
- 著者インタビュー
- 国語
一番大事なことは「教師の都合」(何を書かせたいか)を一端棚上げにして、「どういう材題なら中学生が興味・関心をもつか」を考えることだと思います。
これは、教材づくりの「下からの道」という考え方です。
例えば、わたしは6年前から仙台の大学に勤務するようになりましたが、よく学生に書いてもらっていたのは「仙台の美味い店」という題材です。学生に味覚表現・店舗情報を書くことを求めました。東北地方・北海道など、あちこちから集まってくる学生に、このネタならヒットすると思ったからです。そして、ヒットしました。
活動…ワークショップ型授業を前提にしています。
特徴は次の4点です。
①文章作成体験を通して学ばせる。
②教師は枠作りと助言で指導する。
③短い時間でイッキに作文を書く。
④課題の条件設定でサポートする。
交流…協同学習の手法を積極的に活用しています。
単なるグループ学習とは異なる「協同」のためのフォーメーションを決めることで、学習の精度がぐっと上がります。
評価…各ワークシートに助言のための指針を示しています。
その作文が「よく書けた」「書けた」「あまり書けない」の3つぐらいにザックリと分類して、それぞれにどういう助言・サポートができるかと言うヒントを示しています。
利点は、ワークシートの枠組みに従えば、誰でも書ける(圧倒的に書きやすくなる)と言うことです。これは、教育学的には「足場かけ」と言います。
ワークシートによって、書き出しや書く長さ(規模)などが指定されます。そうしたちょっとしたサポートによって、生徒たちは圧倒的に書きやすくなります。
生徒たちの思考エネルギーが、「書き方」ではなく「内容」に向けられることで、負担が少なく、ひとまとまりの文を書くことができます。
効果は、教師の説明からだけでなく、同級生の書いた作文の表現やグループワークでの発言からも「書くこと」について学べるということです。
50分の授業の中で、教師が説明できることはたかがしれています。
それに比べて、自分の書いたものを元に、友達とワイワイおしゃべりをしながら学ぶことができれば、その情報量は半端なく大きくなります。また、教師が指摘するよりも、細かな点に触れたコメントをもらうこともできます。
ちなみに、おしゃべりは不十分なところを指摘し合うより、「よい点」を褒め合うことが効果的だろうと思います。良さを指摘してもらった方がやる気になるからです。
作文指導をする上での最大の配慮事項は、「安心して発表のできる教室空間をつくりあげること」です。
まずは教師自身が、生徒の発表する作品に対して、できる限りのフォローをすること。そのためには、作品の「うまさ・高さ」ではなくて、「あるある!」という共感をベースに、その人らしい表現を愛でることが大切です。
その態度を生徒たちにも広げていくように話すことができれば、教室内にたくさんの作文好きが生まれます。