著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
中学校数学の最難関・図形の証明の指導を極めよう!
熊本市立北部中学校教諭楳木 敏之
2014/7/22 掲載
 今回は楳木敏之先生に、新刊『中学校数学科 図形の証明指導を極める』について伺いました。

楳木 敏之うめき としゆき

1968年、宮崎県生まれ。
熊本大学教育学部中学校教員養成課程数学科卒業後、兵庫教育大学大学院修士課程修了。熊本県内の公立中学校教諭、熊本市教育委員会指導主事を経て、現在、熊本市立北部中学校に勤務。熊本市数学教育研究会研究部長、学校心理士、臨床心理士、キャリアカウンセラーとして活動中。
著書に『中学校数学科 思考力・表現力を伸ばすノート指導の工夫52』

―本書では、図形の証明指導にかかわる22の問題点があげられ、それぞれについて具体的な対応策が紹介されています。この中で、準備期・導入期において特に重要なのはどのようなことでしょうか。

 証明の準備期・導入期において、生徒が主体的に学習に取り組むことができるかどうかが、その後の学習につながる最も重要なことだと考えています。
 そのためには、生徒の興味・関心を高めることや、生徒に証明の必要性を理解させること、すべての生徒が参加できる活動をつくることなどが必要になります。また、生徒一人ひとりのつまずきを生かしながら授業を展開することや、図形の学習が苦手な生徒への具体的な手だてを準備しておくことなども必要になると思います。

―本書の第3章では、図形の論証力を伸ばすための指導方法がたくさん紹介されています。その中でおすすめの方法を紹介してください。

 図形の論証力を伸ばすためには、証明をつくること(書くこと)だけでなく、証明を振り返ること(読むこと)も大切です。証明を振り返ることでそのしくみをとらえ直すことができ、証明の進め方の全体的な把握もできるようになるからです。
 そこで、友だちが利用した図を見て証明方法を予想したり、1つの証明を複数の生徒に説明したり、既習事項を基に考えるよさを感じ取ったりすること等を通して、生徒が自分の証明をよりよいものに修正していく活動が、特に有効だと思います。

―本書の中では、生徒の個人差に対応できない、一部の生徒の表現力しか高まらない、など授業づくりにかかわる問題点にも触れられています。図形の証明の授業では、特にどのような点に気を付ける必要があるのでしょうか。

 図形の証明の学習を始めたばかりのころは、証明を書くことに自信をもてない生徒がたくさんいます。また、実際に証明を書かせてみると、生徒の個人差も大きいものです。
 このような時期は、生徒が細かな点ばかりに気を取られて、証明全体の流れを見失うことがないように指導・支援することが必要です。また、数学が得意な一部の生徒の発言のみで授業が進んでいかないようにすることも大切です。さらに、すべての生徒が理解しやすくなるように、条件に合う図をかく活動や、図形の性質を見つけるために具体物を操作する活動、根拠を明らかにして口頭で説明する活動等を計画的に取り入れていくことも必要になると思います。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 本書は、授業者の視点から図形の証明指導における問題点とその対応策について考え、具体的な指導事例をあげながら、指導の工夫及び授業づくりについてまとめてみました。
 特に、生徒がつまずきやすいところに焦点を当てながら、実際に授業で使用したワークシートや生徒のノート等を提示して具体的な指導及びその考え方について紹介しています。
 日々の数学の授業に、本書を少しでも活用していただけたら幸いです。

(構成:矢口)
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • 松浦
    • 2014/7/23 21:56:56
    図形指導の問題点とその対応策が整理されて、とても参考になりました。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2014/7/23 22:06:23
    HPにて立ち読みさせていただきました。
    ぜひ書店に並んだ折りには購入したいと思います。
    数学教育の誌上で 毎回分かりやすい指導の手引き、大いに参考にさせていただいてます
    • 3
    • 名無しさん
    • 2014/7/29 10:12:08
    図形指導の難しさ、日頃から痛感していました。先生の実践、対応策、ぜひ参考にさせていただきます。
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