- 特別支援のツボ
- 特別支援教育
2学期!! 行事予定を見るまでもなく、「さあ!」と、思わず気合の声が出てきませんか? 2学期は、運動会、学習発表会、音楽会、記録会…、学校規模の大きな行事が目白押しです。1年で最も大忙しの学期であり、教師も子どもたちも、なんとも慌ただしく、気持ちの落ち着かない時期ですね。
実は、この学期、特別支援の必要な子どもたちにとっては、とても大変な時期なのです。その苦しさ、むずかしさを知っていただけたらと思います。
なぜ、この2学期が、特別支援を必要としている子にとって「大変」なのでしょう?
支援の必要な子にとっては
- いつもの学級単位の学習から、より大きな集団(学年単位・学校単位)学習になります。「集団」学習が苦手なのに、さらに大きな集団での学習が要求されるわけです。
- 慣れた教室から、体育館や校庭での学習が増えます。広くて、刺激も多くなります。注意集中に課題のある子やこだわりのある子たちは、学習の困難さが増します。
- 「学年・学校での完成」ということで目標は高くなり、時間の制限もされています。気持ちや行動の切り替えの難しい子、自分のペースのある子は、調子を崩します。
- 状況や相手に合わせることがしばしば要求されます。
多くの新しい学習・場面に遭遇するわけですが、常よりももっている特性やできないことが目立ってしまいます。例えば、運動会のダンス、学芸会の演技など、相手に応じた動きやタイミングが取れなかったり、決められた位置や移動、動作・台詞を覚えるのが難しかったり、演技や予定の変更を受け止めることができなかったりします。 - 学習条件が変化している上、失敗・トラブルが重なり、気持ちも荒れてきてしまいます。
こんなことをいくつも抱えているのですが、それを受け止める周囲もいつもと違います。
担任は?
- 担任も、学年・学校の目標に沿った指導が求められます。練習時間にも制約されます。
- 個々の対応に気を配れなかったり、気持ちに余裕が持てなくなったりしがちです。
友達は?
- いつもは分かってくれる友達も自分のことに精一杯になります。
- 完成度や勝敗を気にすることも多くなっています。
補助者は?
- 日常から補助してくれる指導員、専科、養護教諭などは、支援しているのに、これまで以上に上手くいかない現実にぶつかります。
- 周りの目が気になったり、子どもがわがままに見えたりしてきます。
保護者は?
- 保護者も、大きな学校行事は、わが子が多くの目にさらされるようで緊張しています。
- トラブルの様子を聞くと、普段以上にプレッシャーに感じます。
このように、2学期は、特別支援の必要な子を取り巻く人々も余裕がなくなりがちで、子どもの行動に目がいって、気持ちへの配慮ができにくい状況になっていきます。
9月に入るとき、特別支援の必要な子にとっての2学期は、他の子どもたちの比でなく、たくさんのハードルがあることを、理解しておきましょう。担任だけでなく、学校全体で共通理解しておくことが大事だと思います。今回は、本人と周囲、それぞれの「陥りがちなこと」を客観的に整理してみました。まずは、理解。想定内にしておくことと思います。
この2学期を上手に過ごした子は自信をもちます。周囲も、乗り越える過程で、他の子ども達が成長し、大人達の協力関係が強くなっていきます。互いがゆとりを生むような工夫・対策を、ぜひお願いしますね!!(次回は乗り越える方向について、具体的に載せる予定です。ぜひ、お読みください。)