- 著者インタビュー
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準備には時間がかかります。自転車操業的に準備→授業とやっていてはしんどいだけです。私は、その後の時間が短縮されるような準備を心掛けています。たとえば、理科室がいつも使用でき、時間割もうまく組まれていれば、一度の準備で連続して数クラスで同じ実験をすることができるでしょう。私はそこから「準備」しています。つまり、理科室がいつも使えるように整備することや、時間割の作成にかかわることなども大切な準備だと思います。
こだわるのではなく、理科室でやるのが効果的だからです。理科室には、実験器具だけでなく、提示装置をはじめその他の必要なものがすべてそろっています。正確には「そろえた」ですが、普通教室と違って理科室は、理科教員だけが注意すれば常にきれいで学習しやすい環境を維持できます。私にとって理科室は「特別教室」ではなく、「理科を学習するふつうの教室」です。生徒にも学年最初の一週間ほどでその意識を浸透させます。
まず、工作力を高めることです。そのためにはとりあえずやってみることです。最初から教材を上手に自作できる人はいません。また、バンドソーやボール盤などの基本的な工作機械を使えるだけでも、工作の幅が広がります。ただ、基本的な機械といっても安全上の注意点がいくつもあり、はじめは熟練した人に習わないと難しいです。それらが習得できる研修会などに参加すれば、工作力だけでなく工作意欲も高まります。
学習指導要領を大きく逸脱しているようなものの対策は難しいですが、発展的な問題程度に対応できる力は学校だけで身につけさせるべきです。毎日の授業はもちろん、定期テストも工夫し、出題形式や内容の一部を受験問題を参考にしています。また、短時間といえども朝学習も積み重ねるとたくさんの取り組みができます。しかし、最も大事なのは、自学自習の力を生徒自身が身につけることです。この取り組みとして、この本でも紹介した夏季課題「一日一題」を実施しています。
技法だけまねしても、生徒も教育環境も違う学校ですぐに役に立つとは思えません。この本は「理科授業改善の技法集」ではなく、時間をかけて考え、手を動かし、試行錯誤すれば成果をあげられるという、かっこよく言えば理科教員としての「生き様」をまとめたものです。理科室での実験学習が順調で、成績の上昇を生徒が実感できれば、クラス経営など他の多くのこともうまくいきます。だから私は、理科の授業や実験、課題、定期テスト、朝学習などは手を抜きません。ぜひ、一緒にがんばりましょう!