発達障害のある子の中には、自分の「できにくさ」のために、
教室での学習につまずき、教室を飛び出してしまう子、教室で暴れ出してしまう子、ときには、テストをびりびりに破いてしまう子がいます。
しかし、その子たちと一緒に歩む中で、子どもたちそれぞれの「できにくさ」に合った学びを支えていくことで、行動が変わり、成長が期待できることを教わりました。
発達障害のある子の成長のためには、3つの柱を育てていくことが大切だと感じています。
- 課題遂行の力(衝動性のコントロール、プランニング、ワーキングメモリー)
- 学び・考える力(聞く力、書く力、読む力、思考する力)
- 自我の成長(コミュニケーション、自己モニター、心の理論、感情と行動の調整)
それぞれの柱に沿って、150の学習課題と学習術(コツ)を掲載しました。
発達障害のある子たちは、「できにくさ」のために、「やりたくてもできない」状態に苦しんでいます。
その状態を変えていくためには、まずは、子どもたちの活動を生み出していく「サポート術」が大切です。
サポートによって、自分1人ではできなかった活動ができるようになってきます。
その上で、成長につながるような「学び」をしていくことが大切です。
上手に学んでいくスキルが「学び術」です。
発達障害のある子は、サポートによって、歩き始め学びによって、未来を切り拓いていきます。サポートと学びの両輪で、子どもたちは成長していきます。
前著『発達障害のある子の「育ちの力」を引き出す150のサポート術』では、150のサポート術についてまとめました。
本書では、150の学び術についてまとめました。
その子の「できにくさ」を乗り越えていくサポートと学びのコツや術をわかっていると、子どもたちの成長を支援できると考えます。
発達障害のある子の学びについては、
◇何を(課題内容)
→どんな課題を学んでいくと、子どもたちの「育ち力」が伸びていくのか?
○何のために(活動の意味
→それぞれの学びは、「育ちの力」パワーアップのために、どんな意味があるのか?
□どのように(学び方のコツ)
→「できにくさ」を抱えている子の学びでは、どんな工夫をすればいいのか?
を考えていくことが大切です。
その上で、
- 育ちの状態に合った適切な課題を設定する。 (ジャストステップ)
- 学習の意欲や動機を高める工夫をする。 (意欲、動機スイッチ)
- 子どもの困っていることに応えていく。
- 言語化や視覚化を切り替えながら、五感を使った学習をする。
- 学びの拠り所から少しずつレベルアップしていく。(スモールステップ)
- 時には、トラブルを学びへと変えていく。
- その子に合った「〜君ものさし」で認めていく。
- その子に合った学び方を見つけていく。
- 自分を乗り越えるわくわくを楽しめるようにする。
などが、大切になってきます。
○通常学級を担当している方には、
多くの学習課題について学び方のコツがまとめられていますので、日々の教室での学習方法のバリエーションを広げていくヒントになると思います。
○通級指導教室など個別の学習を担当している方には、
3歳から中学生までの主な学習課題が掲載されていますので、発達障害のある子の育ちを支える学習プログラムや教材を作る時のヒントになると思います。
○特別支援学級や学校を担当している方には、
3歳から中学生までの発達の節目とポイントの学習課題がまとめられていますので、日々の学習課題を考えていくヒントになると思います。
○保護者の方や発達障害の「育ち」を支援している方には、
発達障害のある子の育ちの見通しや、個別の学習を進めていく上で、個々の「つまずき」を乗り越えていくヒントになると思います。
多くの先生方のお役に立てたらと思います。
そんな時この本に出会えて、光が差し込んで来ました。4つのプロセスが大切であつこと。
@理解→Aサポート・活動→B学び→C自我の成長
そして本書の「学び術」・・・自分らしく充実して生きていくために必要な学習方法で子ども達の未来を拓くお手伝いができれば・・・そんな気持ちが強く湧き上がってきました。
前著の「サポート術」と「学び術」2冊セットをいつも手元において、特別支援教育の教科書のようにさせていただきたいと思っています。
本書のカットも可愛らしく、発達の段階表も分かりやすく見やすいので、これからの仕事に
参考にさせていただきたいと思っています。
素敵な本をありがとうございました。