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今回のねらい
英語を苦手としている生徒の多くは、英語を読めない、正しく綴れないことに苦労しています。そこまでどうにかできるようになっても、次に、日本語と英語の語順の違いにつまずいているのが現状です。この語順の違いは、中学生が英語を書くにあたって、かなりハードルを高くしていると思います。英単語をようやく覚えても、頭に浮かんだ日本語とは違った語順で文を構築しなければなりません。しかし、並べ替えの問題では、英語のチャンクごとに日本語を区切ることができれば、わりと容易に並べ替えができ、英文を作ることができます。
今回は、中学2年生の授業で、ワークシートとセンテンスカードを使い、語順を定着させる活動を紹介します。
教科書(NEW CROWN)の学習に使用したものです。本文を定着させるために、5つのステップで学習していきます。英文の基本は主語S(subject)+動詞V(verb)である、ということはほぼ毎時間触れていますが、それでも何が主語で何が動詞であるか理解するのはなかなか難しいようです。
日本語のかたまりと英語のかたまり、それぞれを対応させ、さらに文法というルールを用い、順序立てて、ブロックを組み立てるように英文を作っていくことで、英語で表現することに少しずつ抵抗がなくなればと願っています。
支援グッズ ワークシート&センテンスカード
- 概要
- 頭の中で考えていることをワークシートに視覚化し、整理しながら英文を定着させる。日本語と英語の語順の違いを意識しながら、英文を作る上での、基礎的な基盤作りをする。日本語と英語の語順の違いを意識しながら、間違いをおそれず、気軽にチャレンジすることで、語句のまとまりを身につける
- 目的
- 日本語と英語の語順の違いを意識しながら、英文を構築する
- 対象
- 中学校1年生〜
- 準備
- ワークシート、センテンスカード、音源
学習の流れ
1.英文のスキットを聞く
2.日本語で内容を確認する
(おおまかな内容を口頭で確認する。「何についての話題?」「宿題」「何の
宿題?」「歴史の」「どんな宿題?」というように)
3.ワークシートを使用。口語訳を英文にしやすい日本語に変換する
(主語と動詞を確認することが大事)
例 ・歴史の宿題って何だっけ?→歴史の宿題は何ですか?
・20世紀の重要な人物について読まなければならないわ。
→私たちは20世紀の重要な人物について読まなければ
なりません。
4.英語と同じ数のかたまりになるよう、スラッシュを入れてからセンテンスカー
ドを切る。ペアやグループで確認する(主語と動詞を確認しながら)
例 (the history homework / is / what / ?)
「かたまりはいくつ?」「3つ」
「日本語も3つのかたまりにしよう」
→歴史の宿題は / 何 / ですか?
(from the 20th century / have to / we /
about an important person / read / .)
→私たちは / 20世紀の / 重要な人物について /
読ま(む) / なければなりません。*仮にセンテンスカードを間違って切っても、あまり気にしないようにする。慣れることが
大事
5.切り取ったかたまりの裏に適する英語のかたまりを書き、正しい語順になるよ
う並べ、それをもとに英文を書く
(the history homework / is / what / ?)
「肯定文?疑問文?否定文?」「疑問文」
「普通の疑問文?それとも疑問詞あり?」
「疑問詞あり」「ではルールは?」「文頭」「そのあとは?」
「疑問文だからbe動詞が前」
→What is the history homework?(from the 20th century / have to / we /
about an important person / read / .)
「主語・動詞は?」「We・read」
「読ま(む) / なければなりません、だから?」
「have to」「have to のあとは?」「動詞の原形」
「何について読まなければならないの?」「重要な人物」
(「20世紀の人」とならないようかたまりを作るときに注意する)
→We have to read about an important person
from the 20th century.
指導のポイント
- 英文をスラッシュで区切るだけでなく、切る(ちぎってもOK)ことで、語句をかたまり(チャンク)として視覚的にとらえやすくなります。意図したところで切ってなくても、回数をこなすことで慣れてきます。主語や動詞、語句のかたまりを意識させます。
- 英文はただ暗記するだけではなく、ルールに従えば思ったよりも簡単に作れるということに気づかせ、ルール(文法)を定着させていきます。
- ルールブックのようなものがあると、生徒が文法を振り返りやすくなります。学習しながら増やしていく方法もあります。授業では「大野検定」として文法事項をまとめ、定期的に復習しています。
- 教科書の本文以外に様々な文で練習したり、自分で表現したい日本語→かたまりにする→英語にする→英語の語順にする、という手順で英作文の活動に発展させることができます。
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