- まえがき
- Chapter1 生徒のやる気をアップする!教室環境・雰囲気づくり
- 1 英語授業における座席は生徒が自分で決める
- 2 教室全体を最大限に利用する
- 3 グルーピングで授業の雰囲気をがらりと変える
- 4 生徒の声量をあげるために声が自然と出る雰囲気を作る
- 5 生徒側と教師側の姿勢の両方で授業規律を高める
- 6 活動ごとにワンクッション置いて集中力を持続させる
- 7 授業のペースはテンポ良く着実に行う
- Chapter2 主体的・対話的で深い学びを実現する!場面別・授業マネジメント
- 導入ウォーミングアップ
- 8 クラスルームイングリッシュは活動を通して定着させる
- 9 プランニングの可視化で教師も生徒もモチベーションを高める
- 10 グルーピングからウォーミングアップに繋げる
- 11 授業のチェックインとチェックアウトはオーラルリフレクションを行う
- 12 次回のウォームアップクイズは生徒が作ったものを利用する
- 展開
- 13 教師のインストラクションは5つのポイントを意識して行う
- 14 質問は段階を踏んでLevel 1からLevel 3まで用意する
- 15 全ての指示に時間制限を設け,生徒の動きを機敏にする
- 16 時間を作る
- 17 立ち位置や音質を意識する
- 18 発問で教材に対する生徒の心を開かせ授業に生徒を引き込む
- まとめ・振り返り
- 19 課題解決型学習で世界の情報をキャッチする
- 20 Critical Questions で自律的学習者を育てる
- 21 学ぶ機会を多く作り生徒のモチベーションを高める
- 22 Multimodal Review で主体的に取り組ませる
- 23 授業のClosure は生徒中心で行う[1]
- 24 授業のClosure は生徒中心で行う[2]
- 25 授業のClosure は生徒中心で行う[3]
- Chapter3 苦手な生徒も英語好きになる!4技能5領域の指導アイデア
- 指導全般
- 26 活動内容を精選して自信を付けさせる
- 27 ICT を活用してクイズを作る Jeopardy 編
- 28 ICT を活用してクイズを作る Kahoot 編
- 29 4技能5領域はそれぞれ統合して指導する
- リーディングの指導
- 30 レベル別個別式モニタリング音読で英語表現を定着させる
- 31 リーディングはコミュニカティブに行う
- 32 リーディングはPost-reading activity で創造力や情報処理能力を向上させる
- 33 並べ替え問題は題材に関連のある初見の文章を用意する
- 34 並べ替え問題はレベル別タスクを用意する
- スピーキング(やり取り)の指導
- 35 ディベートはアイデアを共有するディスカッションから始める
- 36 ディベートはピラミッドディスカッションから始める
- 37 ディスカッションは小物を活用してゲーム感覚で練習する
- 38 サバイバーディスカッションで即興的スピーキング力を伸ばす
- スピーキング(発表)の指導
- 39 活動形態を工夫して大人数でもスピーキング活動を実現可能にする
- 40 7つの手順を踏んで即興で話す力と書く力を同時に伸ばす
- 41 プレゼンテーションはタイムマネジメントとフレーズで行う
- 42 発表する時は発表原稿の持ち方を工夫する
- 43 復習で行う質問文作成活動は難易度と学習形態を変えて行う
- ライティングの指導
- 44 ライティングの指導は読み手を意識してCreative に取り組ませる
- 45 ライティングの指導は必ずPeer Feedback を行う
- リスニングの指導
- 46 ジグソーアクティビティは失敗から学ぶ
- 47 ジグソーは予習としてウォームアップの帯活動で行う
- 文法指導
- 48 比較級の指導は生徒を動かして行う
- 49 過去形の指導は想像力を働かせる活動を通して行う
- 50 Sequencers を活用して過去形を指導する
- Chapter4 ちょっとの工夫で効果抜群!授業づくりのポイントQ&A
- Q1 活動をしても生徒が動かなくて困っています
- Q2 発音指導は必要ですか
- Q3 発音指導の優先順位が分かりません
- Q4 Critical Thinking を付けるためには何をしたら良いのでしょうか
- Q5 リスニング指導で生徒が飽きてしまいます
- Q6 活動や発問を考える時に,何をベースにしていますか
- Q7 英語の指導案はどのように書けば良いのでしょうか
- Q8 テスト問題を工夫したいのですが
- Q9 授業改善のために何をしていますか
- Q10 英語嫌いな子も必ず乗ってくるとっておきの方法はありますか
- あとがき
まえがき
「同じ素材でも調理法とシェフの思いで料理の味は決まります。同じ教科書でも,やり方と教師の思いで授業が変わる」この様に,授業はよく料理に例えられます。しかし,その先には,料理を食べるお客様や授業を受ける生徒の存在があります。実はそこが一番重要です。
シェフが同じであれば味は同じ!?
「小籠包は小籠包なのだから,どのように食べても味は同じですよね」「オムライスはオムライスなのだから誰が食べても味は変わらないでしょ」以前の私はこのように思っていました。同じシェフが,素材と調理方法や味付けも同じにして,同じテーブルに同じ時間に用意した料理であれば,私が食べても,誰が食べても味は変わらないはずであると思い込んでいました。
誤解
しかし,それは大きな誤解でした。シェフが同じで料理が同じでも食べ方次第で味が変化するのです。私は同じ味であると思い込んでいただけに,教えていただいた方法で料理を口に運んだ瞬間に衝撃が走りました。味が変わり,何倍も美味しく感じました。例えば,小籠包を食べる時は,皮がタレを弾いてしまうので,蓮華にタレを入れてから小籠包を乗せてお箸で少し皮に穴をあけて中に染み込ませます。そこに千切りにした生姜を乗せ,肉汁とタレと一緒に食べました。オムライスは卵が熱で固まってしまうため,スプーンで卵を半分に開いてご飯を包むようにすると,中が半熟トロトロの状態のまま美味しく食べることができました。もちろん,客層や好みによって食べ方は他にもいろいろあると思います。しかし,こだわりのある新しい食べ方を知った私は,以前よりずっと美味しく,かつ楽しく食べられるようになりました。何を食べるかより,どのように食べるか,誰と食べるか,どこで食べるか,いつ食べるかも料理の味に大きな影響を与えます。
英語の授業でも同じ!?
私は以前「英語の授業でも,達人の方法を真似すると同じように生徒も動いてくれるだろう,同じハンドアウトを配って同じようにやってみよう」と思い込んで,授業で実践しました。しかし思ったようには上手くいきませんでした。そんな簡単にできるはずがありません。同じやり方であっても,生徒の実態や学年の違いや学習者のレベルやクラスの雰囲気や生徒と教師との人間関係によって結果は違ってきます。また,適切な方法で評価や分析をしないと,その結果の解釈自体も変わってくるでしょう。結果が違うことを知った後に,何が足りていないのか,どうすればよいのかを考えました。そこで見えてきた1つの答えが,「Objective=目的」です。身に付けさせたい力を明確にし,目的を持った指示を出し,目的を持ったタスクを課し,生徒の自主性を尊重しながら学び方も伝え,生徒のやる気を引き出そうと工夫しました。
見た目で勝負から中味で勝負
生徒を動かすテクニックは,教師のはっきりとしたビジョンがないと機能しません。達人と呼ばれる先生方のテクニックを表面的に真似するのではなく,指導者の意図や戦略があってこそ,効果的に生徒の英語力は伸びていきます。時間が無限にあれば,試行錯誤しながら色々な方法を試してもいいと思います。しかし,小学校・中学校・高等学校と限られた時間の中で最大限に生徒の力を伸ばすには,生徒の心をつかむ,いわゆる教師のマネジメント術が重要なファクターになります。同じ場所で同じ時間を共有するのであれば,“Do a lot with a little”の考え方で,最小限の力で最大限の効果を発揮したいですよね。生徒のやる気を戦略的に高めるモチベーション・マネジメント術を使わない手はありません。生徒が英語の楽しさを感じられるような授業を,1時間でも多くしたい,本書がその一翼を担えたら幸いに思います。英語教育の明るい未来に,ともに実践・研究してまいりましょう。
2018年2月 /小林 翔
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- 明治図書
- 大変参考になる内容でした。2018/12/1530代・小学校教員
- 高校英語だけでなく、中学や小学校の現場においても活用できるマネジメント方法が書いてあり、具体的な指導アイデアがすぐに使える内容のため、参考にしている。2018/11/2730代中学教諭