- まえがき
- Chapter1 日常授業でも使える!授業構想の基礎・基本
- 1 教材研究・教材開発
- 2 単元構想
- 3 学習指導案の作成
- 4 振り返りと次に向けた課題の整理
- Chapter2 段取りが9割!研究授業を見据えた授業づくりの進め方
- 1 半年前
- 2 3か月前
- 3 1か月前
- 4 単元の導入・当日・終わった後
- Chapter3 ここがポイント!研究授業の見方・分析の仕方
- 1 配布された学習指導案のどこを読むか
- 2 教室のどこに立ち,何を見るか
- 3 授業展開の何を記録するか
- 4 事後研では何をコメントするか
- Chapter4 研究主任になったらこうする!校内研究の進め方
- 1 研究主任の仕事とは
- 2 校内研究の枠組みづくり
- 3 年間スケジュールの立て方
- 4 授業研究会の持ち方
- Chapter5 指導案でみる学年別研究授業事例15
- 第1学年
- 読むこと(説明文)1 「どうぶつの赤ちゃん」(光村)
- 読むこと(物語文)2 「たぬきの糸車」「むかしばなしをよもう」(光村)
- 第2学年
- 読むこと(説明文)3 「さけが大きくなるまで」(教出)
- 読むこと(物語文)4 「スイミー」(光村・学図 ほか)
- 読むこと(物語文)5 「スーホの白い馬」(光村)
- 第3学年
- 読むこと(説明文)6 「すがたをかえる大豆」(光村)
- 読むこと(物語文)7 「三年とうげ」(光村)
- 読むこと(物語文)8 「ゆうすげ村の小さな旅館」(東書)
- 第4学年
- 読むこと(説明文)9 「ウナギのなぞを追って」(光村)
- 読むこと(物語文)10 「初雪のふる日」(光村)
- 第5学年
- 読むこと(説明文)11 「見立てる」(光村) ほか
- 読むこと(物語文)12 「大造じいさんとガン」(光村)
- 第6学年
- 読むこと(説明文)13 「森へ」(光村)
- 読むこと(物語文)14 「やまなし」「イーハトーヴの夢」(光村)
- 読むこと(物語文)15 「海の命」(光村)
まえがき
近年,より広い地域で授業研究を通した授業改善が進んできています。数千に及ぶ授業を拝見する中で,優れた授業の背景には優れた準備があることを強く感じます。そしてそうした準備を着実に行うことで,国語の研究に初めて取り組む教師も若手の教師も,子供たちが十分に力を発揮し合い,さらに言葉の力を獲得する授業を展開できることが分かってきました。
例えば単元の指導目標に基づいて単位時間の授業の交流を成立させるためには,その時間の発問や指示を工夫するだけでは十分ではありません。単元構想全体を工夫して,子供が明確な目標に向かって学べるようにしつつ,そのゴールに向かうために情報が必要だからどうしても交流したい,といった意識を喚起する手立てが必要です。さらにはそうした交流を実際に展開できるようにするためには,研究授業の本時のみならず,そこまでに様々な学習場面を活用して交流の学習体験を積み重ねられるようにすることも必要になります。
もちろん研究授業が指導のゴールではありませんが,そうした授業に向けて子供たちにどのような能力を育てていけばよいのかを逆算して明らかにし,見通しをもって計画的に指導を行っていくことが,教師としての力量を高め,子供の可能性を引き出す授業を実施するために大切なものとなります。
本書では,こうした授業づくりの在り方を,国語科の授業研究という側面に光を当てて検討しています。Chapter1,2では,授業構想や学習指導案作成の基礎・基本,授業に向けた緻密で周到な準備の進め方等を取り上げ,これまでの数多くの先生方との共同研究を通して明らかになった授業づくりの秘訣を述べています。Chapter3では,授業を見る側に立った場合の視点や見方・生かし方,指導・助言のポイント等を述べています。これまでの莫大なデータに基づいて得られた知見を,本書において初めて書き出したものとなっています。さらにChapter4では,研究主任の役割や職務の進め方等について述べています。Chapter5では,全国の優れた実践を集積し,実践の工夫改善のポイントやその成果に加えて,授業当日に至る準備や授業構想のプロセスをご提示いただきました。
本書を通じて,全国の数多くの,子供たちのために授業改善を進めたいと願う先生方と,「自分のクラスではこんな課題や実態があったけれど,このように準備して授業に臨み,子供たちのこんな伸びが見られた」という改善の過程や授業に向けた準備の具体の姿を共有できることを切望しています。
2020年4月 京都女子大学教授 /水戸部 修治
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