著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「やりやすいところから、やりやすいように」できるエンカウンターで学級づくり
宮城県仙台市立沖野東小学校教諭八巻 寛治
2012/5/17 掲載

八巻 寛治やまき かんじ

宮城県仙台市立沖野東小学校教諭。仙台市嘱託社会教育主事指導者養成部副部長、仙台市小学校研究会特別活動部会幹事、宮城県教育カウンセラー協会副代表。上級教育カウンセラー、学級経営スーパーバイザー(Q−U等)。
【著書】『小学校若手教師のエンカウンター入門実践テキスト』、やまかん流カウンセリング技法活用シリーズ1巻『学級保護者会・懇談会の演出スキル』、2巻『社会的スキルを育てるミニエクササイズ基礎基本30』『新教育課程対応 エンカウンターで学級活動12ヶ月』シリーズ(すべて明治図書刊)ほか多数。

―本シリーズは、好評をいただいている平成18年刊行の『エンカウンターで学級づくり12か月』のフレッシュ版となりますが、本書のねらいについて教えて下さい。

本書のねらい
 この本を出すにあたり,次の2つのねらいをもちました。

@1年間を見通した小学校の学級づくりで活用できるワークシート付きのエクササイズを示したい(各学年部月ごとに学級活動、朝の会帰りの会、保護者会、教科・領域各1事例ずつ、月4事例、の44事例)。
Aそれぞれの学年の発達段階を考慮して、時期にあったものを紹介(実際に実施したもの)し、各学級担任が手軽に学級づくりに活用できるようにしたい。

 今回掲載した44のエクササイズの多くは、筆者・編者・担当者が実際に実施したものを再構成し、手軽に取り組めるように厳選したものです。追体験するような気持ちでやっていただきたいと思います。

フレッシュ版ですが…
 エンカウンターが学級づくりにとって有効な手段であることは、広く認識されています。お陰様で、平成18年に刊行された『エンカウンターで学級づくり12か月』は、多くの読者に広く愛読されています。
 今回は、その後研究開発され新たに蓄積された1年を見通した有効なエクササイズを、発達段階や指導の場を考慮して紹介し、すぐに学級づくりに活用できる形で学級担任の先生方に提供したいと考えました。「フレッシュ版」の書名の通り「フレッシュ」な内容をシンプルにまとめています。18年版とは違った活用の仕方が工夫できます。

―本シリーズでは学級づくりに有効なエクササイズについて、発達段階を考慮して低学年・中学年・高学年とそれぞれ時期にあったものを紹介されていますが、発達段階・時期に応じたポイントとはどういったものでしょうか。教えて下さい。

本書低学年の魅力は?
 低学年版は、筆者(八巻)が『小一教育技術』(小学館)で12年間連載をしたものを再構成し、スタートカリキュラムに生かせるエクササイズを厳選しました。『心ほぐしの学級ミニゲーム集』『みんながなかよくなれる学級ゲーム』(いずれも筆者著・小学館)も参考にしました。1学期は不安と緊張を軽くするエクササイズを中心に、2学期は仲間を意識したエクササイズを中心に、3学期は課題やトラブル解決を中心に編集しています。
 低学年の特性である自己中心性から、徐々に相手の立場を認め、理解し、仲間との遊びや集団で活発に行動・活動しようと大きく変化する時期です。心のふれ合いを多くして、“自立”を意識した自分づくりができるエクササイズを意図的に多く選んでいます。

本書中学年の魅力は?
 中学年版は、上越教育大学の赤坂真二氏を中心に編集、分担執筆をしています。執筆者は赤坂氏の愛弟子の方々で、いわばチーム赤坂です。1学期は出会い系のエクササイズを中心に、2学期は課題解決系を中心に、3学期はふり返り系を中心に編集しています。
 中学年の特性である仲間との遊びや集団で活発に行動活動しようとする時期、独り立ち(自立)を意識した時期に対応できるエクササイズを意図的に多く選んでいます。多くの方が手にされることを心から願っています。

本書高学年の魅力は?
 高学年版は、新潟の小学校教諭星由希氏が、初任の頃から実際に実施したエクササイズを元に厳選し、使いやすく編集したものだけを紹介しています。
 星氏の学級づくりの柱である“安心感”と“自分たちの原動力で動く力”に向けて、月ごとにテーマを設けて提案しています。女性らしい優しさ、教育カウンセラーとしての感性の鋭さを感じるエクササイズです。
 高学年の特性である自主的、自律的な態度、相手の立場を考え、自己の行動をコントロールしながら相手との人間関係をつくることができる思春期を意識した時期に対応できるエクササイズを選定しています。

―本シリーズのエクササイズは、不登校や特別な支援を要する子の支援、学級崩壊などにも有効なものが多く含まれています。そのポイントを教えて下さい。

 不登校や特別な支援を要する子の支援、学級崩壊などは、ともするとスキルの面での力(ソーシャルスキル、コミュニケーションスキル、関わりのスキル等)の不足が課題になることがあります。その対応策として、スキル的なエクササイズを意図的に授業に取り入れて取り組むことがありますが、本来その子自身が課題にしていることなので、「抵抗」が起きやすくなります。
 そこで、スキルを高めるエクササイズをすると同時に、心のエネルギーを充足するようにして取り組ませることで、意欲的になり、多少の困難を感じても課題解決に向けて意欲を持続させることになり、有効だと言われています。
 特に今回は、手軽に取り組めることを想定して、学級活動、朝の会・帰りの会、保護者会、教科の時間の効果的な活用プランを提案しています。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 『エンカウンターで学級づくり12か月』シリーズは、各学年の発達課題と1年間の見通しをもつことで想定される課題に応じてプログラムを構成しています。
 今回のフレッシュ版も含めて「やりやすいところから、やりやすいように」を合言葉に、心のエネルギーを充足できるエンカウンターを感じていただけたらと思います。児童もですが、先生方ご自身もそのよさを実感していただければと思います。

(構成:及川)

コメントの一覧
4件あります。
    • 1
    • 買いました。
    • 2012/6/3 21:38:44
    エンカウンターシリーズは使いやすいので,たくさん持っています。この3冊も買わせていただき,活用しています。
    • 2
    • mana@四日市
    • 2013/2/8 12:09:44
    先日のセミナーではお世話になりました。優しい語り口,説得力のある話に吸い込まれてしまいました。もっともっと先生のお話をお聞きしたいです。本を読んでたくさん勉強したいと思います。また四日市に来て下さい。
    • 3
    • yume@tiba
    • 2013/2/17 13:03:37
    千葉のゆめです。この前のセミナーではお世話になりました。いろいろ学ばせてください。
    • 4
    • まさ
    • 2013/5/4 12:22:09
    香川のまさです。教育カウンセリング学会ではお世話になりました。やまかん先生が大阪に来ているとききました。ぜひ香川にも来てください。エンカウンター伝授していただきたいです。
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