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- 特別支援のツボ
- 特別支援教育
行事の多い2学期が、特別な支援を必要としている子にとって、どんな困難があるのか、9月号で整理してみました。ご覧にならなかった方は、どうぞ読んでくださいね。
集団学習が苦手という特性をもつ子どもたちにとって、行事は、より大きな規模の集団学習です。学びづらさが増すばかりか、受け止める周囲(教師・友だち・保護者)も気持ちの余裕がもてなくなっています。ではどうしたらよいのかを、今回はご紹介します。
まずは、共通理解です。
特別な支援を必要としている子ども達にとって、大きな行事が目白押しの日々は、刺激が多く、気持ちや行動の切り替えが追いつきません。ですから、まず、『今までよりもずっと無理なことが要求されている』子ども自身の状況を理解しておく必要があります。
同時に、周りの人々の陥りがちな点も同様に思い描いておきます。これは、担任だけでなく、学校全体で確認することが大切です。校内研修などで、9月号を活用して理解を深める話し合いをしておくことをお勧めします。
その上で、成功体験に結びつける手立てと工夫です。
理解の上に立って、本人ができることはきちんとやりきれるように、手立てや補助を工夫していきます。
@安心して参加できる工夫
まず、いつもと違う環境での授業や、見通しがもてないことへの不安が強くなる時期です。安心して行事に参加できるよう、気持ちが落ち着くような工夫をします。
- 予定や変更を明確にして、行動の見通しがもてるようにする。
- 意識して授業のはじめにひと呼吸おく。
- 子どもがほっとできる時間や場所を確保する。
- 集中が必要な時間とそうでない時間のメリハリをつける。
A努力を認め、やる気を育てる工夫
目標を持って前向きな気持ちで行事に参加できることが大事です。
- 努力していることをよく観察し、すぐにほめて、前向きな気持ちにつなげる。
- 難しそうなときは、あらかじめの一言を添える。
「今すぐできなくても大丈夫、あとでも練習するよ」と言っておくことで、失敗してやる気をなくすのを防ぐ。
B苦手なことへの配慮の工夫
《運動面のつまずき》
- 課題に応じて、「安全」で、「みんなとの差が目立たず」、本人が「できること」を探す。
例えば、運動会の組体操では体重の乗らない端の位置、騎馬戦では戦いの正面でないは後ろ、台風の目では棒の真ん中など、位置や場所に対して配慮する。 - 学芸会などでも、前の子のまねができる後ろの位置、幕の横で補助できるところなどを実態に応じて手立てを講じる。
《認知・記憶のつまずき》
- 動きやセリフを覚えられない、相手に合わせたタイミングが取れないことがある。
- 学芸会では繰り返しの台詞を割り当て、前の子のまねをすれば台詞が言えるようにする、友達と二人で組になり、同じ出番、同じ動きをするなどの工夫がある。
- 行動のヒントをわかりやすく説明することでも、動きを覚える助けになる。
「太鼓が鳴ったら朝礼台の前に行くよ」、「赤いコーンの前に並ぶね」、「この線に来たらセリフを言うよ」など、具体的なタイミングや目印を伝えることも有効。
その子だけでなく、周囲の子を育てていく視点も大切です。
周りの子どもたちを育てる視点も重要です。「学年の1人ひとりが助け合って」、「学校全体で励ましあって」などの指導は、助け合いの気持ちや協力しあう集団を育みます。
「個々が違ってよい」「一緒に作り上げる」という価値観を、クラス・学校で一貫して指導していきましょう。どうしもて、完成度や目標に目が行くときです。教育の基本姿勢・価値観が「ぶれずにあること」が大事です。2学期をこの点を落とさずに指導しきった学級・学校の特別支援教育は前進し、個々の子供たちも大きく成長しています。
家庭での支援は必須です。信頼感をもってもらいます。
お互いが余裕のもてない時期ですが、こんな時だからこそ、安心感・信頼感を築くときです。「こんな工夫をしたいと思いますが、お知恵を貸してください」と声をかけましょう。保護者の協力を得ることで、家でどんなことができるか、本人や教師と相談しながら、家庭でできる練習や持ち物の点検が可能になると、大きな力です。学校での緊張を解きほぐし、子どもがリラックスできる場所となることも、家庭の重要な機能・役割です。そのために、保護者も学校も子どもの困難な状況を十分に共通理解しておく必要があります。
2学期、理解と工夫で、実りある特別支援を創りだしてください!!
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