特別支援のツボ
完全実施から5年目の特別支援教育。毎月の学級で担任が注意すべきポイントをわかりやすくご紹介します。
【5月】「気になる子」の実態把握をしましょう
全国コーディネーター研究会事務局長黒川 君江
2011/4/22 掲載

 みなさん、お元気ですか?
 特別支援教育が完全実施されて5年目を迎えました。もはや当たり前の教育になりつつあるとはいえ、まだまだ研究し合う必要が多いのも事実です。
 このコーナーでは、月ごとの学級での特別支援教育で注意すべきポイントについてご紹介します。

 新年度を迎えて一か月。そろそろお疲れがたまっている頃かと思います。
 5月は、学級担任にとって教科指導が本格化し、クラスの様子も見えてくる時期です。教室の「気になる子」にも、目がいきます。「あれ?」「困ったぞ!!」この担任としての自分の気付きをそのままにしないことが大切です。

 意識的に「個」を見つめて、その子の課題に向き合いましょう。手を付けるのが遅くなるほど、解決が難しくなります。学習面で気になること、生活・友だち面で気になること、様々かと思いますが、ここは授業をしながらも、時間を割いて情報を集めてみます。

 「どの授業の、どんな課題の時」「誰との間で」「何につまずいて」…。

 その子に気持ちを集中させて、気になる点を簡単でもメモをしてみましょう。その記録(メモ)をもとに、校内のコーディネーターに相談します。コーディネーターは、前年度の引き継ぎや保護者とのやりとりなどの情報を持っている場合があります。また、学級だけでない専科や遊び時間の様子を校内から収集するお手伝いもする役目です。まずは、自分での実態把握、そして、学級を開いて、みんなの目と耳と知恵を早くにお借りしておくことです。
 Aさんは「○年○組のA」ではなく、「○小学校のA」と考えます。

 「気になる子」に限らず、この時期の丁寧な机間指導は一年間の学級経営を左右します。書くことが遅い子、分からなくて課題に取り組めない子は、表情を見ながら、早めにそばに行って指導します。そうすると、クラス全体が一緒に作業を終えることができます。一人一人の学習の仕方の特徴・状態も把握でき、その子自身の「安心・自信」にも繋がるだけでなく、全体の指導も円滑進みます。できること、ほめること、笑顔になれることを探す気持ちが大事です。そして、クラスみんなに、それぞれの子のよさを紹介していきましょう。

 そんな担任の態度がクラスみんなのソーシャルスキル・アップに繋がっていきます。特別支援教育は、決して『特別』なものではありません。「後追い」で注意するより、「先読み」で支援する方が効果的だというにすぎません。学級づくりの基本を充実させていくことだと思います。

 さあ、しっかり一人一人の目をみつめて、先生もほほえむことを忘れずにいてください。本当に忙しい、お疲れがでてきたこの時期だからこそです!!

黒川 君江くろかわ きみえ

全国コーディネーター研究会事務局長、元東京都文京区立小日向台町小学校通級指導学級主任。文部科学省研究開発学校研究主任(平成13年度〜15年度、特別支援教育)。主な著書に、『教室から伝えたい特別支援教育』(明治図書)、『特別支援教育 早わかり』(小学館)などがある。

(担当:木山)

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