
- 山ちゃんのボディパ!
- 特別支援教育
本日の動画
コミュニケーション能力がアップするアドリブ演奏
「クラップ&ストンプ」
※YouTubeの動画にリンクしています。
いかがでしたか。かなり高度なことをやっている、と思われた方もいるかもしれません。本日ご紹介した動画は、高校3年生が行ったボディパーカッションです。なるほど、やっぱり高校生だからこれだけのことができたのでしょうか。そんなことはありません。魔法のパターンさえ知っていれば、幼児から大人まで、特別支援の必要な子どもも健常児でも、必ず誰にでもできるようになります。それでは早速ご紹介しましょう。
ボディパの基本はたった一つの魔法のパターン
まずは、本日ご紹介した曲「クラップ&ストンプ」(山田俊之 作曲)がどんな仕組みになっているか、見てみましょう。
次の4つのリズムをご覧下さい。たった2種類の音符だけを使った単なるリズム譜です。
これならできそうですね。この2小節単位の簡単なリズムを、手拍子と足踏みやジャンプを組み合わせて行っています。これさえ覚えてしまえば、あとは魔法のパターンでつなぐだけで、あっという間に完成です。
それでは、その魔法のパターンをご紹介しましょう。
アドリブを入れればオリジナル曲に大変身!
ここで注目して頂きたいのが「アドリブ」(即興)です。アドリブは、自分の意思を相手に伝達する力であり、コミュニケーション能力を高めることにつながります。
もう一度、本日の動画を、後半のアドリブに注目してご覧下さい。
アドリブは楽譜には表現できませんが、このように、アドリブを入れることで、とても楽しい自分たちのオリジナル演奏の曲ができあがることが分かります。この時、私が高校生の彼らに与えたテーマは「楽しく元気にカッコよく! そして、笑いを3回とること」でした。この演奏におけるアドリブは、各パートたった4小節だけでしたが、このわずかな時間に、お互い考え出し合い工夫して自分たちの自由なパフォーマンスを創り上げることで、生徒同士がコミュニケーション能力を高めることができました。
100の言葉より1つの動き
実は、連載第1回目の「音が聞こえなくても音楽は楽しめる?!」でご紹介した動画「手拍子の花束」も、全く同じ魔法のパターンでできています。つまり、本日の高校生の演奏と同じように、曲の後半では、聴覚障害の子どもたちが自分たちの考えたアドリブ(パフォーマンス)を入れて演奏をしています。
例えば「体を180度回転し、手のひらを大きく指先まで広げ、顔を上げて、胸を張り、肘を伸ばし、ジャンプするような姿勢で、声を大きく出そう」と言葉で伝えてみて下さい。伝わりますか? それよりも、そのポーズを実際に相手にして見せた方が、一瞬にして確実に伝わります。さらには、顔の表情で笑顔いっぱいにしてあげることで、楽しく表現するんだということも伝わります。
アドリブをつくる時も同じです。難しい言葉はいりません。ノンバーバルな身体表現で、「ここはこうしよう」と身振り手振りで相手に自分の意思を伝達すればよいのです。特に自閉症の子どもたちは、自分で分かっていても相手に言葉で伝えたり身体表現で伝えることが難しい場合があります。ただし、相手がゆったり身体表現をしたりすることに対する同調の意志や喜びは、体全身で伝えることができます。
必ず思いが伝わる!アドリブは身体表現の共通語
もう一度、連載第1回の動画と、本日の動画を見比べてください。それぞれの思いが伝わると思います。本連載では、特別支援の子どもたちが楽しく取り組める演奏教材を紹介していますが、その根底には、特別支援教育のテーマである「様々な特徴を持った子どもから大人まで、共生できる社会を創り上げたい」という願いがあります。
アドリブは、つくる時も、それを人前で演奏する時も、それぞれの思いをのせてノンバーバルのコミュニケーションができる身体表現の共通語です。さあ、みなさんも、障害の有無や発達段階の能力差を考慮して、ぜひアドリブをつくり上げる楽しさを味わってみましょう!
※本日の動画でパフォーマンスをしているのは、久留米大学附設高等学校の高校生です。この高校は、高校クイズ選手権や、TV番組「行列のできる法律相談所」で弁護士をしている本村健太郎さんの出身高校ということでよく知られています。私はこの高校で約10年前から、毎年春に行われる文化祭で恒例の、リズムパフォーマンスや和太鼓の指導をしています。
