- はじめに
- T 歴史への多様なアプローチと歴史教育
- ―歴史の見方・とらえ方のヒント
- 1 歴史の多様な見方・とらえ方 /土屋 武志
- 2 PISA型学力と歴史学習―活用されやすい習得 /中尾 敏朗
- 3 歴史の中の伝統文化 /竹内 誠
- 4 戦争と国民の距離をどう測ればよいのか /加藤 陽子
- 5 博学連携で拓く歴史教育 /小島 道裕
- 6 歴史学と歴史教育のストライクゾーン /関 幸彦
- 7 デジタル・アーカイブによる歴史教育の試み―アジア歴史資料センターを事例として /大沢 武彦
- 8 外国人が学ぶ日本の歴史―インドネシアの事例 /ナスティオン
- U これが私の勝負授業! 「思考力・判断力・表現力」を伸ばす日本史授業デザイン
- 1 「思考力・判断力・表現力」をつける教材開発・学習活動の視点 /土屋 武志
- 2 「思考力・判断力・表現力」をつける授業づくりのポイント /佐伯 眞人
- 3 学習指導案のつくり方―授業デザインを表現する /児玉 典久
- 4 思考力・判断力・表現力をつける「私たちの時代と歴史」授業モデル
- ○これが私の勝負授業!「私たちの時代と歴史」授業モデル
- 地形図から社会の変化をよむ(日本史A) /下山 忍
- 5 思考力・判断力・表現力をつける「近代の日本と世界」授業モデル
- ○これが私の勝負授業!「近代の追究」授業モデル
- 戦争と国民の生活〜満洲開拓を事例に(日本史A)/吉田 洋子
- 6 思考力・判断力・表現力をつける「現代の日本と世界」授業モデル
- @これが私の勝負授業!「経済の発展と国民生活の変化」授業モデル
- 多面的・多角的に見る「高度経済成長」の時代(日本史A)/下山 忍
- Aこれが私の勝負授業!「現代からの探究」授業モデル
- 母校から地域の歴史を調べよう(日本史A) /上原 一孝
- 7 思考力・判断力・表現力をつける「原始・古代の日本と東アジア」授業モデル
- ○これが私の勝負授業!「歴史と資料」授業モデル
- 遣隋使・遣唐使の資料から考えてみよう(日本史B)/梶 輝行
- 8 思考力・判断力・表現力をつける「中世の日本と東アジア」授業モデル
- ○これが私の勝負授業!「歴史の解釈」授業モデル
- 荘園の人々―2つの訴状(日本史B) /奥村 典夫
- 9 思考力・判断力・表現力をつける「近世の日本と世界」授業モデル
- @これが私の勝負授業!「近世国家の形成」授業モデル
- 織田信長の統一事業―延暦寺焼き討ちを中心として(日本史B)/永松 典
- Aこれが私の勝負授業!「歴史の説明」授業モデル
- 田沼意次の政治を評価してみよう(日本史B)/韮塚 雄一
- 10 思考力・判断力・表現力をつける「近代日本の形成と世界」授業モデル
- ○これが私の勝負授業!「近代産業の発展と近代文化」授業モデル
- 工場の出現で何が変わっていったのか(日本史B) /奥村 典夫
- 11 思考力・判断力・表現力をつける「両大戦期の日本と世界」授業モデル
- ○これが私の勝負授業!「第二次世界大戦と日本」授業モデル
- 相関関係から満洲事変をとらえよう(日本史B) /坪井 佳代
- 12 思考力・判断力・表現力をつける「現代の日本と世界」授業モデル
- ○これが私の勝負授業!「歴史の論述」授業モデル
- 地域を使って歴史を書こう(日本史B) /野口 剛
- V 生徒が熱中する! 日本史授業デザインのポイント
- ―生徒を活かす支援とネットワークづくり
- 1 授業研究のすすめ方―教員支援プログラム /永松 典
- 2 小学校・中学校・高等学校の系統的指導法の実践と課題 /島村 圭一
- 3 評価と授業改善のサイクル /梶 輝行
- 4 文書館資料を活用した授業づくり /松本 一夫
- 付録 社会科授業用資料リスト
- おわりに
はじめに
本書では,題名にある「学力」という言葉を,単に歴史用語を知っているかどうかというレベルで考えていない。過去の情報を選択し,評価し,組み立てて「歴史」を表現していくことができること。それを大切な学力と考えて編集した。歴史を学ぶ「学力」が多様で深いものであることは,本書を読んでいただければわかるだろう。
本書は,平成21年版の高等学校学習指導要領解説編の執筆者を中心に,これからの日本史教育の参考となるよう具体事例を入れて編集された。執筆者には,前の学習指導要領の作成時のメンバーであり,今回の改訂時には中央教育審議会の初等中等教育分科会委員であった竹内誠・佐伯眞人・永松典の各氏も加わっている。コンパクトな本とはいえ,高等学校日本史教育の動向に詳しい立場にある執筆陣によるものである。
本書の目的は,高等学校や中高一貫校・高等専門学校等で日本史教育実践に携わっている教師たちの中で,生徒の思考力・判断力・表現力を高めようとしている教師たちに,ひるむことなく実践を続けていってほしいというエールを送ることである。
本書の校正段階で,東日本大震災が起きた。大災害の中でも,何をなすべきか優先順位を考え,社会秩序を保って災害に立ち向かう日本の人々に諸外国のメディアが注目した。いかなるときも「主体的に生きる平和で民主的な国民」を育てることは高校地歴科も担っている。このことはこれからも一層大切にしなければならない。これからも「日本史」の授業の中で,考え,判断し,表現する機会を生徒たちに与えていく必要がある。それは,生徒同士が対話し関わりあう経験となって,人と人とが信頼しあえる社会を維持し発展させることになるだろう。
本書をご一読いただき,本書をはるかに越える実践に挑戦したり,それを継続されることを期待している。
編著者 /土屋 武志
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- 明治図書
- 新しい歴史授業づくりのポイントやヒントがたくさん載っており、授業改善に活かせそう。2016/2/2320代社会科教員