5月。多少落ち着きが感じられるようになる5月は、子供たちの間に、お互いの存在を意識し始め、少しずつグループが出来るなど、仲良くなり始める時期です。反面、4月の出会いの頃の不安と緊張が取れ、互いに言いやすい雰囲気になる頃でもあり、馴れから来る相手を尊重しない言動も見られ始める時期でもあります。
ある程度互いのことが分かりかけてきた時期に、中・高学年の子供たちの生活場面で起こりやすい小さなトラブルとして「仲間はずれ」や「意地悪を言う側と言われる側との意識の違いや,気持ちの違い」があり、自分と相手との意識のずれや気持ちの違いが起こる時があります。
最近よく問題視されるいじめ問題は、互いの意識のずれからくるケースが多く、ロールプレイを活用して意識のずれに気付き、感情の修正を経て行動の修正につなげることは、トラブルを起こした当事者同士が納得しやすいというメリットがあります。
ロールプレイは、いじめの予防に限らず解決に向けてなど様々な場面で活用できます。最近の子どもたちは、人とかかわる経験が少ないために、具体的にどのように対応して良いかが分からない子が多いようです。そこで、シミュレーション的に体験したり、いざというときに役立つ場面を想定してコミュニケーション能力を高めたりするような「気づき」を元にしながら、相手のつらさや痛みを感じて、実感を伴っていじめを抑止するようにしたいものです。
仲間はずれ
1ねらい【中・高学年の学級活動】
休み時間にありがちないくつかの場面の中から「仲間はずれ」の場面を例にロールプレイし、『する側とされる側』との意識のずれに気づき、いじめをしない自分づくりの一助にする。
2活動T
問題の意識化
- 「最近気になること」のアンケートから、「いじわるを言う側と言われる側」の意識の違い(ずれ)があることに気づく。
※自分が言われて嫌なことには気づきやすく、言う側になるとあまり相手を意識していない場合が多いこと。言われると痛みや辛さを感じやすいことに触れる。
原因の追求・把握
- 《状況設定のシナリオ例》休み時間のドッジボールに混ぜてもらおうとして、混ぜてもらえた子と混ぜてもらえなかった子がいた。(展開はある程度演者に任せる)。
- 演じた後の感想を話し合う。
※仲間はずれにする側、される側、一緒にいた(はやし立てる等)人、ロールプレイの様子を見ていて等、それぞれの立場を意識させて振り返るように配慮する。
- 話し合いを元に、解決できる具体的なやりとり場面を想定してシナリオを作る。
3振り返りT 「解決方法の自己決定」
- ロールプレイを基に振り返り、仲間はずれにする側とされる側の意識のずれに気付かせることを確かめる。
- 仲間はずれを起こさないようにするためには、自分だったらどのように受け答えするかを自己決定する。
4 活動U 「決定に基づき努力をする」
問題の解決や対処の仕方
- シナリオを元に、解決場面をロールプレイする。
- 演じた後の感想を話し合う。
実践への意欲付け
- 全体でシェアリングをする。
- 振り返り(自己決定したこと)を元に、「自分もよく相手も良い解決の方法」を確認し、自分がそのような場面にあったら、どのように対応・対処するかをロールプレイして確かめる。
5 振り返りU
「トラブル解決」のためのポイントを元に、やった活動Uが活動Tとどのように違っていたか、話し合いで出た気づきや感想、実感したことを発表しあう。
※「やってはいけないからしない」のではなく、「相手の人が嫌な思いをするからしない。」と、相手の辛さを実感できるようにさせたい。
奈良教育大学の池島氏は、ロールプレイを使っていじめられる子どもの辛さ、悲しさを心から分かろうとする「共感性」を促進することが、いじめ克服の原動力になるとしています。私も「する側とされる側」の意識のずれをきっかけに、いじめをしない自分づくりと共に、自分もよく、相手もよい心地よい関係づくりの一つになればと思います。
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- yuyu
- 2014/1/4 15:50:03
こういう学習は必要ですよね。図書文化さんのいじめの本を見てアクセスしてみました。ぜひ先生の本を購入して勉強します。