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様々な公的機関は、「学級崩壊」に対する取り組みと、その減少を強調してアナウンスしています。ところが、現場教師の実感としては、むしろ「学級崩壊」は増えています。その上、崩壊のタイプやパターンも多様化しています。そうした背景に対して、多様なキャラクターや立場の教師が、「立て直し例」を提示することによって、現場のお役に立てると考え、本書を刊行しました。
まず、従来の処方箋を捨てることです。
例えば、以前であれば「立て直し」にむいたタイプの教師は、父性的な教師でした。強い指導力によって、「言うことを聞かせられる」教師が、「立て直す」際に適したキャラクターと考えられていました。ところが、そうした教師たちの「父性」だけでは、今日「立て直し」できない場合が多くなっています。「立て直し」に入っても十分成果を上げられないか、あるいは自分で学級を持っていても、むしろ崩壊させてしまう場合さえあるのです。
ですから、従来の処方箋を捨てて、子供を観察することと、新しい実践知を勉強することが必要になるのです。
まず第一に、子どもを「つなげる」工夫をすることです。従来であれば、放っておいても、子どもたちはある程度の深さで「つながっている」ものでした。
しかし、現在、子どもたちは表面的に良いつきあいのように見えても、意外と言いたいことが言えなかったり、コミュニケーションのストローク数が少なかったりもします。
そこに、意図的、計画的にアプローチする必要があります。
第一に、安心してその学級にいられるという環境を教師が整えてあげることだと考えます。
現場教師の実感として、現代の子供たちの精神性は、「不安定」そのものだと感じています。それを解消するために、学級内の規律を早期に確立すること。さらには個々の子供たち間の「コミュニケーション・ストローク」を増やして、互いの「背景」を共有することが大切だと考えます。
この場合の「背景」とは、個人の性質、能力、生活環境などを言います。それらを「さらけ」出しても、周囲の人が受容できているような関係を担保することが大切です。
教育現場の変化同様、子供たちも保護者も、大きく変化しています。従来の指導が効果を上げなくなっていると、言われて久しいです。進むべき道は、2つに1つです。
子どものことをよく知り、新しい実践知を常に手に入れ、教師という仕事の素晴らしさに胸を震わせるか。
それとも、従来型の指導を繰り返しては、その「上手くいかなさ」を他人のせいにして、ため息をついて生きていくのか。
あなたは、どちらを選びますか。