著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「力をつける」「熱中する」社会科授業づくりの極意
岩手県奥州市立広瀬小学校副校長佐藤 正寿
2011/9/1 掲載
今回は佐藤正寿先生に、新刊『スペシャリスト直伝!社会科授業成功の極意』について伺いました。

佐藤 正寿さとう まさとし

 岩手県奥州市立広瀬小学校副校長。「地域と日本のよさを伝える授業」をメインテーマに教材開発に力を入れる。NHK教育テレビ『コマーシャル製作に挑戦!?つくってわかったメディアの仕組み?』で「宮古の自慢CMをつくろう」の授業を公開。管理職になった今も、社会科を中心に教材開発・授業づくりに取り組んでいる。著書に『これだけははずせない! 小学校社会科単元別「キー発問」アイディア』『プロ教師直伝!「教師力」パワーアップ講座―0からプロになる秘訣23箇条―』他がある。

―今回の書籍はプロと呼ばれる先生から極意を伝授する「スペシャリスト直伝!」シリーズの社会科編ということで、授業づくりの基礎テクニックから、発問・板書やノート指導、教材研究の方法から「子どもが熱中する“楽しい”授業づくりのポイント」まで、幅広くご紹介いただいています。まず、社会科の授業づくりの基礎基本として、先生が重要と思われることは何でしょうか。

 「発問・指示」「ノート指導」「板書」が、他教科での授業と同じように社会科の授業づくりの基本となります。ただし、どれにも「社会科だからこそ」という言葉が付きます。たとえば、見学学習でのノート指導はまさに「社会科だからこそのノート指導」です。また、「資料の読み取り」や「副読本・資料集の活用」は、社会科の授業づくりでは必須の内容です。これも重視しています。

―先生は本書の中で「子どもが熱中する授業づくり」について3つのパターンをあげられています。子どもの興味をひきつけるには色々な工夫が必要ですが、そのポイントはどういったものでしょうか。

 「熱中するモノ」と「熱中する活動」の引き出しを教師がどれくらい持っているかが大切です。実物の「モノ」が一番ですが、毎時間準備するのは難しいのです。しかし、今は「写真教材」等がインターネットで入手しやすくなりました。また、「歴史人物インタビュー」「教科書クイズ作り」といった活動は、何度行っても子どもたちは熱中します。「熱中する定番活動」の持ち駒が多いに越したことはありません。

―本書で紹介されている、「子どもの発言力・発表力を高めるコツ」について、社会科ならではの視点から詳しく教えて下さい。

 「根拠をもって発表させる」という点がポイントです。そのために発表の際に、具体的な指示を出します。「最初に結論を言います。その後に理由を言いなさい」「読み取った事実と自分の解釈を分けて発表しなさい」等の指示です。また、「情報ネットワーク」「貿易」といった社会科学習用語をきちんと使わせることも発表の質を高めるためには大切ですね。

―先生は本書の中で、「特別な支援が必要な子への対応」についてもまとめられています。本書で詳しく触れられていますが、そのポイントについて教えて下さい。

 「特別な支援が必要な子」が学習に集中できる環境や活動を作るのは教師の務めです。社会科では写真・図・グラフといった資料が授業で使われます。たとえば、それらを実物投影機で拡大投影することの効果は大きいです。パッと集中するだけではなく、理解度もアップします。そして、それは特別な支援が必要な子だけではなく、他の子にとっても効果があるのです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 私が歩んできた社会科教師の道は実に幸せなものでした。初任校時代から多くの先達から学ぶ場を得られただけではなく、自分が研究授業や研究発表する機会にも恵まれました。その中で自分なりの実践が少しずつ蓄積されました。この本は、そんな私が、こつこつと二十数年間社会科で学んだことを執筆したものです。
 多くの先輩方から社会科教育を学んできた私でしたが、いつしか後輩たちの方が身に回りには多くなりました。先達から学んだバトンをきちんと引き継ぎ、これからの世代の先生方に渡すことが今の使命だと思っています。この本はそのバトンのようなものです。多くの方々に手にとっていだだければ幸いです。

(構成:及川)

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