- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
近年の学校、学級は、子どもたちの個性尊重の名の下に、それぞれの持つ「差異」を強調してきました。それは一見よいことのように思えます。しかし、実勢の社会は、多様な他者とその差異を踏まえつつ協力や折り合いをつけて生きていかねばなりません。結果的に「差異」の強調は、子どもたちが集団の中で行きづらくなってしまいました。チームにすると言うことは、単に集団がまとまるということではなく、互いの良さをみとめながら協力して生きるための知識と技術を学ぶ営みなのです。
執筆者たちが多様なチームビルディングを提案していますが、そこに共通することは、ビジョンの共有と役割の自覚と良好な関係性の構築です。小学校、中学校、高等学校の勢いのある実践家たちが、個性的でありながら実に提案性のあるアプローチを紹介しています。
チームビルディングと一言でいっても、やはり、子どもたちの発達段階によってその育成方法は異なります。執筆者には、それぞれの実践を端的に示してもらいました。読者は、本書の全てに目を通すことで、自分の今、育てている集団がその後どのような体験をしていくかを見通すことができるでしょう。つまり長期的な視野に立った指導ができるわけです。
もう、これははっきり言って、教師がどれくらい「腹をくくって任せることができる」か、です。どんな手立てを上手に講じても任せない限り、子どもたちは育ちません。試行錯誤している子どもたちを、少し遠くからあたたかく見守ります。「私たちは信頼されている」という思いが、集団の自治力を育てます。
先生ががんばって、先生が引っ張り上げ、先生が主役になる学級づくりと、もう、「さよなら」しませんか。子どもたちは任せたら、教師の想定を超えるような成長をします。子どもたちに任せるためにどんな手立てを講じたらいいか、それを示したのが本書です。目から鱗の実践群です。