- 学習つまずきサポート
- 特別支援教育
本コーナーでは、一生懸命頑張っているのになぜか学習がうまく進まない…そんな学びにくい子のつまずきの原因を探り、そのサポート法を解説していきます。
山田先生、私のクラスの子(2年生)について相談させてください!
学びのつまずき相談
漢字を書き順通りに書くことができません
2年生の男の子です。漢字の指導で困っています。書き順を何度も指導するのですが、全く書き順通りに書きません。下から書いたり反対側から書いたり、いつも違う書き方で書いています。どう指導したらよいですか。
書き順通り書けないんですね。普段から、いろいろな物をパッと見て反応していることがありませんか?例えば、他に「口」を丸く書いたりしませんか?
そういえば、いつもパッパッと動いたりしています。「口」、丸く書いているかもしれません。
山田先生の分析
書き順通り書けない原因を分析してみよう
原因はいくつか考えられますが、まずひとつ、学びに関する能力が関係している場合があります。
学びに関連する能力には、さまざまなものがありますが、その中に、「同時処理」「継次処理」という能力があります。
パッと全体を見て考えるのが「同時処理」。
順序立てて考えていくのが「継次処理」です。
書き順というのは、この「継次処理」的な学習なのですが、子どもの中には、この「同時処理」「継次処理」の能力に大きな偏りがあり、どちらが極端に苦手、という子どももいます。
書き順がなかなか覚えられない子どもは、この「継次処理」が弱く「同時処理」が強い子どもかもしれません。
他の原因として、多動衝動傾向が強い子どももパッと見て判断してしまうことが多いので、書き順を覚えにくいというのも考えれれます。
さらに、不器用な子どもの中には、「口」のような運筆で、うまくできずに丸く書いてしまう子どももいます。衝動傾向の強い子どもも丸く書いてしまうことがあります。
このように、書き順をきちんと書けない子どもは、どのタイプなんだろうと考えて見て下さい。
そういうことが原因なんですね。
学び支援のアイデア
書き順から教えることにこだわる必要はありません!
漢字を教える時に書き順から教える必要はありません。「同時処理」が強くパッと見て、漢字を覚えられる子どもは、その方法で覚えればいいのです。
書き順の指導をどのタイミングでするか、どんな方法でするかなど、いろいろな考え方や方法がありますが、次に少し紹介してみます。
- 「同時処理」が強い子どもには、パッと見て覚えてもらってから、覚えた漢字について、書き順を説明していく方法があります。書き順で覚えることは苦手ですが、覚えた漢字の書き順を、それはそれとして知識として覚えていくのです。
- 書き順には、そのように書けば、文字の形が整うという、意味あいもあります。この文字の形を整えると言うことを前面に出して指導していく方法として、習字を使って指導するやり方があります。毛筆は止めハネはらいがはっきりわかるので、はねた方向に次の書き順が待っているわけですから、きれいにはねたり払ったりするために書き順が必要と教えていきます。
なるほど。毛筆で指導する方法もありなんですね。
まず、覚えてしまうと後の課題に対する気分は楽ですよね。
学びづらさ、それ自体への支援
漢字の止めハネ筆順は気にしない
漢字の止めハネなど少しぐらい違っても、正しいと認識しましょう。
文化審議会国語分科会幹事小委員会が指針を出してきています。最新の漢字を指導について、情報を収集しておきましょう。
細かいところで×をする必要がないというように時代は変わってきています。