- まえがき
- 第一章 道徳授業一〇の原理
- 1 当事者性の原理
- 2 考察性の原理
- 3 開発性の原理
- 4 間接性の原理
- 5 複合性の原理
- 6 同期性の原理
- 7 構造性の原理
- 8 柔軟性の原理
- 9 収斂性の原理
- 10 増幅性の原理
- 第二章 道徳授業一〇〇の原則
- 〈教科書道徳〉の構造
- 1 教科道徳の形骸化が始まった
- 2 道徳教科書がひどい
- 3 学ぶ側の地域性に配慮がなされていない
- 4 世代間格差に配慮がなされていない
- 5 道徳教科書は未成熟である
- 6 道徳は「教材を」教えている
- 7 道徳は板書も古くさい
- 8 「考え、議論する道徳」は美辞麗句に過ぎない
- 9 説話にはメタ認知的構造化が必要である
- 10 道徳授業にも内容項目の関連指導が必要である
- 〈シンクロ道徳〉の構造
- 1 自主開発教材とコラボレイトする
- 2 コラボレイトには三つの形態がある
- 3 「ソロ道徳」で物事を広く考える
- 4 「縦コラボ道徳」で物事を深く考える
- 5 「横コラボ道徳」で問題意識を生成する
- 6 「答えのない課題」は道徳のテーゼでもある
- 7 交流・議論は道徳でこそ最も生きる
- 8 生涯にわたって必要な思考体験を重ねる
- 9 同じようなテーマで繰り返し議論することに意味がある
- 10 子どもだけでなく教師の中でも〈シンクロ〉する
- 〈ソロ道徳〉の構造
- 1 通読は「読み聞かせ」を基本とする
- 2 内容項目の系統性を意識する
- 3 主題を〈視覚化〉してみる
- 4 〈外挿条件〉で思考を活性化する
- 5 〈外挿条件〉を発展させる
- 6 教材を読む原動力をつくる
- 7 教材加工で意欲を喚起する
- 8 〈外挿教材〉で思考を広げ深める
- 9 教材の「キズ」を扱う
- 10 活動の細分化が時間配分を決める
- 〈縦コラボ道徳〉の構造
- 1 登場人物と親和性のある身近な人物を取り上げる
- 2 登場人物とは異なる姿勢を取り上げる
- 3 登場人物が選ばなかった道の姿を想定する
- 4 登場人物との共通点・相違点を分析する
- 5 共通点・相違点を観点に内容項目を取り上げる
- 6 登場人物と正反対の人物を取り上げる
- 7 映像視聴が無理な場合は教師の語りで代替する
- 8 情報提示の意図を短い言葉でまとめる
- 9 二つの教材を対比する
- 10 教育活動は少しずつ高度にしていく
- 〈横コラボ道徳〉の構造
- 1 視点転換教材を自作する
- 2 広がりのある前提思考をつくる
- 3 「AL課題の四条件」に適う問いを中心活動とする
- 4 〈横コラボ〉教材は必ずしも文章教材である必要はない
- 5 〈構造〉を取り出すことに慣れさせる
- 6 活動機能を含む問いが有効である
- 7 AL型授業の構成には十段階がある
- 8 必ず「自分の意見」をもたせ〈リストアップ〉させる
- 9 メンバーをシャッフルする
- 10 教育活動は少しずつ高度にしていく
- 〈自主開発道徳〉の構造
- 1 自主開発道徳はきわめて有効で実用的である
- 2 自主開発授業はPPTでつくる
- 3 定期的な新作開発を自らに強いる
- 4 「発信サイクル」に身を置くことで開発できる
- 5 〈縦コラボ〉で自主開発授業をつくる
- 6 〈横コラボ〉で自主開発授業をつくる
- 7 経験の想起には配慮を要する
- 8 個々の専門性を活かした豊かな実践が生まれる
- 9 「敬愛する人・物」を教材化する
- 10 自分の特性を抑制し過ぎてはいけない
- 〈問題意識道徳〉の構造
- 1 「題材先行型」と「問題意識先行型」とがある
- 2 できるだけ具体的な観点で題材を探す
- 3 「問題意識」の視野を広げる
- 4 知らないからこそのアドヴァンテージがある
- 5 〈サイレント指導言〉で雰囲気を醸成する
- 6 題材の同質性と異質性を併せて提示する
- 7 同様の授業展開を繰り返すことで増幅させる
- 8 教師は社会を見る「目」をもたねばならない
- 9 「お説教道徳」にならないよう間接的に取り上げる
- 10 「問題意識」を子どもの実態から生成する
- 〈時事問題道徳〉の構造
- 1 「後ろ」が決まらなければ「前」はつくれない
- 2 導入の活動を焦点化する
- 3 時事問題は「歴史性」を帯びている
- 4 歴史的に評価の定まった題材を用いる
- 5 終末活動を決め、その布石として何が必要かと考える
- 6 必要な布石が出揃わなければ授業の立案はできない
- 7 終末活動に親和性の高い情報を直前に配置する
- 8 その他の情報を機能性を考え並べる
- 9 導入の動機付けは最後につくる
- 10 「問題意識」を抱いた時事問題は授業化すべきである
- 〈教材開発〉の構造
- 1 思いついた素材を散逸させない
- 2 道徳素材を収集するシステムをつくる
- 3 一見無関係に思える二つの事象に関連性を見出す
- 4 新たな発想の生まれやすい環境をつくる
- 5 創造は馬鹿げた作業から生まれることがある
- 6 某かに取り組めば思わぬ副産物に出会える
- 7 日常的に触れるメディアを広げる
- 8 YouTubeは道徳素材の宝庫である
- 9 「ネタ探し」が生活に潤いをもたらす
- 10 道徳教材開発の視座を自分の生活の一部にする
- 〈切磋琢磨〉の構造
- 1 一人では自分の世界観を超えられない
- 2 仲間の授業が世界観を広げてくれる
- 3 「批判こそ礼儀」の精神で批評し合う
- 4 物事を多面的・多角的に捉えることにつながる
- 5 テーマ別授業づくりが更に世界観を広げる
- 6 分担して教科書教材の教材研究もできる
- 7 研究仲間が多くなればなるほど学びは増幅する
- 8 懇親会は〈リフレクション〉機能を果たす
- 9 遠征での新しい出会いが実践研究を更に発展させる
- 10 実践研究は所詮「道楽」である
- あとがき
まえがき
こんにちは。堀裕嗣(ほり・ひろつぐ)です。
道徳の授業づくり。愉しんでますか?
「もちろん! 毎週心から愉しんでます」という方はおそらく少数派だと思います。多くの方々は、「まあ、苦にならない程度には慣れたかな」とか、「やんなきゃならないから仕方なくやってるよ」とか、「毎週、もう苦痛でしょうがない……」とかいったところが本音なんじゃないかと思います。「要するに子どもたちの意見をいっぱい板書すりゃ良いんでしょ?」とか「要するに評価所見書けるようにワークシートにたくさん感想書かせりゃ良いんでしょ」とかいった開き直りの運営もよく見られます。まあ、それで良いなら僕もそうした態度を否定しません。人の生き方がそれぞれであるように、教師のスタンスも人それぞれです。これが絶対正しいという姿勢があるわけではありません。
しかし、道徳の授業はなぜ苦なのか、もう少しなんとかならないか、そう感じている方ならば、本書を読むことに少しは価値が出てくるかもしれません。正直、そんなスタンスで本書を上梓しています。
本書は、文科省の言う通りに道徳授業をすることに喜びを感じている、地域の道徳授業研究をリードしておられるようなごくごく少数の方々には向きません。また、「道徳なんてやりゃ良いんだよ、もうそれなりに慣れたし、気楽に毎週の授業をこなしているよ」という大多数の方々にも向きません。
本書が読者として対象としているのは、道徳授業が苦痛だ、まったく自分の主体性が発揮できていない、もう少しなんとかならんものかと、小さいながらも問題意識を抱いている方々、またそれほど明確でなくても、なんかすっきりしない、なんか意味ないことしている気がすると、問題意識の欠片のようなものをうまく消化しきれないでおられる方々、そんな方々です。
本書が若手・中堅・ベテランを問わず、道徳授業の在り方に違和感を感じている方々に少しでも参考になるとしたら、それは望外の幸甚です。
しかし、堀先生の提案を読んでみて、それだけが道ではないことを知った。また、堀先生の課題意識から生まれた実践と考え方には納得させられた。
コメント一覧へ