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どんな言葉で言おうとも、「学習者の主体的な取り組み」、「学びの質と量と一貫性」ということの本質的な大切さに変わりはありません。これは古い学力観とは決定的に違うものです。おそらく先生方はもうそういったことは見抜いていらっしゃるのではないでしょうか。ただし、日々の授業でいかに実現していくかという方法は大きな課題です。
そこで、本書は、「コンパクトに書く」という活動からの学びの展開を提案します。実践編では、それぞれの執筆者が小中にわたる教科書教材に合わせ、アクティブな指導を提案しています。
いいえ、違います。「書く活動」を確かにアウトプットとして位置付けてはいますが、「コンパクトに書く」ことは、読むこと、話すこと・聞くこと、の学習にも深く関連しています。単元の指導計画もあり、国語科の明日の授業に役立ちます。さらに国語科以外の学習や学級活動などについての章もあります。
単に短く書くということではありません。小さくても、まとまった内容を、目的意識をもって書くということです。コンパクトですから、苦手な子も達成感をもって取り組むことができます。モデルもわかりやすく提示できます。つける力の焦点化もできます。もちろん、単元の指導計画にも容易に位置付けられ、一つの単元で何度も書くことができます。交流もしやすいです。
コンパクトに書くという活動は実はすごいのです。本書の第1章で位置づけや効果などについてまとめています。第2章以下の実践編にはそれぞれの単元の指導計画や留意点、作品例などがあります。ぜひご覧ください。
そうです。言うまでもなく、「書く」学習は、いわゆる原稿用紙に「作文として」書くこと、に限定されるべきではありません。「はがき」のような小さな紙の中にまとめて書くことも一つの重要な取組です。短くてもいいという手軽な点と、逆に、短くまとめないといけないという難しい点とがあります。また、「新聞」として相手意識を持って書き、見出しやデザインを工夫するわけですが、このことは、学びをより主体的なものにします。
「はがき新聞」については検索をして頂ければいいのですが、例えば、理想教育財団HPなどが参考になります。本書では、「はがき新聞」を具体的な単元の中で活かすことを提案していますが、もちろん「はがき新聞」以外のコンパクトテキストも取り上げています。
新しい学力観などをグローバルな観点からみていくと、日本の国語教育では、「考えて書く」というアウトプットへの配慮がまだ小さすぎると思います。未来の子供たちのため、日々の実践はもちろん、研究授業などの提案でも、ぜひ本書を活用して頂きたいと思います。
アクティブ・ラーニングと言いますが、先生方が指導法の研究開発においてアクティブであることも重要です。その点で、先生方から、さまざまなご提案やご教示も頂きたいです。コンパクトに書くという活動を中核にすえて、さらに実践研究の協働・交流を進められればと願っています。