- はじめに
- 第1章 まずは大きく映してみよう 初級編@
- 1 普通教室ICT三種の神器
- 2 とにかく最初はプロジェクターを導入
- 3 パソコンを準備
- 4 画面を映してみましょう
- 5 写真やウェブを映して授業
- コラム どうやって機器を入手するの?
- 第2章 デジタル教科書で授業をしよう 初級編A
- 1 デジタル教科書で本格授業
- 2 まずはデジタル教科書に慣れよう
- 3 「目次」から単元名をマウスでクリック
- 4 国語のデジタル教科書でスイスイ授業
- 5 算数のデジタル教科書で児童に教科書を閉じさせて授業
- 6 理科のデジタル教科書で資料館
- 7 社会のデジタル教科書は迫力満点
- 8 ぜひ使ってみましょう
- コラム 研究費用はどうやって得るの?
- 第3章 書画カメラで簡単プレゼン 中級編@
- 1 書画カメラは大きく分けて2種類
- 2 教科書を大きく映して超簡単な「デジタル教科書もどき」
- 3 子どものノートやプリントを大写し
- 4 プリントに書いてもプレゼン授業「電子黒板もどき」「デジタル教科書もどき」ができる?
- 5 理科キット,花のタネ,昆虫などの微小物を大きく拡大
- 6 家庭科でも手の動きを投影してわかりやすく
- 7 USB接続の書画カメラではこんなことも(少し上級編)
- 第4章 電子黒板で簡単操作 中級編A
- 1 電子黒板?電子情報ボード?インタラクティブ……?
- 2 学校での「電子黒板」は「電子情報ボード」としての機能
- 3 電子黒板は形で分けると3種類
- 4 デジタル教科書の操作は超楽々
- 5 電子黒板での文字入力は熟練が必要
- 6 電子黒板での授業は立ち位置に注意
- 7 いろいろなソフトを立ち上げたいときは「ESCモード」で
- 8 他製品を用いて簡易電子黒板
- コラム 最も使い勝手の良いプロジェクターは?
- 第5章 自分でプレゼン資料を作って授業 上級編@
- 1 イメージスキャナは複合機が便利
- 2 プレゼンテーションソフトは必須
- 3 フォトレタッチソフトを準備する
- 4 プレゼンテーションソフトを準備
- 算数
- 1 教科書画像を切って順に貼り付け
- 2 必ず一度は流してプレゼン資料を確認
- 3 プレゼンデータを使ってワークシート作成
- 国語
- 1 漢字ドリルをスキャンして新出漢字の筆順確認
- 2 「ことばのきまり」「言語活動」「詩」はスキャンしてそのまま貼り付け
- 3 物語文や説明文はOCRで一度テキストに直して貼り付け
- +αで授業力アップ!
- コラム 最も使い勝手の良い書画カメラは?
- 第6章 子どもに使わせるICT 上級編A
- 1 書画カメラで説明
- 2 電子黒板にリアル書き込み
- 3 液晶タブレットで卓上板書
- 4 USB接続書画カメラ+液晶タブレットで簡単プレゼン授業
- 5 究極の技「教室Qさまシステム」
- 第7章 子どもの近くで遠隔操作,最先端授業 番外編@
- 1 タブレットパソコンで直接書き込み,遠隔操作
- 2 iPadで遠隔授業
- 3 スレートパソコンで遠隔授業
- 4 スレートパソコンをデスクトップパソコンの画面に同期する
- 5 iPhoneやiPad画面をApple TVで飛ばす
- 6 ワイヤレスタブレットで飛ばす
- コラム これからのICTはどうなる?
- 第8章 ICT活用で学級経営校務楽々処理 番外編A
- 1 スマートフォンは本当に多機能端末
- 2 DropboxでUSBメモリ持ち帰りなし
- 3 教室に複合機
- 4 古いマシンは児童用パソコンに
- おわりに
はじめに
今,教育界は大きな変化のうねりの中にいます。学力問題,ゆとり脱却,いじめ,保護者対応などあまり良い方向でないうねりの中,確実に良い方向に進んでいるものが一つあります。教育の情報化でありICT 化のうねりなのです。一昔前だと,学校でのパソコンの作業は一部の得意な先生だけに限られていました。それも私物のパソコンで。プロジェクターは学校に1台どころか,教委か公民館に1台あって,それを借りてきて使っている状況。マグネットスクリーンや書画カメラ,電子黒板なんて影も形もありませんでした。インターネットも一部のオタクかマニアの間で語られる程度で,およそ教室で活用しようとは考えられませんでした。戦前や高度経済成長時代の話,昭和の頃ではなくて,ほんの10年ちょっと前の話なのです。
2007年に筆者は『教師のためのICT 活用ネタ70選』という本を出しました。このとき訴えたのは「何とかプロジェクターを手に入れましょう」「書画カメラが入手できないのなら作ってしまいましょう」「パソコンは古い物をリサイクルして使いましょう」「ソフトウェアはフリーでいいものがありますよ」こういった内容でした。これがわずか5年前です。今はどうでしょう。そこからあまり時間が経っていないのに,多分パソコンはほとんど教員1人に1台ずつあるのではないでしょうか(教室に1台分はあるでしょう)。プロジェクターはどんどん値段が下がり,5年前と同じ明るさ・機能のものが数分の1の値段で購入できます。学校や教委も各教室に1台導入できるよう考えているところが多いでしょう。そしてデジタル教科書もかなりの学校で導入されてきました。校内LAN も整い,サーバでデータ管理ができるようになるとともに,きちんとフィルタリングされた上でインターネット接続もパソコン室のみならず普通教室からでも児童自ら操作できるような環境が整ってきました。文科省は2014年に児童1人に1台の情報端末を持たせる計画を掲げています。ますますICT 環境は整っていくことでしょう。私たちがかねてから入れて欲しいと思っていた備品が入り,環境が整うことは喜ばしいことです。ましてやそれが思っていたよりも早い時期に導入できればそれはありがたいことです。
ところが,そうやって環境が整うということは,逆にいうとあとは我々教師の取り組みに委ねられているということになりはしないでしょうか。入れて欲しい機械が入ったのに一向にICT 活用が進まないということになれば,現場はいったい何をやっているんだ……とせっつかれることは間違いありません。高価な備品にホコリをかぶせたり無駄にしたりしないためにも,これらをどのように使っていくか,授業に生かしていくのか,それをしっかりと練る時間がなかなか担任教師にはありません。
そこで,現状でとりあえずこのように進めていくとうまくいくよ,こうやればさらにスキルアップするよ,という合理的に短時間でICT 活用ができる方法をいくつも考えてみました。初級編,中級編,上級編,番外編などと分けてみましたが,今ある環境でやりたい方法をぜひやってみてください。それがかならずや先生方のオリジナルとなってさらに深まり,効果的な手法を確立できることと思います。ともに取り組んでみましょう。
2013年 盛夏 著者 /國眼 厚志
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- 明治図書
- 頭の中を整理するのに役立ちました。2022/12/3040代・中学校教員