黒板を背に、まずは板書案を構想することです。新採用のころは、紙の上で授業案をつくり、板書案はその「確かめ」のようなものでしたが、これでは子どもが中心のいきいきした授業づくりができません。黒板で学級の子どもを想定しながら「こんな考えが出るかな」「資料はこっちの方がいいかな」と修正や改善を重ねながら板書をつくり上げていきます。
また、「問題の設定」「問題の追究」「まとめ」の位置を、子どもと共有しておくことも授業展開がわかりやすい板書づくりのコツの1つです。
「まとめ」をしっかりと板書することです。本書では、問題の真下に「まとめ」をしている実践例が多いのですが、それには、視覚的に近い位置にすることで、本時の問題解決の結果をしっかりと理解させる意図があります。
また、漢字表記用語は正確に漢字で書くことや、重要語句の一部を隠したり消したりすることも、板書を活用して力をつける指導法の1つです。
教材研究が一番のカギになります。子どもから「はてな?」が出る教材をつくり出せれば、板書に子どもの見方や考え方が位置付けられ、子どもとともにつくり上げるものになります。逆に「はてな?」を見いだせない授業では、板書に子どもが活躍する場を保障することができません。いわゆる受け身の授業に陥ります。
また、板書に子どもが参加することは、子ども自らが考え、主体的に判断する力を育て、一人ひとりの問題解決力を高めることにつながります。
3,4年の板書モデルは、京都市を中心に地域素材を教材化しました。教材化の視点が何かを読み取っていただければ、全国各地で実践が可能です。5年の産業学習では、教科書をできるだけ活用し「問い」を見いだす板書づくりに努めました。6年の歴史学習は、人物や歴史事象に関する「ネタ」にこだわり、「はてな?」が追究されていく板書づくりをしています。本書をきっかけに、目の前の子どもを大切にした「楽しくわかる、力がつく授業」が展開されることを願っています。
「『わかった!』をより明確に感じさせるための板書」
がとても魅力的だと思います。
社会科の授業をこれから勉強したいと思い、本書を手に取らせてもらいました。
イラストの板書案だと、実際に書いたときに上手く収まらなかったり、全体のバランスがつかみにくかったりするのですが、本書は実践ごとに実際の板書写真が載っているので具体的に授業をイメージすることができ大変役立ちました。
また、具体的な発問、授業の流れのポイント、授業を行う上での一工夫が書かれており「自分でもやってみたい!」と思える要素が詰まっています。
これから社会科を勉強するという方や、授業に一工夫がほしいという方にも是非ともおすすめしたいです。社会科と子どもを結びつけると同時に、社会科と教師を結びつける1冊だと思います。
また、何よりも、筆者のユーモア力、笑顔、あたたかい子どもへのまなざしが大変魅力的です。板書に加えて、筆者のもつ空気感を味わってほしいものです。私は、この本では伝えきれないものを日々学ばせていただいています。