
- 学び方を選ばせ、力をつける
- 10の原則を身に付ける
- ・学びを深めるために
- おわりに
- 引用および参考文献
はじめに
本書は、文字通り、
特別支援教育についてゼロから学びたい
方のために書かれたものです。
私自身は、特別支援教育の専門家ではありません。
そのため、私が尊敬し、学級経営について相談にのっていただいている青山新吾先生にお願いをし、一緒に編集していただくことになりました。
では、なぜ、特別支援教育の専門家ではない私が本書を編著することになったのか。その理由をまずお話しさせてください。
特別支援教育は、一部の先生や子ども達だけの課題ではありません。二〇一六年四月に障害者差別解消法も施行され、いまや、初任者からベテランの先生に至るまで、全ての先生にとってのテーマだと言えます。
私自身、ゼロから学べるシリーズの中に「ぜひ、特別支援教育を入れてほしい」と編集者の林知里さんから言われていました。最初は断っていたのですが、林さんの熱意におされたこともあり、公立小学校で十年以上もつことができた学級担任時の出来事や授業での関わりを振り返ってみました。そうすると、私が学級経営について悩み、喜び、成長するきっかけを与えてくれたのは、障害の有無に関係なく、課題のある子ども達との生活でした。
皆さんは、「インクルーシブ教育」という教育の考え方をご存じでしょうか。私が初任時代から学級担任としてまず大切にしてきたことは、このインクルーシブ教育の考え方です。
インクルーシブ教育とは、一言で言えば、「排除しない」教育だと言えます。
文部科学省の「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」を参考にすると、
・人間の多様性の尊重等の強化
・障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させること
・自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み
・障害のある者が教育制度から排除されないこと
・自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること
・個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要
といったことが挙げられます。
実は、こうした教育が特に求められている場は、特別支援学校だけではなく、通常の学級と言われるクラスの学級経営や授業づくりでもあります。
一人一人を大切にし、排除しない教育を私はできてきたのか。
そうやって自分自身を振り返ると、私自身、もっと学ばなくてはいけないと考えるようになりました。
また、同時に、とても印象に残っている出来事があります。それは、学生時代に免許取得のために通った特別支援学校や初任者研修で訪問した聾学校でした。障害の軽重に関わらず、一人一人を大切にし、何よりも楽しく生活している先生や子ども達を見て、「もっとがんばらないといけないな」と刺激を受けたことを覚えています。そして、何よりも学級経営で子ども達との関わりについて的確なコメントやアドバイスを頂ける青山新吾先生との出会いは、私の教師人生にとってとても大きいものでした。
「青山先生と一緒にお仕事をする中で、私自身もゼロから特別支援教育について学ぼう」
そう考え、この執筆に関わることになりました。
さて、本書では、
1章 支援を要する子も包み込む通常の学級のクラスづくり
特別支援教育の視点からということの前に、まずは支援を要する子も包み込むことができる丁寧なクラスづくりをするという視点から、どのようなクラスづくりをしていけばよいかについて提案します。
2章 特別支援教育とは何か
特別支援教育とはどんな教育か、歴史、背景、取り巻く環境を踏まえながら考えていきます。
3章 障害種別の子どもへの支援と教師のための学び方
子どもの見方、考え方、問題行動をどのように見て考えるのかなど、特別支援教育についてどのように学んでいけばよいかについて考えていきます。
4章 特別支援教育の視点から考える通常の学級の授業づくり
特別支援教育の視点からどのような授業づくりをしていけばよいか、提案していきます。
青山新吾先生、関田聖和先生、田中博司先生をはじめ、今回もバックアップメンバーとして、イラストのイクタケマコトさん、編集の林知里さんにはいつもながらに感謝します。
読者の皆さんと共にゼロから特別支援教育について考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
/長瀬 拓也
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- 明治図書
- 特別支援について一から丁寧に書かれていて、参考になった。2020/6/2620代・中学校教員
- 1つのキーワードごと見開き1ページにまとめられており、大変読みやすく、わかりやすかった。2019/5/2640代・教委
- 特別支援とインクルーシブの違いもよく分かっていたせんでした。入門書として最適の書です。2017/6/840代教諭
- 特別支援教育を理解する入門書。合理的配慮など、最新の動向と知識が平易な文章で説明されている。2016/9/1040代・男性