著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもが自主的に動き、恊働し伸びていくためには?
大阪府大阪市立千本小学校教諭金大竜
2016/1/20 掲載
 今回は金大竜先生に、新刊『ハッピー教育入門 主体性&協働力を伸ばす秘訣』について伺いました。

金大竜きむてりょん

1980年生まれ。日本一ハッピーな学校をつくることを夢見る、教師歴13年目の大阪市小学校教員。周囲からは“ハッピー先生”と呼ばれている。教育サークル「教育会」代表。「明日の教室」をはじめ、各地のセミナーで講師をつとめる。また、「あいさつ自動販売機」など、学級づくりにかかわる取り組みが、様々なメディアに取り上げられている。
ブログ、「日本一ハッピーな学校をつくろう」において、日々のクラスでの出来事や取組を発信中。著書に、『日本一ハッピーなクラスのつくり方』『金大竜―エピソードで語る教師力の極意』『ハッピー先生のとっておき授業レシピ』(明治図書)などがある。

―本書は「THE教師力ハンドブック」シリーズの1冊として、「ハッピー先生」として有名な金先生の教室づくり、こどもとの関係づくりについて「ハッピー教育入門」としておまとめいただいています。まず本書の特徴について教えて下さい。

 子どもと教師、子どもと子どもが繋がっていくにはどうするといいのか。教師のあり方、子どもの捉え方、実際の手立てを実際のエピソードも交えながら書いています。教師の世界観、子ども観が広がれば、見えていなかったことが見えるようになるだけでなく、今見えていることでさえ違う風に見えてきます。読者の皆さんの様々な「観」が広がっていく一冊だと思います。

―金先生の学級を参観された方は、一様に子どもの知的さ・伸びやかさと学級の雰囲気に驚かされていますが、金先生が学級づくりにおいて、基本の「キ」として大切にされていることを教えて下さい。

 「子どものことはわからない」ということを分かった上で子どもをとにかくよく見るということです。見るといっても、自分の中に観点がなければ、「見えども見えず」の状態になってしまいます。どんな取り組み、手立ても目の前の子どもに合わせたものでなければ効果は薄かったり、逆効果になったりします。本書から「そんな捉え方もあるんだ!」と感じてもらえればと思います。

―次期学習指導要領のキーワードとして、「アクティブ・ラーニング」が挙げられています。「子どもの主体的な学び」が条件として出されていますが、子どもの主体性を磨く(伸ばす)ために、先生が日常のご指導で取り組まれていること、言葉がけなどで意識されていることがあれば教えて下さい。

 子ども自身がいろんなことを「他人ごと」ではなく「自分ごと」として考えられるようにしたいと思っています。どの活動でも「話し合い→実践→振り返り」ということを繰り返しています。そうした活動を通して、じっくり価値観の共有、再構成をしていっています。僕からは「try & error」「ルールとゴールを設定し直す」「期待を少し上回る」「先をとる」など、子どもが主体的に動けるように、様々なキーワードを使って話すようにしています。

―本書の中には、先生が出されている学級通信も数多く紹介されています。金先生は学級づくりの中で、学級通信をどのように活用されていますか?その効果についても教えて下さい。

 僕が通信を出す目的は、価値観の共有をすることが一番の目的です。実際に本書を読んでいただいたらと思いますが、前日にあった出来事やその時に話し合った時のこと、子どもの日記が書かれています。前日話した大切なことを次の日もみんなで確認しながら、繰り返し考えることで、「頭の理解」から「実際にできる」ことを目指しています。

―本書の第3章では、「子どもと子どもがつながる」として、子ども同士の関係づくりについて述べられています。「協働」に不可欠なものと言えますが、この関係づくりにおいて大切なことは何でしょうか?

 環境設定と回数の保証だと思っています。環境設定で心がけたいことはたくさんありますが、一番の環境は教師のあり方だと思います。また、協働ができるようになるには協働での成功体験を何度も積むことが大事だと思っています。その時に、教師が何を見て、子どものどんな行動にどんな価値付けをするのかはとても大切です。また、どんな風に協働させるのか、その手法もたくさん知っているといいと思います。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願い致します

 この本を通して、読者の皆さんの世界観が少しでも広がっていくといいなと思っています。一つの事実・事象も、自分の見方、考え方によって「幸せ」とも「不幸」ともとれるようになります。ぜひ、読んでいただき、明日から少しでもプラスに子どもの姿をとらえ、一人でも多くの人がハッピーになれるように願っています。

(構成:及川)

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