著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
生徒がどんどん動くモチベーション・マネジメントを身につけよう!
茨城大学教育学部助教小林 翔
2018/3/29 掲載

小林 翔こばやし しょう

茨城大学教育学部助教。1983年大阪府生まれ。
関西外国語大学外国語学部卒業。関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。
東京都立千早高等学校、東京都立白鷗高等学校附属中学校を経て現職。専門は英語授業実践学。大学院時代に、『英語発音の達人ワークアウト:Englishあいうえお』に出演。東京教師道場外国語高等学校リーダー、教育研究員、研究開発委員、認定講師、文部科学省委託事業英語教育推進リーダーとして中核となる高等学校の英語担当教員の授業・評価の改善のための指導・助言を行ってきた。その他にも教員研修プログラムやセミナーの講師も務めている。単著に『高校英語のアクティブ・ラーニング 成功する指導技術&4技能統合型活動アイデア50』(明治図書)、DVD「英語教育達人セミナーin 東京2017」(ジャパンライム株式会社)、共著書に『英語授業の心・技・愛―小・中・高・大で変わらないことー』(研究社)などがある。受賞歴に第26回(平成25年度)英検研究助成・実践部門入賞。第65回読売教育賞外国語・異文化理解部門優秀賞受賞。第32回東書教育賞入選。

―本書では生徒のやる気を戦略的に高めるモチベーション・マネジメント術が紹介されています。書名にもあるモチベーション・マネジメントとはどのようなものですか。

 本書では、モチベーションを高める(生徒のやる気を引き出す)+マネジメント(授業運営やプランニング、コントロール)=モチベーション・マネジメントという意味で用いています。
 つまり、「なんとなく生徒が動いている状態」から、「こうすれば必ず生徒が動く状態」を教師が把握し、生徒のやる気を高めるための仕掛けを意図的に指導プランに盛り込んで行うことです。

―先生がこのモチベーション・マネジメントを意識し始めたきっかけは、どのようなことだったのでしょうか。

 自律的学習者を育てることができれば、生徒は自ら学ぶようになります。そこで、教師としてどのような支援ができるかを考えた時に、授業の最初に種をまき、授業を通して水を与え、授業後には芽が出始める段階までもっていくことができれば、授業時間外でも学び続けるautonomous learnerを育てることができると思いました。そのためには、芽が出ることをイメージし、必ず出るような手順を踏んで授業プランを立てることだと気付きました。

―前作『高校英語のアクティブ・ラーニング 成功する指導技術&4技能統合型活動アイデア50』と本書の違いはどのようなところでしょう。前作との違いと本書の活用方法を合わせて教えてください。

 限られた時間の中で最大限に生徒の力を伸ばすには、生徒の心をつかみ、授業を適切にコントロールすることが大切です。本書では、指導者の意図や戦略を具体的にまとめ、「Objective=目的」を大切にしています。身に付けさせたい力を明確にし、目的を持った指示を出し、目的を持ったタスクを課し、生徒の自主性を尊重しながら学び方も伝えるようにしました。 4技能5領域別にまとめていますが、すべてリンクしていることを知っていただきたいと思います。

―2月に高校の学習指導要領改訂案が公表されました。新学習指導要領や新しい大学入試に対応する英語力を育てるために、教師はどのようなことに気をつけていくべきだと、先生は思いますか?

 小中高の学びを接続させるため、「聞く、読む、話す(やり取り、発表)、書く」の5つの領域を有機的に関連付けながら指導することが大切だと思います。特に、やり取りの部分では、「即興」をキーワードに、準備させずに相手との対話を通して自分の考えを再構築する活動を充実させることが主体的・対話的で深い学びを実現することにつながると思います。

―最後に、全国の高校で英語を教える先生方へ一言お願いいたします。

 これまでに私が何度も先生方から尋ねられた英語授業に関する質問に答えるために、「授業づくりのポイントQ&A」のパートも設けました。先生方が同様の質問をされたときに参考にしていただけると幸いです。生徒が英語の楽しさを感じられるような授業を、1時間でも多くしたい、本書がその一翼を担えたら幸いに思います。英語教育の明るい未来に、共に実践・研究してまいりましょう。

(構成:木山)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2019/3/25 0:48:44
    日々の授業で使えるアイデアが豊富、かつイラスト付きで分かりやすい!
コメントの受付は終了しました。