著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
授業参観は保護者の信頼を勝ち取る絶好のチャンス!
前・埼玉県行田市立埼玉小学校長廣瀬 仁郎
2011/9/16 掲載
  • 著者インタビュー
  • 指導方法・授業研究
今回は廣瀬仁郎先生に、新刊『保護者の信頼を勝ち取る授業参観づくり』について伺いました。

廣瀬 仁郎ひろせ じろう

昭和30年 東京都台東区浅草橋生まれ。昭和53年 埼玉大学教育学部卒業後、埼玉県越谷市立大沢小学校他3校、越谷市教育委員会主任指導主事、越谷市立鷺後小学校教頭を経て行田市立埼玉小学校校長。<著書等>『研究授業 小学校道徳 高学年』(明治図書 共著)他

―本書には、授業参観でそのまま活用できるたくさんのアイデアが掲載されています。授業参観を成功させる秘訣は何でしょうか。

 掲載された各事例に学びながらも、各事例に共通して流れる真髄を見取ってください。成功の秘訣は、保護者が来てよかった、また来たいという実感がもてるかどうかということにあります。それは、わが子をはじめ学級の子どもたちの目が輝き、力が発揮できる機会が与えられていることです。そして、楽しく温かい雰囲気に包まれ、人間関係の豊かさが感じられることです。教師が自分のことを保護者によく見てもらいたいという意識でなく、児童や保護者のために工夫を凝らし、汗をかいている誠意をみせることです。その中から様々なアイデアが自ずと醸し出されていくようになります。

―また、懇談会の事例も掲載されています。そのポイントを教えてください。

 担任からの一方的な連絡やお願いだけに終始しないようにしてください。保護者は子育てに不安や課題を抱えています。それが、臆さず吐露され、気取らずに、自由に考え方の交流ができることを求めています。そのことで心が通い合い、保護者相互の人間関係も深まっていくことでしょう。アンケートを取り、保護者の関心が高いテーマを設定したり、失敗したり、成功した事例に学び、家庭教育に役立つ実感をもってもらいたいものです。担任としても、テーマの解決に即した情報提供が提供できるよう用意しておきましょう。

―若い先生の中には、授業参観や懇談会に苦手意識のある方もいらっしゃるとお聞きしています。苦手意識克服のアドバイスをお願いします。

 自分より年齢が高く、人生経験も豊富な保護者を迎えるので、緊張することは当然です。しかし、過剰に意識する必要はありません。子どもをよりよくしていく共通の願いをもったパートナーとして接していくことが必要です。親身に子どもに接し、保護者に誠意をもって接することで十分対応できます。ましてや専門的な教職の課程を学んできたプロであるので、教育に関する識見は高いものがあります。是非自信をもって臨んでください。

―本書では、保護者参加型の授業も数多く紹介されています。なかなか積極的に参加していただけない保護者もいるのでは?と思うのですが、保護者を引き込むポイントや参加型授業の留意点を教えてください。

 優れた企画をもって臨んでも、保護者が引いてしまっていては机上のプランにすぎません。なかには遠慮してしまう消極的な方がいることも事実です。教師からの投げかけや誘いだけでなく、児童が参観している保護者のところまで迎えに行き、活動の場所に連れてくるといいでしょう。きっかけがもてれば、活動にのめりこみ、共に楽しんでいくこと請け合いです。中には保護者が都合で来られない児童もいます。親子べったりとならず、グループの中でわが子の級友という眼で共に交流してもらうように配慮したいものです。

―最後に、「授業参観や懇談会に意欲的に取り組みたい!」という先生方にメッセージをお願いします。

 授業参観や懇談会の充実は保護者の信頼を勝ち取る最大の機会と場になります。保護者はここに何を求めて来るのか、どうしたら、また足を運びたいという思いをもってくれるのか、保護者の立場に立ち、そのニーズに応える魅力的なプランを立てていく必要があります。この本にはそのヒントやコツが満載されています。その成功は評判となって保護者に広がり、根付いていくことになるはずです。教師としての力量も授業参観や懇談会を通してより高めていけます。自己研修、自己啓発の場としても大事にしていきましょう。

(構成:茅野)

 

コメントの受付は終了しました。