著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
失敗を恐れず挑戦しよう!1人1台端末時代の授業づくり
京都教育大学附属桃山小学校教諭樋口 万太郎
2021/1/29 掲載
 今回は樋口万太郎先生に、新刊『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり』について伺いました。

樋口 万太郎ひぐち まんたろう

 1983年大阪府生まれ。大阪府公立小学校、大阪教育大学附属池田小学校を経て、2016年より京都教育大学附属桃山小学校教諭。「子どもが楽しむ・教師も楽しむ」「子どもに力がつくならなんでもいい!」をモットーに日々の算数授業を行っている。『「THE 教師力」シリーズ THE 算数・数学科授業開きネタ集』『ゼロから学べる小学校算数科授業づくり』(明治図書出版)『できる! 楽しい! アクティブ・ラーニング型算数授業』『算数授業で学級づくりーつながる学習でクラスが変わる!ー』(東洋館出版社)など執筆多数。

―2020年初頭から感染が拡大した新型コロナウイルスの影響による休校などによって、ICT活用やGIGAスクール構想への取り組みの意識が高まり、次年度までには、1人1台端末の支給が実現することとなりました。これから1人1台端末時代の授業づくりに取り組むにあたって、「はじめの一歩」となるのはどのようなことでしょうか?

 「とにかく先生も子どもも使ってみる」ということです。お互いに経験を積んでいくことで見えてくることがあります。
文を打つ、写真を撮るといった取り組みやすいことから取り組んでいくことをおすすめします。 

―「タブレットPC」の使い方について、心配する先生・保護者の方はとても多いようです。本書でも詳しく解説いただいていますが、タブレットPCを使用するときの約束・ルールづくりはどのように考えていけばよいでしょうか?

 相手のことを傷つけるような使い方は絶対にダメですが、それ以外は「子どもと一緒」に考えていくという心構えでいいと考えています。あまりにも多岐にわたるルールを決めた状態で渡すと、子どもたちは自分ごとのルールとして把握しないことでしょう。ルールを把握していないと、ルールを守れないといった結果になります。一緒にルールをつくっていくと自分ごとのルールになります。

―本書の第3章では、「見方・考え方を働かせる授業のためのタブレットPCの基本的操作」について、おまとめいただいています。先生は本書の中で「0から授業づくりを変える必要はありません」と繰り返し述べられていますが、タブレットPCを活用しながら、見方・考え方を働かせる授業にするためには、どのようなことが大切でしょうか?

 「教材研究」「子どもの見取り」…といったことは、これからも必要不可欠なことです。だから、「0から授業づくりを変える必要はありません」ということを書きました。教材研究なくして、タブレットPCを活用しながら、見方・考え方を働かせる授業を行うことはできません。

―本書の中では、ICTを授業で活用し始めると、「授業の支援」「働き方」が変わること、その仕事術についてもご紹介いただいています。ICT活用によって、仕事の仕方はどのように変わるでしょうか。また、それによる利点について教えて下さい。

 本書でも紹介していますが、教材の準備時間が大幅に減ります。パソコンで教材やワークシートなどを作成される方が多いと思います。これまでは、作成したものをプリントアウトし、印刷機にかけていました。それが、ICT活用することで、作成したデータをそのまま学習支援アプリにいれることができます。これで「時間短縮」ができます。また、タブレットPCに教科書のデータをいれておけば、タブレットPC1台で「どこでも」授業づくりを行うことができます。私は通勤の電車の中で、タブレットPCを出し、授業づくりをおこなったり、ちょっとした隙間時間でも取り組むことができます。これがタブレットPCではなく、紙媒体だと…。電車の中だと、「あの人先生かな〜」とみられることでしょう。また、邪魔になるかもしれません。

―最後に読者の先生方へ、メッセージをお願い致します。

 ICTを授業に導入したとき、正直にいえば失敗の連続でした。失敗をするたびに「どこを失敗したのか」「どこを改善したらいいのか」と日々考えたものです。
この失敗の連続は、苦しみもありましたが、それ以上に「楽しい」という思いもありました。子どもたちに、「失敗は成功のもと」「失敗を恐れるな」と言いませんか。子どもたちに言うのなら、私たちも失敗を恐れずに挑戦していきませんか!?

(構成:及川)

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