- 支援のあるクラスづくり
- 特別支援教育
けんた先生が相談にいらしゃいました。
今回が最終回になりますが、けんた先生はじめ、このお原稿をお読みくださっている先生方の悩みはつきないのではないか、と感じています。ご指導に真剣になられればなられるほど、クラスにいるさまざまな子どもにどう対応していったらよいか、保護者や専門機関とはどう連携していったらよいか…などなど。
こうすれば必ずうまくいく!といった魔法の杖のようなものはありませんが、悩み頑張られる先生方のその前向きな姿勢とクラスの一人一人を大切にする心がうまく支援につながることを願っています。
さて…けんた先生、どうぞ。
けんた先生
新しいクラスとなり、4月から何度も苦情を言ってくる保護者や相談をしてくる保護者など、様々な保護者への対応に苦労しています。近々家庭訪問があり、少し緊張しているところです。担任としての心構えを教えてください。
裕子先生からのアドバイス
子どもたちへの対応は得意なものの、保護者への対応となると、「ちょっと」と身構えてしまう先生方も多いのではないでしょうか。
子どもと保護者はしっかりとつながっています。苦手と言って消極的にならず、子どものために必要!かつ大切な連携であると考え、積極的にかかわってください。
また、保護者会などの全体の会でのかかわり(連携の意義や仕方など)と個人面談や家庭訪問でのかかわりは異なります。どちらも大切な連携ですから、ポイントを押さえて、頑張ってください!
保護者会等のクラス全体への対応
学校全体の教育活動を伝える
年度の初めや学期のはじめには、学校や学年・学級の経営方針や指導方法を話しましょう。全職員が学校全体で組織的に教育活動を実施していることを伝えることで、保護者の方が安心して子どもを学校に託すことができようになります。
自分の思いを伝える
担任自身の子ども観や教育観を語ることも、保護者の「この先生なら任せることができる」という安心感につながります。
特に、どんな理由があってもいじめは絶対に許されないことや人に対して思いやりのある心で接する大切さを子どもたちには常に伝えていることを、保護者全員にもしっかり伝えましょう。そうすれば、クラスにいる障害のある子どもをもつ保護者も安心して子どもを送る出すことができ、保護者同士の関係にも不安をもたなくなります。
個々の保護者への対応
受け止める
保護者の思いを受け止めることから始めましょう。誠意をもって保護者の言葉に耳を傾けることが大切です。
苦情を訴える保護者、心配ごとが多く不安になっている保護者等々、様々な保護者がいますが、こうした保護者を困った人たちとは考えず、困っている人たちと考えてみましょう。そうすれば、拒否せず、困っている保護者に手を差し伸べよう、と方策を考えられるようになります。
「あの保護者はちょっと苦手だな」と思って接すると、相手も必ず同じ思いをもちます。子どもをよくするための、大切な連携だということを心に留めて頑張りましょう! 苦情を言ったり、注文をつけたりする行為の裏には、子どものことが心配だったり、子育てに不安を抱えていたりすることが多くあります。
共に悩む
保護者に適切なアドバイスができなくても、悩みを共有し、共に子どもの成長を願うことで、保護者との信頼関係が生まれます。
学校に呼び出される保護者は、「また、何か言われるのでは…」とそれだけでも身構えていらっしゃるかもしれません。
気の重い心でいる保護者の気持ちに希望を与えるのは、「一緒に○○ちゃんのためにがんばってみましょう。」という担任の先生の言葉です。
けんた先生
今までは保護者の方に強く言われると、こちらが困ったと思っていましたが、実は保護者の方が困っていたのですね。これからは保護者の気持ちに寄りそうように努力したいと思います。
保護者の信頼を勝ち取るポイント
- 学校は全職員が一つになって、教育活動を実施していることを伝えることで、保護者の信頼を得ることができます。
- 保護者の悩みを共有し、共に子どもの成長を願うことで、保護者との信頼関係を築きましょう。