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- 学習つまずきサポート
- 特別支援教育
本コーナーでは、一生懸命頑張っているのになぜか学習がうまく進まない…そんな学びにくい子のつまずきの原因を探り、そのサポート法を解説していきます。
山田先生、私のクラスの子(1年生)について相談させてください!
学びのつまずき相談
算数のサクランボ計算が全然できないんです
1年生の女の子です。算数で繰り上がりのある足し算を教える時に,わかりやすくするために「サクランボ計算」を教えるのですが、これができません。計算は早いわけではありませんが、繰り上がりのある足し算もできています。それまでの計算もできています。けれど、わかりやすくなるように、とサクランボ計算を教えたところ、ここでつまずいてしまいます。サクランボ計算をしなければ、計算の答えは出せるのに、サクランボ計算ができないのです。なぜなんでしょうか。図に描いたり何度も教えますが、うまくできません。どう教えたらよいのでしょうか。
![挿絵](/db/eduzine/sld/ill/20150955_1.png)
計算はできるとのことですが、足し算は「数え足し」でしていませんか。4+3の問題なら、4本指をだして、そこに「5」「6」「7」と指を3回折りながら数えていませんか。
ハイ!そんな感じで計算しています。
山田先生の分析
誤りの原因を分析してみよう
計算はできるのに、サクランボ計算ができないという状態です。
まず、計算はどのような手法でしているかという分析が必要です。「数え足し」という手法を使っているのか、答えを暗記して答えを言っているのだと思われます。
この状態は、数概念が身についているかどうかという課題で、順序立てた数の理解に関わる「序数性」は身についているが、全体的な数の把握、量的な数の把握に関わる「基数性」の数概念が、身についていない状態だと考えられます。
おおよその数の理解が難しく「10は、8と2」「10は7と3」など、数を量的な概念で理解できていません。順番でしか数が処理できないのです。
この状態のままでいくと概数などの学習でもつまずきますし、わり算などでもつまずいてきます。サクランボ計算ができない状態で、量的な数概念を育てるトレーニングをしっかりしていく必要があります。
サクランボ計算だけの問題ではないのですね!
学び支援のアイデア
量的な数概念を育てるトレーニングをしよう
具体物を使って、例えば「おはじき」をパッと見て、いくつか当てる競争をする。また、適当に数を2つ固まりでつくり、パッと見て、どちらが多いか当てさせる。
10を2つに分けたら、いくつといくつになるかを考えたり、この状態で1つ移動させると片方が1増えて、もう片方が1減るということを具体物を使って理解したりなど、常に具体物を使ってイメージ化を補い、それを数として実際に表記することと結びつけていきます。
このようなトレーニングを家庭の協力を得ながら何度も何度も、長い期間をかけて、遊びの中で身につけていくようにします。遊びの中で身につけるということが大事です。おやつを平等になるように分けて行くなども有効な方法です。
なるほど。
毎日の数遊びのようなことが大切なので、家庭に協力してもらいながら毎日数遊びをしてもらうようにするのも、大事です。
学びづらさ、それ自体への支援
このタイプの子どもたちは、算数が苦手になっていきます
このタイプの子どもたちは、2つの数概念のうちの基数性の数概念、量的な弱さがあるのです。これからの算数の学習でも常に困難に直面しやすいと言えます。1年生の時に気がついたら、その時点で、さまざまな数の遊びなどを家庭と協力して、数概念を育てていくという目標を持っていくことが大事です。サクランボ計算はできないが、何とか計算はできるから、まあいいか、と思ってしまうことが、これからの算数の学習の理解に大きな影響をおよぼします。小さなつまずきの時にきちんと対策を立てていることが必要です。
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