- まえがき
- 第1章 理論編 3つの“can”で考える学級経営ユニバーサルデザイン
- 1 「学級」とは何か
- 2 3つの“can”で学級をつくる
- 3 「I canの発見」の前提条件
- 4 「We canの体験」の前提条件
- 第2章 実践編 「I can」と「We can」を生み出す!個別最適な学び×協働的な学びを実現する365日の学級経営
- 「You canの創造」を生み出す1年間
- 1 1年間を見通す
- (1) 学級は,意図的・戦略的に経営する
- (2) 意図的・戦略的にカードをきる!
- @ Coordinate(つながりを調整する)
- A Assessment(把握・理解する)
- B Relation(つながりをつくる)
- C Decision(方針を決定する)
- 2 学年始まり
- (1) 出会う前に出会う
- (2) 引き継ぎでは客観的事実を把握する
- (3) 当たり前のような安心をつくる
- (4) 「We canの体験」を創造するために
- (5) 学年経営方針をそろえる
- (6) 教師の思いと子どもたちをつなげて山頂を目指す
- (7) 伏線でつなげて「We canの体験」を創造する
- 3 4月
- (1) 子どもたちと良い出会いをする
- (2) 学級経営の「核」と「枠」を創る
- (3) すべての子どもをインクルードする学級経営の「枠」を創造する
- (4) 子どもに合わせて学級経営の「核」と「枠」を創造する
- (5) 他者貢献で,「I canの発見」をする
- (6) 係活動で「I canの再発見」をする
- (7) 話し合いで「I canの発見」をする
- (8) 集団の中の子どもたちの心理を理解する
- (9) 学級目標は,全員の思いから創る
- 4 5月
- (1) 子どもと子どもをつなげる
- (2) 子どもと子どものつながりを調整する
- (3) 子どもの行動を客観的に分析する
- (4) 引き継いだことをもう一度見直す
- (5) 行事や学習活動を集団づくりのしかけにする
- (6) 「いつもと違う」を子どもに委ねる
- (7) 共有体験がつながりを創る
- 5 6月
- (1) 効果的な動機づけをする
- (2) 係活動で動機づける
- (3) ネガティブな波を乗り越える
- (4) ネガティブなつながりを調整する
- (5) 問題解決スキルを身につけさせ,「We canの体験」をさせる
- 6 7月
- (1) これまでの学級経営をフィードバックする
- (2) 間主観的視点で子どもを見る
- (3) 協力者として保護者とつながる
- (4) 学級力という見えないものを見える化する
- (5) 学級力アンケートで,2つの「We canの体験」を創造する
- (6) 学級目標で「We canの体験」を創造する
- 7 夏休み
- (1) 夏休みは充電期間
- (2) 成長を見える化する
- (3) 学習の軌跡を見える化する
- (4) 学級経営の調整をする
- 8 9〜10月
- (1) 9月は,もう一度学級開きをする
- (2) 不登校を選んだ子にアプローチする
- (3) 夏休み明けには「I can」の確認をする
- (4) 「遠い目標」に対する「近い目標」を確認させる
- (5) 成功体験でやる気を起こす
- (6) 多面的・多角的スモールステップを組む
- 9 11〜12月
- (1) 自治的な集団に育てる
- (2) 自治的な集団へのプロセスを見通す
- (3) 自己の利益と集団の利益を重ねる
- (4) 無意識的達成段階へ引き上げる
- (5) 自治的な集団をコーディネートする
- (6) ネガティブな波を再び乗り越える
- 10 冬休み
- (1) 次年度へ向けた準備をする
- (2) 「引き継ぎ」はその子の人生を見通した「教育リレー」である
- (3) その子を中心におく横断的連携を整える
- (4) その子の未来とつなげる縦断的連携を整える
- 11 1〜3月
- (1) 「I can&We can」を仕上げ,学級を解散する
- (2) 「I canの再発見」をしかける
- (3) 伏線を回収しながら,気持ちを重ねる
- (4) サプライズの演出により「We canの体験」を仕上げる
- (5) 学級経営を楽しむ
- 第3章 対談 通常学級における特別支援からデザインする!個別最適な学び×協働的な学びを実現する学級経営
- /赤坂 真二×上條 大志
- あとがき
まえがき
2021年7月のある日。上越教育大学教職大学院の赤坂真二先生からご連絡いただきました。個別最適な学びと協働的な学びを実現する学級経営に関する書籍への協力依頼でした。特別支援教育の視点から,実践を交えて語ってほしいというものでした。
「個別最適な学び」「協働的な学び」という言葉は,令和3年1月26日に中央教育審議会より出された答申※1の中にあるものです。これらの言葉は,よく耳にしていました。「学び」という言葉から,授業づくりにどう結びつけていくのかについては考えていましたが,それを学級経営に結びつけて考えるという発想は,正直ありませんでした。さすが赤坂先生だと思いつつ,どう結びつけていったら良いのか,なかなか見えていませんでした。
自分なりに「個別最適な学び」と「協働的な学び」について学びを進めていきました。すると,新しい何かを得るというよりも,これまで実践してきたことが価値づけられていく実感がありました。不思議な感覚でした。
これまで,いろいろな学級の担任をしてきました。良い学級経営はできていなかったかもしれませんが,大きく学級が崩れることはありませんでした。そして,周りの先生からは「あの子がすごく変わりました。上條先生マジックですね」と言っていただくこともありました。その先生は,「マジック」という言葉にそれほど強いメッセージは込めていなかったかもしれません。でも,私自身はこだわりをもっていました。「マジック」であって,「魔法」ではないということを。
マジックには,種やしかけがあります。周りの先生からは,「Aさんが落ち着くことが不思議=マジック」に見えたことも,私からすれば,その子に合った手立て(種)を考え,指導や支援を進めていたので,何ら不思議なことではありませんでした。
そうした私の手立て(種)の根拠になっていたのが,特別支援教育の視点でした。特別支援教育は,子ども理解に必須だと思います。学級経営の前提には,子ども理解があると考えている私にとっては,学級経営の前提は特別支援教育であると言っても過言ではありません。
「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現する学級経営について,特別支援教育の視点をもって語らせていただいたのが,2022年4月に出版された「『個別最適な学び×協働的な学びを実現する学級経営』(赤坂真二,明治図書)でした。
この本の反響の大きさから出版が決まった本書では,特別支援教育に携わる教師が,個別最適な学びと協働的な学びを実現する学級経営について,担任として,どのような理論に基づき,どのような実践をしているのかをご紹介していきます。
「第1章 理論編」では,私が考える「個別最適な学び×協働的な学びを実現する学級経営」の基本的な考え方をご紹介しています。
「第2章 実践編」では,1年間の学級づくりについて,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の視点から具体的実践例もご紹介していきます。
第3章では,赤坂先生との対談をまとめました。赤坂先生の鋭い視点で,私の理論や実践を価値づけていただきました。
これらは,あくまでも私が考える学級経営です。読者の先生方と私は,担任としての個性も,担任する子どもたちも違います。参考にしていただける部分については,学級経営に活かしていただき,担任される学級に合わないと思われる部分については,うまくアレンジして,ご自身の学級経営に活かしていただきたいと思います。
/上條 大志
※1 文部科学省『個別最適な学び』と『協働的な学び』の一体的な充実(イメージ)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01542.html)(2022年9月23日閲覧)
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